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 ピラー内部へと突入した優人たちは、外とは打って変わって静かな状況に戸惑っていた。


「……さっきまでここからアビスが出てきてたよね?」


「ええ、そうだった筈ですけど……何もいませんね」


 敵の本拠地という事で、大攻勢と共に複雑な構造を予想していたが、その予想を外された形になった。


「まあ、でも、障害が無いならむしろ都合がいい。油断せずに進もう」


「そうだね」


 アビスを形作る物質でもある黒水晶で出来たピラー内部には、外からの光があまり差し込まず薄暗い。

 目の前に伸びるのは幅の広い一本道で、先は光が届かず闇に沈んでいる。


「どこから急に襲われるか分からないから、俺が戦闘で朱夏と木乃香、麻衣の菱形陣形で進もう」


 そうして警戒しながら、優人たちはゆっくりとピラー内部を進み始めた。






 進み始めてから10分近くが経ち、入り口からの光は届かない筈なのに変わらない薄暗さを不思議に思っていた頃、道の先に仄かな紅い光が灯っている事に優人が気付いた。


「みんな……向こうのアレ、見える?」


「うん、見える……なんか嫌な感じがするなぁ」


 光は微かながらも脈動するように強くなったり弱くなったりを繰り返していた。

 それが余計に気味の悪さを増長させる。


「そうだね……でも、あそこに行かなきゃいけないんだよね」


「多分だけど、あそこに何かがあるのは間違いなさそうだな」


 エネルギー調査で、ピラー内部にもコアがあると分かっているため、この先にコアがある事を祈りながら進んでいく。

 相変わらずセンサーには何も反応がなく、アビスの一体も現れない。

 偽装された罠であった方がまだ納得出来るくらいで、ここが本当にアビスの本拠地なのか疑いたくなるほどだが、二三四博士をはじめ対アビス防衛部隊(ADF)の調査で間違いなく本拠地であるとの結果が出ている。


「ん、どうやらこの先は広場になっているみたいだ。もしかしたらアビスの襲撃があるかもしれないから、気を付けて」


 強くなってくる紅い光と共に、センサーが優人たちの進む先に広場がある事を示した。

アビスの反応は静かなままだが、広い場所というのはそれだけで囲まれる危険性があるため、自然と武装を握る指に力が入る。


 そうして気を張りながらも勢いよく飛び込んだ広場には、何もいなかった。

 時間差で何かあるのではないかと油断なく周囲を探り続けるが、静かな空気が漂うだけだった。


「なにも、ない?」


「そんなことは…………ねぇ、優人……アレ(・・)


 周囲を見回していた朱夏が、ふと頭上を見上げたかと思うと、その表情を驚愕に染めた。


「どう、し……た」


 同じように頭上へ視界を向けると、そこには巨大なコアが浮いていた。

 明るく広場を照らす紅い光は、遠目に見た時と同じようにゆっくりと明滅している。


「あれが、ピラーのコアなのか……」


「おっきいいね……」


 想像以上の巨大さに呆けていたが、邪魔が居ない今を逃す手は無いと武器を構える。

 と、その時だった。


「それを今壊されるのは困るな」


「誰だッ!」


 4人以外には誰も居ない筈の空間で声がした。

 レーダーを確認するが、生体反応はおろかアビスの反応すらない。

 そこまで確認したところで、違和感に気付く。

 その違和感の正体は、すぐに明らかになった。


「いや、おかしいぞ。なんで|ピラーのコアの反応まで無いんだ《・・・・・・・・・・・・・・・》?」


「それは、僕が隠蔽しているからだよ」


 その声と同時に、優人たちの目の前の空間が揺らめいたかと思うと、白い髪に白いローブを纏った少年が姿を現した。


「隠蔽?それよりも、お前はなんだ?!」


 急に現れた人物に混乱を隠せない優人たちに向かって、いつもと変わらない微笑を浮かべた少年は━━


「僕は、ダアト。君たち人類を導くものだよ」


 いつもと変わらない穏やかな声で、そう名乗った。


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