良い休日
日曜日、大泣きしてしまったサキちゃんに元気を出してもらおうと、今日は一緒に部屋の中で遊んでいる。
そう、うちの小さな天使には泣き顔より笑顔の方が似合うのだから、なんとしても楽しんでもらい、そして笑ってもらわねばならない。
だから俺は考えた。
サキちゃんを笑顔にするには、どうしたらいいのか? を。
その答えがこれだ!
「こちょこちょこちょ〜」
「きゃー」
「ほ〜ら、サキちゃん、こちょこちょこちょー」
「きゃはあ!」
部屋の中で寝転がってるサキちゃんを、何度もくすぐる。
そしてその度にサキちゃんは笑顔になり、嬉しそうな悲鳴を上げた。
「もっちょぉ〜」
「もっと? うーん、どうしようかな?」
「もっちょぉ〜!」
「えー、もう……やめない! ほ〜ら、こちょこちょこちょ!」
「きゃー!」
仰向けのサキちゃんを、くすぐると右に左にとコロコロ転がる。
無理やり笑わされるのが楽しいのか「やめて」とは決して言わないし、何度も「もっと」と要求してくる小さな天使が愛らしくてしょうがない。
「サキちゃん、お昼は何がいい?」
「も……もっちょぉ〜」
「いや、お昼ご飯の話をしてるんだけど……」
「もっちょぉ〜!」
「えー、何が食べたいか素直に言わない子には、こうだぞ! ほ〜ら、こちょこちょこちょ!」
「きゃー!」
流石に笑い疲れて苦しくなったのか、ハイハイをして逃れようとしたサキちゃんを、わたしは後ろから捕まえる。
「どこに行くのかな~?」
「ちょっと〜」
「え? もっと? サキちゃんは本当にくすぐられるのが好きなんだね〜。ほら、こちょこちょこちょ!」
「きゃー! ちあう〜」
「え? 違う? もっとくすぐったい場所がいいのかな? わかった。ほ〜ら」
「きゃー! こちょちょ〜」
「あー、やったな〜」
笑いながら転がるサキきゃんを何度もくすぐっていたら、とうとうやり返された。
他人の身体でくすぐったくなるのも変な感じだが、今が楽しいので余計な事は考えない様にしよう。
「こちょちょ〜」
「やったな〜。ほら、サキちゃん、お返しだ!」
「きゃー!」
「お、どこに逃げるのかな? ほら、捕まえた!」
「こちょちょ」
「効かなーい」
「にゃんで〜?」
「こちょこちょこちょ!」
「きゃー!」
この後、気付けば12時回ってて、お昼ご飯が少し遅くなったが、それはサキちゃんには秘密だ。
平日に仕事をしてる時は集中して構ってあげられないので、たまにはこんな日があってもいいだろう。
こんなにかわいいサキちゃんと、いっぱい遊べるなんて、今日は良い休日だ。