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TS転生したけど、子供いた  作者: 赤途碧
SS サキちゃんとハルと一緒
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金魚掬い

結婚話を絡めようとして、やっぱこれだと違うなと思った話を直して載せたSSです。

夏は過ぎてしまいましたが、よければどうぞ。


 今日はハル、サキちゃん、わたしの3人で浅草に来ている。

 目的は隅田川の花火大会だ。

 

 格好はハルが黒の甚平で、わたしも同色の浴衣を着ているけど、処々に赤、白、薄ピンクのダリアの花が散りばめられた柄になっているので別にペアルックという訳ではない。

 現在の時刻は夕方の4時だが、花火が打ち上げられるのは夜の7時からなので、今は3人で隅田公園の屋台を巡っているところだ。


 因みにサキちゃんパステルブルー(淡い水色)の浴衣で薄ピンクの百合柄、頭には同色のコサージュが飾られている。

 

(あ〜、超かわいいんですけど!)


 わたしとハルが並んで歩いてる少し前をトテトテと進むサキちゃんの後ろ姿を見て、自然と頬が緩んでしまう。

 何故か隣から呆れた目を向けられている気もするが、うちの子がかわいすぎるのだから表情が崩れるのは仕方がないってものだ。

 というか、結婚してからハルには「あんまり甘やかすな」と叱られるが、自らの命を投げ出してまで救おうとした人に言われたくはない。


 今日のサキちゃんが着ている浴衣の帯も薄ピンクで(わたしは赤)リボン結びにしているのだが、それが歩く度に頭のコサージュと一緒に揺れていて、なんというか……え〜と、うん、天使が歩いてる! って感じ。

 

「ハリュ、あれ、にゃにー!?(ハル、あれ、何!?)」

「金魚すくいだな」


 今は同居人だとでも思っているのか、サキちゃんはハルのことを「パパ」とは言わずに名前で呼ぶ。

 まあ、焦って、お父さんだよと認識させることもないだろう。


 しかしなんだか、最近、サキちゃんのかわいさに磨きがかかってきた気がする。

 だけど、そういえばサキちゃんは元から天使だったなとか考えていた時、うちの子は興味を示した屋台に突撃しようとした。


「きんきょ〜!(金魚〜!)」

「あ、こらサキちゃん、走らないの!」


 今日はみんな雪駄を履いているし、鼻緒が切れたり迷子にでもなったりしたら大変だ。

 急に駆け出そうとしたサキちゃんを止めようと、わたしも走ろうとしたが、先にハルが手を伸ばして捕まえてくれた。

 

 リーチが長いと便利なものである。


「サキ、急に走り出しら危ないだろ」

「ハリュ、ごめなちゃい!(ハル、ごめんなさい!)」

「わかればいい。転ぶと大変だし手を繋ごう」

「あい!」


 注意されて謝るサキちゃんだけど、初めて来たお祭りにワクワクしているのか、ごめんと言っている最中も首を左右に振り回して忙しそうだった。


(傍から見たら、もうすっかりパパと娘だよね)


 少し後ろから、金魚掬いを始めた2人の姿をニヤニヤしながら見守っていると、サキちゃんが悲しそうな声を上げる。

 

「きんきょ、とれにゃい……(金魚取れない)」

「貸してみろ」

「ハル、それもう破れてるんじゃないの?」

「半分くらい残ってるなら十分だ」


 そう言ってハルは金魚を掬うポイを浴槽の中に沈め、獲物を端へと追い詰める。

 隣では、その様子をサキちゃんが真剣に見つめていて、息をするのも忘れていそうだ。

 ハルがポイを水の中から浮き上がらせると、紙が残っている半分側には赤と黒の金魚が2匹乗っていた。


「とれちゃあ〜!(取れたあ〜)」

「サキちゃん、良かったね〜」

「あい!」

「ほら、お礼言いな」

「ハリュ、しゅごい! ありがちょ!(ハル、凄い! ありがとう!)」

「よし、まだまだ捕まえるか!」


 その後、サキちゃんに褒められて嬉しかったのか、ハルは店主に『兄さん、取り過ぎだから!』と注意されるまで金魚掬いをやめなかった。





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[良い点] ハリュ、しゅごい!
[一言] ハル、すげえ
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