うっさいんだよ!
「どうも! あなた達が罪を擦り付けた創造神です!」
42731番の正体を聞き、男神達は金魚のように口をパクパクさせながら、硬直している。
普段は会うことさえない創造神という絶対的な存在を目の前にしたら、そのようになりもするだろう。
わたし達を生み出し、戦ったとしても、決して適うことのない尊き立場にいらせるのだから。
「さて、一旦、創造神様のことは置いておいて話を進めましょう」
「え? せっかく正体現したのに、わたし放っておかれるの?」
「黙りなさい。42731」
「ちょっと!? なんかニュアンスがおっかないわよ!?」
「番」
「大して必要ないところを後付した!?……まあいいわ。話を進めて頂戴」
額に手を当てた創造神様を見て、今までストレスの溜まる仕事量を押し付けきていた原因に、多少の意趣返しができたことを確信する。
いや、そもそも根本的に悪いのは男神達だ。
きっと、今、彼らを捉えた、わたしの瞳は、とてつもなく冷酷に輝いていることだろう。
「あ、名前を教えていなかったわね! わたしのなま……」
「やめてください。あなたの本名を聞いてしまっては、看守達まで消滅してしまいます」
創造神様の名は尊すぎて、並大抵の神では知っただけで、存在ごと失くなってしまう。
聞いても平気なのは直属の部下である、わたしや、その他、数人くらいだ。
「とりあえず、創造神様は黙っていてください」
「はーい」
「さて、あなた達3人が呼ばれたのには理由がありますが、思い当たる節はありますね?」
「あ、ありません!」
「そうです! わたし達は何も罪を犯してなどいません」
「ええ、全くの無罪です」
「なるほど。わたしは一言も悪いことをしたのでしょう? とは聞いておりませんが、なぜそのような言葉が出てきたのでしょうね?」
「「「……」」」
沈黙は自覚があると肯定してる証だと捉えられても仕方ないと思うが、ここでそれを指摘してもしょうがないので、わたしは話を進める。
「数十年前、酔っ払って出社した挙げ句に会社でも飲酒。当時、管理会社に勤めていた、あなた達は浄化が終わった魂の1つを間違って消滅させましたね?」
「調べはついてるんだぞ〜!」
「創造神様は黙っていてくださいと言ったでしょう。その魂が入る筈だった肉体に違う魂を入れて隠蔽。お陰で女性として生まれる筈だった四季要は男性となりました」
「「「……」」」
「四季要が入る予定だった肉体には男性として命が吹き込まれる筈だった桜芝春の魂を入れ、野上美花として誕生させた」
わたしが調べた事実を述べると共に、男神達の顔は青褪め強張っていく。
人間界と天界を行き来しながら、忙しく働いていた自分としては、いい気味だ。
「おまけに年数をバラけさせる徹底ぶり。お陰で、ほぼ同年代として誕生する予定だった2人は、年の差が10歳以上つきました。そして桜芝春の肉体は消滅させ、母となる予定だった親は妊娠しなかった。ここまでで、何か間違ってることはありますか?」
「……ヴィオレータ様達の勘違いでは?」
「そうです。何かの間違いかと……」
「え、ええ……」
「なるほど。秋川菫として人間界に向かい、魂の一致を確認しましたが? 天界に戻る為にハル君に迷惑を掛け、人間社会では上司であるミカさんに怒られてまで休みを取って来たんですよ、こっちは! いつまで貴様等は言い逃れする気だ!?」
「め、女神が人間に仕えるなど、正気ですか!?」
「うるさい! 今、そんな話はしていない! 大体、お前達のせいで、わたしは忙しすぎて友達とも遊べないんだ! それに天界で若い男神とデートをする暇もないから、彼氏も作れていないんだよ!? どう責任とってくれるの!? ねえ!?」
「ヴィ、ヴィオレータ、落ち着いて……」
「うっさいんだよ! 創造神様も原因の1人だろうがー!?」




