立派なママ
5話目で主人公が「なら血の繋がりは無いって事になるけど」というところで、ここで関係に気づいてるの変だなとなったので「どういう関係なんだろうか?」に直しています。
なので今、主人公はサキちゃんとミカさんの血が繫がってる状態だと思っています。
カレーを食べた後は食後のお茶しながら、またチナツさんと話をしている。
サキちゃんはぬり絵をやめて、スケッチブックへお絵描きへ。
見てみると、描いているのはカレーみたいだから、今度、日々の思い出を残す為に絵日記でも買ってきてあげよう。
食後、色々と世間話をした俺とチナツさんは仲良くなり、何故か今度料理を教える事になった。
「じゃあサキちゃんのご両親は亡くなってるのね? そうとは知らずにミカを責めてしまって、ごめんなさい」
クイッ。
「おれ……わたしは別に気にしてないよ」
いつもサキちゃんとしか話してないから、つい俺と言ってしまう。
仕事だと思えば大丈夫なのだが、プライベートとなると、意識の切り替えが難しい。
今度、心の中で、わたしと言う様に練習しなきゃダメかもしれない。
このまま俺とか使ってたら、そのうちサキちゃんが他の人達から「あなたのママってさ〜、変だよね!」とか言われてしまうかもしれないし、そうなったら流石に可哀想だ。
男としては、どうかと思うが、おれ……いや、わたしは立派なママを演じようじゃないか!
サキちゃんの為に!
あれ? 今は女だから、それが普通なのか? もうよくわからん。
「でもミカとサキちゃんって血が繫がってないのよね? わたし、あなたがユキさん? って人と喫茶店で話してるの偶然聞いた事あるわ」
クイッ。
「……」
「それに自分の子じゃないから、かわいくなくて手料理も作らずに暴力を振るっているのかと思ってたけど、今日、サキちゃんの様子を見ていたら、本当はミカに懐いているっていうのが、よくわかったわ」
「……」
「わたしも視野が狭くなってたのね。お子さんの家庭には様々な事情があって、手料理が作れない理由だってあるというのに……。気付かせてくれて、ありがとう」
「え、あ、うん」
どうしよう? これ何処から整理すればいいんだろう? なんかチナツさんの方では良い話になってるっぽいけど、おれ……違った、わたしの頭の中は混乱中だ。
サキちゃんって、ミカさんの姪だから血が繫がってるんじゃないのか? だから仕方なくかもしれないけど、一応は引き取って育てているんだと思ってたけど、違うとすれば、これは一体どういう事なんだろうか?
「喫茶店にいた時に聞えてきたけど、ミカって里子なんでしょ? 自分は引き取られて、サキちゃんは引き取ってと、あなたの人生って、なかなか波乱万丈そうよね」
クイッ。
結構、衝撃な事実を知ったんだけど、どうしてもさっきから気になる事が1つある。
「ねえ、チナツさん。そのメガネ直したら?」
さっきから話す度にズレてるから、気になってしょうがない。
チナツさんは下に落ちてきていたメガネの位置を再びクイッと上げると、視線を逸らしながら「お気に入りなのよ」と呟いた。
「でもミカの話を聞いて納得したわ。サキちゃんが保育園で乗り物を怖がっていたんだけど、ご両親の事があったからなのね」
「そうなの?」
「うん、大泣きしてた」
あれ? でも初めてサキちゃんと会った時や仕事の面接に行く時、一緒にタクシーに乗ったぞ。
どういう事だろうと思って、何となく話題にされている当の本人を見てみると、自分で描いたカレーの絵の上で涎を垂らしながら寝ていた。