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TS転生したけど、子供いた  作者: 赤途碧
TS転生したけど、子供産んだ
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疫病神と貧乏神




 ※続けてハル視点です

(次話からミカさんに戻ります)




 回転寿司を数皿食べてみたが、特に吐き気なんかはない。

 だけど、これ以上はやめといた方がいいと本能が告げていた。


(ここまでにしとくか。気持ち悪くなってしまったら家にサキを連れて帰るのもしんどくなるからな)


 今までミカの手料理以外は殆ど食べれなかったのだし、その時に比べれば少しは進歩しただろう。

 目の前を見れば、サキも小さなお腹をさすっていて、もう入らないという感じだ。


「食いすぎだ」

「あう〜」


 今日のサキが食べた昼食が、とびっことジュースだけとミカが知れば、凄い剣幕で栄養バランスがどうのと怒鳴られそうだ。


(自分の事もあったとはいえ、もう少し注意すべきだったな)


 帰ってからの言い訳を必死に考えてみるが、冷や汗しか流れてこない。


「サキ」

「あい?」

「帰ったらママに一緒に怒られような」

「ん〜?」

 

 告げた言葉を聞いてサキが不思議そうに首を傾げているが、それもそうだろう。

 十中八九、怒られるのは俺だけなのだから。


 とりあえず渇いた喉を潤そうと、お茶を飲み込む。

 一息つくと、通路側から「おや」という声が聞こえてきたので振り向く。


「げっ……」


 声の主の姿を目に入れた瞬間、俺は何とも言えない気持ちになったし、複雑な表情だってしていただろう。


 サキだって、驚きすぎて口が半開きになっていた。


 そいつは有名私立高校の紺色ブレザーに身を包み、同色のネクタイをし、黒い革靴を吐いている。

 

 髪は短くも長くもなく、毛先だけが白いツートンカラーで瞳は灰色、年齢は16歳くらいの少年に見えるが、何よりもサキが驚いている原因は俺と()()つの顔だということだろう。


「ヴィオレータから聞いていましたが、本当にわたしと同じ顔をしているのですね」

「ああ、あいつを脅す材料として使わせてもらってるよ」

「フフフ、人が女神を脅迫しますか。それもまた一興ですね」


 俺の顔が他に比べたら顔面偏差値が高いというのは自覚しているし、社内での情報を集める時なんかも女子達が色々と喋ってくれるので、いいように使っている。 


 それでも一つ不満点があるとすれば、それは目の前にいる疫病神がモデルだということだ。


 元はもう少し違った顔をしていたらしいが、担当女神が美の女神というヴィオ()レータ()だった。


 そして、あいつの「わたしは妥協しない!」という気持ちの元に造られた顔がハルだったという訳だ。


 後、聞いた話ではヴィオレータ以外の神連中の殆どには疫病神の顔が認識ができないらしい。

 きっと他の神に疫なんかは必要ないということなのだろう。


 まあこの顔を作成したヴィオレータに『他の女神連中に黙って、疫病神をモデルにして俺の顔を勝手に作ったことをバラすぞ』と脅せば『やめてください! 言わないでください! お願いします! お願いします!』と、頭を下げて大抵の言うことは聞いてくれるので有り難い面もある。


 そういう意味では天界で色々と調べ回った甲斐があったというものだ。


「で、そっちは?」


 俺は疫病神の隣にいる者に視線を移す。


「ああ、彼女は……」


 別に見えていなかった訳じゃないが、まずは一応関わりがある疫病神と一言二言交わすことにしたので、紹介してもらうのが遅れてしまった。


 毛先だけ金髪の髪色に金色の瞳。


 ほぼ疫病神と同じ格好で、違いはスカートを履いているくらいだ。


「いいよ、やっ君。自己紹介くらいは自分でするから。初めまして、わたしは貧乏神です。びーちゃんって呼んでね」

「……嫌なコンビだな」

「ふふん、お近付きの印に、ここはわたしが奢ってあげましょう」


 そう言って貧乏神が見せつけきた財布は分厚く、現金が沢山入っているのが分かる。

 しかも国内じゃ中々手に入らない海外のブランド物だ。

 

「なんで貧乏神が金持ちなんだよ」

「ああ、みなさん誤解していますが、びーちゃんは他人の運気を勝手に吸い取っちゃうので貧乏神といえど、常にお金持ちですよ」


 それは他の人達の金運が下がるってことなんじゃないのか?


「……なんて嫌な神だ」


 びーちゃんは「じゃあ払ってくるわね」と、こっちが断わる前に伝票をレジへ持って行ってしまった。


 本当なら、後が怖いので世話になどなりたくなかったが、サキが「パパ、うわき? このちと、おにいちゃ?(この人、お兄ちゃん?)」とか言い出したので、慌てて勘違いを正した。


(まったく、どこで覚えてくるんだか)


 家に帰れば知らない女神達が増えているし、回転寿司の帰りには疫病神に今度時間を作ってくれとか頼まれるし、ソーちゃんには何故か頭を撫でられて「痛いの痛いの飛んでいけ〜」とかされるし、今日は散々だ。


 そして後日、家に帰るとミカが慌てて「ハル、お腹とか痛ない? サキちゃんは病院で診てもろうて大丈夫やったけど」と聞いてきた。


「いや、別に平気だよ。どうした? なんかあったのか?」

「この前、ハルとサキちゃんが行った回転寿司で食中毒出てん。経営も悪化しとったみたいやし、もうすぐお店も潰れるらしいで」


(それ、絶対に疫病神と貧乏神のせいだろ。この前ソーちゃんがした「痛いの痛いの飛んでいけ〜」は寄生虫とかを無くしてくれた訳か)


「この前まで賑わってて、お店も絶好調って感じやったのに、わからんもんやね」

「……そうだな」


 俺は何度も片目を閉じながらヘタクソなウインクをしてくるソーちゃんに感謝を捧げながら、疫病神と貧乏神に二度と会わない方法はないだろうかと考えていた。




女神(男神も含む)連中は疫病神と貧乏神に会った時は一応顔を認識できますが、覚えていることができません。思い出そうとするとボヤけます。

疫病神と貧乏神同士は互いの顔を判別できています。親友です。

スミレさんの中で疫病神の顔は美ですので、しっかり認識していますが貧乏神はボヤけます。


ミカさんとハルが結ばれる前、スミレさんがハルのファンだった原因がコレですね。

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