コント「素直過ぎる女の子」
男役「マッチングアプリで知り合った幸子ちゃんと約束した時間の五分前に着けた、もう来てるかな~」
女役「……」(デカいリュックを持ってる)
男「おっ、ひょっとしてあの子かな。いやでも登山行きそうなリュック背負ってるから違うか?」
女役「あっ。ひょっとして、○○(男役の名前)さんですか?」
男「幸子ちゃん? 早いね、待たせちゃった?」
女「いえ、昨日の夜からテント張ってたんで」
男「新作ゲーム買う待ち方!? 通りでやたら荷物多いと思ったよ。えっと、なんかごめん。言ってくれたらもうちょっと早くに来たよ」
女「いえいえ、Nintendo Switch買うためなんで」
男「ホントにゲーム買ってたんだ? Switchもう普通に買えるでしょ」
女「というか○○さん、実際にもイケメンさんでびっくりしました!」
男「いやいやそんな。幸子ちゃんこそ写真も可愛かったけど本物はもっと可愛いよ」
女「そんなことないですよ~」
男「いや可愛いってほんと」
女「違いますって~! 私可愛い子じゃありません、超可愛い子です」
男「大きく出たね? セル編のベジータみたいに言うじゃん」
女「きゃーっ、トイプードル可愛い~っ!」(横の方に駆け寄る)
男「うわ~、いきなりあざといな~」
女「ワンちゃん可愛いって近付く私! もっと可愛いーーっ!!」
男「すげー素直!」
女「写真撮ってもいいですか!?」(飼い主に向かって)
男「女子って犬見るとすぐ写真撮りにいくよね……」
女「あ、いえワンちゃんは大丈夫です。犬を見た私の顔を撮るだけなんで」
男「なら勝手に撮れよ!? 抱っことかしときなよ、トイプードルの飼い主も大体撮られるの見越してるから」
女のスマホ『カシャシャシャシャシャシャシャ!』
男「自撮りで連写?」
女「全部インスタにあげよ~っと!」
男「タイムラインを荒らすな! 友達なくすぞ」
女(戻ってくる)「すみませんお待たせしちゃって」
男「う、うん。犬とか動物好きなんだ?」
女「そうなんです、ワンちゃんって可愛いですよね~。地べた歩いてて汚いから触るのは嫌ですけど」
男「うーん、素直が過ぎるよ」
女「えへへ、両親に嘘だけはつくなって言われて育ちまして」
男「いいご両親だね、何でも言えって意味じゃないと思うけど。お昼ご飯食べに行く?」
女「いえ、朝にスタミナ丼食べちゃったんで」
男「男らしいね。11時集合なんだからお腹空かせておいてほしかったよ」
女「男の人って結局ホテル行きたいだけだから、スタミナだけつけて行けばいいかなって」
男「うーん、気が利くね? でも昼から飯も食わずに行くほどがっくつつもりはなかったよ。ちょっとニンニク臭もすごいし今日はそういうのやめとこうね」
女「○○さんって、草食系紳士なんですね」
男「草食系は余計かな。じゃあ悪いけどお昼も食べたいから、あそこの喫茶店でお茶にしない?」
女「えっ。喫茶店で、ですか……?」
男「変な想像してる? 男へのイメージがケダモノ過ぎるよ!」
女「ごめんなさい私ったら、今まで付き合ってきた人がそうだったもので」
男「そっか、それは大変だったね」
女「はい、ずっとゲームやってるような人ばかりで……やっぱテレビでやりたいからってすぐホテルに行くんです」
男「おっと、ただのゲーマーの話だった? あ、それでSwitch買ってたの!? いや俺は普通にデートするつもりだったよ」
女「良かったあ、またずっとSwitchやってる人だったらどうしようかと。一応いつも通り買っといたんですけど」
男「毎回買ってんだ? じゃあとりあえず買って来るのをやめたらいいと思うよ」
女「でも根本的に男と女ってわかりあえないから、喋ってるよりゲームの方が結局面白いかなって」
男「達観してるなあ。でもせっかく出会えたんだし、わかり合えるように頑張らせて欲しいかな」
女「○○さんって素敵な方なんですね……!」
男「うーん、幸子ちゃんの出会った男が奇跡的に皆ゲーマーだっただけだと思うよ」
女のスマホ『カシャシャシャシャシャシャ!』
女「○○さんにキュンとした私の表情、可愛い~っ!!」
男「……う、うん。可愛いと思うよ」
カシャシャシャシャシャシャ!
女「あ、すみません。私あと一時間くらい一番可愛い角度研究したいんで先に喫茶店入ってて下さい」
男「うーん、やっぱさっきのSwitch借りてもいい?」