情報が多い
「ようこそ天界へ。道先案内人は叡智を司る、このソフィアが務めさせていただきます」
「天界? でもここ駅ですよね?」
「そうとも言いますね。まあ細かいことは気にしないでください」
光に包まれた後、気付けば駅のホームでベンチに座っていた。
そして目の前にはソフィアさんが立っている。
(知識の番人どころか武闘派のイメージなんだけどな。……うん、言わないでおこう)
「で、なんでわたしは天界に連れて来られたんですかね? ソフィアさんも混じって本当にかくれんぼするとか?」
「まあ、ある意味では当たってるかもしれませんね。見つけるのはミカさん自身をですけど」
「?」
「ほら、電車が来ましたよ」
「えー、なにこれ!?」
やって来たのは形的にはSL機関車だけど、車両ごとに青やら赤やら他にも何色かに光ったりしていて、まるでなにかのパレードの出てくる乗り物みたいだ。
蒸気っぽいものが『野上美花』と形を作る。
これもまた黄色くなったり紫になったりと色を変えている。
「ハルに聞いてたけど、天界ってこんなんだったっけ? もっと地上に似せてあったんじゃないの?」
「これは特別列車です。ミカさんの書を探すのには苦労しましたよ。では中に入りましょうか」
「あ、はい」
「それと、わたしに敬語は不要ですよ。他の女神連中と同じくらい気軽に接してください」
(怖いんだよ。昔、うちの空で暴れまわってたじゃん)
まあ本人が気軽にと言うんだから気楽に接しよう。
壁を作る方が後々怖いし。
車両に乗り込むと、そこには何冊もの本が浮いたり、空中を漂ったりしている。
「うわぁ、なにこれ?」
「すべてミカさんの人生ですね。前や今の身体ではなく遥か昔からの。とりあえず座りましょうか。終着駅まではまだ長いので」
ソフィアさんに促されて、近くにある席に向かい合いながら腰掛ける。
「で、わたしは何をすれば?」
「ふむ。まずミカさんって何も覚えてないんですよね?」
「どういうこと? やっくんも同じようなこと言ってたけど……」
「ああ、疫病神の。あいつ塵にしてやりたい」
やっぱ武闘派じゃん。
「怖いよ」
「まあ覚えてないのも当然ですね。あの時は別の人間だったのですから」
「ああ、前回のこと?」
「いえ、もっと前です」
「疫病神が邪神だったころに何度も死ぬ運命になってしまい。ミカさんが必ず20歳で人生を終わらしてた頃です」
覚えてなくてよかった。
寧ろ忘れていたい。
「それから元々天界とはミカさんを捜索する為に作られた場所です。後、創造神様が何故あなたに懐いているのか不思議に思ったことはありませんか? あれはね、あなたが育てたからなんです」
「情報が多い!」




