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TS転生したけど、子供いた  作者: 赤途碧
TS転生したけど、結婚した
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トラブル


 土曜日、今日はサキちゃんが通っている保育園の先生であるチナツさんが、午前中からウチに遊びに来ている。


 黒ギャルのユキさんとは違って、早朝から家の中に勝手に居たりしないというのは、物凄くありがたい。


 訪ねて来たのも11時だし、常識のある人は違うね。


「チナツさん、お昼どうする?」

「おこちゃまらんち!」


 チナツさんに聞いたのに、勢いよく右手を上げたサキちゃんから、お子様ランチが食べたいというリクエストがきた。


「ファミレスにでも行きましょうか?」

「チナツさん、悪いね。まあ最近はサキちゃんと外食できてなかったし、たまにはそれもいいか」

「おこちゃまらんちたべれりゅ?(お子様ランチ食べれる?)」

「ママがファミレスに連れて行ってくれるって」

「やっちゃあ!(やったあ!)」


 チナツさんから話を聞き、嬉しさのあまり、自然と拍手をするサキちゃん。

 こんなに喜んでくれるのなら、ファミレスへ連れて行く甲斐もあるってものだ。


「じゃあ着替えようか」

「あい」

「あなた達、せめて、わたしが来る前に準備しときなさいよ」

「ごめん、ごめん」


 朝ご飯を食べた後、サキちゃんはパズルで遊んでたし、わたしは側でボーっとしてたので、未だに着替えていない。


「すぐ準備するから、ちょっと待ってて」

「わかったわ」


 チナツさんには、リビングでお茶を飲んで待っててもらい、わたし達は2階へと上がる。


 寝巻だった黒のキャミソールから、桃色のブラウスに着替え、下に同色のロングパンツを履く。


(エリマキトカゲみたい)


 わたしの部屋で全身鏡に写った自分の姿を見てみると、ピーターパン襟と言われるビッグフリルが、首元でマフラーみたいになっていた。


「ふきゅ、かわい。サキも!」

「服、可愛い? ありがとう。お揃いの色にしたいの?」

「いっちょがいい(一緒がいい)」

「わかった。じゃあサキちゃんも、ピンクで可愛い服にしようね」

「あい」

「あ〜、そういえば、今、乾かしてるんだった……」


 全身を桃色で包もうと思っていたが、ピンクのワンピースなどは洗濯していたので、同色のフリルシャツを上に着せて、下は白いふりふりのロングスカートにしたが、その格好でもサキちゃんは満足そうだった。


「日差しが強いから、帽子も被ってね」

「ぼうち?」

「うん」


 紫外線が心配なので、薄ピンク色をしている花のコサージュが飾られた麦わら帽子を、サキちゃんの頭に被せる。


 その姿は可愛すぎて、破壊力が凄い。

 

 残念秘書みたいに、興奮しすぎて倒れはしないが、勝手に顔はニヤけてしまう。


「わたしも、日焼け止め塗っておこう」


 一通り準備が終わり、1階へ降りると、わたしの姿を見たチナツさんが溜息を吐いた。


「ミカ、メイクは?」

「休みだし、しなくてもよくない?」

「やってあげるから、こっちに来なさい」

「……はい」


 サキちゃんに教える為、動画を見て勉強したので、わたしも化粧はできる様になった。


 今日は会社に出勤する訳でもないし、帰って来てケアをするのも面倒なので、別にメイクはしなくてもいいやと考えていたのだが、どうやらそれを、チナツさんは許してくれないらしい。


「はい、終わったわよ」

「……ありがとう」


 化粧をしている途中で、今日履く靴を聞かれ、撮影で購入した白いミドルヒールのサンダルだと答えたら、何故か赤いマニキュアまでされてしまった。


 有り難いやら迷惑やら、反応に困るが、善意から来てる行動なので感謝しておこう。


「じゃあ行こうか。あっ、財布! ごめんチナツさん。もうちょっと待って」

「はいはい」


 外出しようとしたところで、財布を持っていなかったことに気付き、わたしは2階にある自分の部屋へと戻る。


「あれ〜? どこに置いたっけ?」


 いつもは仕事で使っている机の1番上にある引き出しに入れているのだが、中を覗いてみても見当たらない。


(あっ、会社に置いてきちゃった)


 撮影では服装のラインをしっかりと出したいので、ポケットに入れると膨らんでしまうスマホや財布等は貴重品入れに預けておく必要がある。


 なので、きっとそこへ置きっぱなしになっているのだろう。


「昨日、スミレさんに車で送ってもらったのが仇になったな……」


 下に降りてチナツさんに状況を説明すると、一緒に会社へ行くことになった。


「本当にいいの? ウチでサキちゃんと一緒に待っててもらっても構わないよ?」

「ミカの会社って恵比寿にあるんでしょ? それなら共に行動しちゃった方が早いわ」


 確かに、わたしが帰って来るのを待ってるよりかは、一緒に動いて本社近くのファミレスにでも行く方が効率がいい。


「それに、あなた、お金あるの?」

「……あっ! でも通帳ならあるから、銀行に行けば大丈夫だと思う」

「それだと、お昼が過ぎちゃんじゃない? サキちゃんはミカとランチするのを楽しみにしてるんだから、一緒に行動してあげなさいよ」

「……うん」


 わたしが化粧をされだしてから、サキちゃんは、リビングで大人しくテレビを見続けている。


 決して、こっちに口を挟んでこないのは、その方が早く動けると知っているからだろう。


 3歳児に気を使わせてしまっているとか、とても申し訳がない。


 とりあえず会社に行ったら、お金は返すとして、今はチナツさんに借金することにしよう。


「タクシーでいいわよね?」

「そうだね。そっちの方が早そうだし。サキちゃん、行くよ〜」

「あーい」


 3人で家から出て行き、大通りで空車のタクシーを停めて、車内へと乗り込む。


 少しトラブルがあったが、お出掛けスタートだ。





社内の話までいかなかった……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おこちゃまらんち!
[一言] おっちょこちょいだなぁ
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