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TS転生したけど、子供いた  作者: 赤途碧
TS転生したけど、子供いた
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公園デビューはまだ早い

次からほのぼの回に戻ります。


 土曜日、仕事が休みなのでサキちゃんと公園でも行こうかと思い、砂場で遊ぶ為にシャベルや小さなバケツなどを購入した。


 チナツさんと話をして思ったのは、うちにいる小さな天使はテレビや動画などでテーマパークの映像なんかを見ても、何処かに行きたいと自分からは1度も言い出さなかったって事だ。


 それに気付いたおれ……いや、わたしは……とか考えてた時に、ふと思った。


(あれ? そういえば、この身体は、ずっと俺の物なんだろうか? もしミカさんが戻ってきたら、その時はどうなるんだ?)


 小さなバケツに魚の型抜き、シャベル、おもちゃのフライパンなどを入れていきながら、色々と考えるが答えは出ない。


 だがミカさんが戻ってくる可能性は0じゃないし、もしそうなったら、わたしとか言ってるのって変ではないだろうか? いや、でも仮にそうなったら、その時に俺は生きていないんじゃないか?


「うーん、わからん」


 俺なのか、わたしなのか、ウチはどうしたらええねん!? 誰か教えてや!


「どちたの?」

「なんでもあらへん」

「ありゃひぇん?」

「いや、なんでもないよ」


 なんかいっぱいいっぱいの状態になって、訳のわからない関西弁を使ってしまった。


 それに今はおれ?……いや、もう面倒だから、わたしで統一しよう。


「ありゃひぇん! ありゃひぇん!」

「気に入ったの?」

「どちて?」

「それは、わたしが聞きたいんだけどな……まあいいや。サキちゃん、公園行こうか?」

「こうへん?」

「うん。砂場で遊ぼう。ほら、おもちゃ買ったから」

「いきゅー!」


 砂場遊びする為の、おもちゃセットを見せると、サキちゃんは目を輝かせて返事をした。


(よかった。どうやら公園に行くのは大丈夫みたいだ。まあシーソーとか揺れる物には乗らなきゃいいだろう)


 わたしが料理してるのを、よくサキちゃんは見てる時があるので、ままごとでも真似して遊べるのが嬉しいみたいだ。


 汚れてもいい格好に着替えて、2人で近所の公園へと向かう。


 といっても、わたしは何時もの上下黒のスウェットで、サキちゃんは白のロンTに水色と黄色の小さな花が散りばめられているプレイウェアを着ている。


「その服、似合うね〜」

「これちゅき」


 そう言って右足だけを出して見せてきたサキちゃんが履いている靴は、プレイウェアと同じ水色をしていて、更にはピンクのリボンが巻かれていた。


 たぶん、それが1番のお気に入りなのだろう。


「着いたよ」

「あちょぶ」

「いいよ、なにして遊ぶ?」

「ちゅなばで、おようりちゅくる」

「砂場でお料理作るのか〜」

「あい!」


 公園にはシーソー、すべり台、ブランコ、それになんかよくわからないラクダ? みたいな生き物に乗って揺れながら遊ぶ道具もあるというのに、サキちゃんは目もくれなかった。


「おちるごはんでちゅよ」

「これは何かな?」

「ほっちょけき!」

「えっ? ほっとけ? あ、ホットケーキか。もぐもぐ……あー、美味しい」

「でちょ。おしゃかなもありゅ」


 ホットケーキに焼き魚という中々に珍しいメニューが出てきたが、これはそういう型抜きを選らんだ、わたしが悪いのだから、サキちゃんに罪は無い。


「美味しいね〜」

「サキ、てんしゃい?」

「うん、将来は料理人かも」

「おええは?」

「絵も上手だよ〜」

「ありあと!」


 暫く仲良く2人で遊んでいたのだが、右手にシャベルを持ったまま立ち上がったサキちゃんは、じっとブランコを見つめだした。


「どうしたの?」

「……」

「ブランコ乗りたいなら行こうか?」

「やりゃ……」

「嫌なの? ずっとブランコ見てるけど、乗りたいんじゃないの?」

「ぶりゃんこのりゅのやりゃー! ひちょりでのりゅのやりゃー!」


(ひとりでブランコに乗るのは嫌って事か?)


「うわーん!!」


 大泣きしながら、近付いて来たサキちゃんを抱っこする。


 背中をポンポンと優しく叩きながら、涙が出なくなるまで待っていたら、すー、すー、という寝息が聞えてきた。


 どうやら泣き疲れて眠ってしまったみたいだ。 


 ああ、そうか……サキちゃんには事故の時、本当のお母さんに守ってもらったという記憶があるんだ。


 考えてみたら、この子は一緒にタクシーに乗った時だって、一言も喋らなかった。


 それはミカさん(わたし)に怒られるかもしれないと思って、ずっと我慢していたのかもしれない。


 サキちゃんは大人がいれば車などに乗っても守ってくれるという安心感と同時に、誰かを失うかもしれないという不安があって、それを本能的に理解しているのだろう。


 ずっと家にいたから公園に来れば、同年代の子とも仲良くなれるんじゃないか? と思っていたが甘かった。


「泣かせちゃったな……」


 もしかしたら、色々とトラウマがあるサキちゃんに公園デビューは、まだ早いのかもしれない。





主人公「サキちゃん、ブクマ1000件いったって」

サキちゃん「ぶきゅま?」

主人公「うん、評価もいっぱいしてもらえたんだって」

サキちゃん「ひょうひゃ?」

主人公「そうそう。お礼言おうね〜。ありがとうございます」

サキちゃん「ありあと!」

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