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「まずは、麻衣くんのCADから話そうか」


 そう言って博士が拡大したのは、緑色のCAD“瑞鶴”だった。


「こいつは、狙撃に主眼を置いたCADとなっている。メイン武装はスナイパーライフルだが、背部に格納された追加バレルを装備することで超長距離砲撃が可能となる。その際に発生する反動に耐えるため、脚部装甲にはアンカーが装備されていて、その関係で地上でのみ使用可能となっている」


「あの、空中戦が多いアビスとの戦闘でその機能は……」


「ロマンだ。それに、出力を落とせば空中でも発射可能だ」


 前にCADを調整してもらった時もそうだったけど、博士はCADの機能の説明となると凄い生き生きとしている。やっぱり、自分の子供と同義だから自慢もしたくなるのだろうか?


「さて、こいつの凄いところはそれだけじゃないぞ。設計思想が狙撃となっているため、どうしても防御や近接・中距離戦闘が弱くなってしまうという欠点があった。これを改善するために新しく開発したのが“ピットシステム”だ」


 そう言って表示されたのは、長方形の銃とそのホルダーだった。


「これは銃の方が“ガンピット”、ホルダーの方が“シールドピット”と言ってだね、CADのセンサーと連動して全自動的に防御と近・中距離迎撃を行ってくれるという優れものなんだ」


 動作テスト時の映像が再生され、空中を縦横無尽に駆け巡る“ピット”の姿が映し出された。狙撃手が一番無防備になるのは狙撃の瞬間だから、それを自動的にカバーしてくれるシステムは画期的なものだ。


「簡単な説明はこんなところか。質問は後でまとめて受け付けるから、次にいくよ。次は朱夏くんのCADだ」


 次に画面に映し出されたのは、赤いCADだった。


「“金剛”は“瑞鶴”とは真逆で、近接戦闘に主眼を置いたCADになっている。メイン武装は二本の実体刀と二丁の突撃銃……おいおい、そんな不満そうな顔をするな。あくまで初期開発段階での予定だよ。朱夏くん用と決まってからメイン武装は変えている」


 朱夏用として説明が始められた“金剛”だが、メイン武装として説明されたものが不服だったらしく、朱夏は不満げな表情を浮かべていた。それを見た博士は、苦笑を浮かべながらフォローを入れた。


「説明を続けるぞ。朱夏くん用ということで元々の武装を変更し、メイン武装は連結刃となっている。勿論、この部分に関して作ったのは君のお父さんだ」


 博士の言葉に、さっきの不満げな表情とは一転して嬉しそうに笑みを浮かべている。


「メイン武装である連結刃が多機能なためそれ以外の部分、特に防御に関して特化させた。これを見てくれ」


 そう言って拡大されたのは、飛行用の翼だった。通常よりも細かい長方形が密集して作られていたソレは、一つ一つが分離するで“ガードピット”となることが出来た。


「これは君のお父さんからの要望でね、愛されているじゃないか」


 それを聞いた朱夏の瞳には、嬉しそうな色と一緒に光るものがあった。


「さて、最後になったが残る“神通”は木乃香くん、君のCADだ」


 表示されたCADは“吹雪”よりも軽装甲なものだった。


「“神通”は見ての通り、必要最低限に装甲を削り機動性に主眼に置いたCADだ。メイン武装はもちろん薙刀で、小刀や突撃銃を一つずつ装備している」


 先の二つと同じように全身像が映し出されるが、説明にあった通りの手甲や脛当て、胸当てという軽装甲以外には目立った特徴がない。


「なんか、他と比べて質素なCADやな」


「まあ、他と比べるとそうだな。だが、だからこそ私は木乃香くんにこそ、この“神通”が相応しいと考えた」


 ポツリと零れた木乃香の言葉に、笑みを浮かべながら博士は端末を操作する。


「“神通”は見ての通り、機動性に優れている。つまり、それだけ技量を必要とされるということだ。CADの操作は、現実にどれだけ動けるかが大きく関わってくる。この4人の中で、最も武術に長けているのは白衛である木乃香くんを置いて他にないという訳だ」


 博士の言に、納得したように頷く木乃香。そんな木乃香に、ニヤリと笑いかけた博士が画面を切り替えた。そこには、“大和”を含め他の試作第3世代CADを圧倒する機動性能が表示されていた。


「え、これは……」


「そう、見ての通り“神通”は本来の性能を引き出そうとするととんでもないじゃじゃ馬になる。だから、使うには制限を掛けるか、まだ完成していない高機動用高感度センサーを搭載する必要があったんだけど……つい最近、事情が変わった」


 何だと思う?と視線で博士が木乃香に問い掛ける。思い当たるものがあったのだろう、その解答はすぐに出された。


「ウチが発現したSDA……やねんな?」


「その通り!木乃香くんのSDA:思考加速ディープコンセントレーションならば、制限や補助無しに“神通”による高機動下でも戦闘が可能となるだろう」


「そやさかいウチに”神通”を……」


「それも理由の一つ、というだけだがね。さあ、長々と話したがこの子たちは君たちの物だ。受け取ってくれたまえ」


 促されるままに、それぞれのCADを着けかえる。かくして、優人たちは決戦を前に新たな力を手にしたのだった。


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