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「……なんで、ウチらなんですか?」
「ほう、意外と冷静だね」
「ほら、新しいCADの装者に選ばれたってのは光栄なことだけど、なんで?って疑問の方が強かったさかい。ウチ達はまだ学生やし……」
木乃香の言葉に、さもありなんと頷く博士。木乃香の横では、赤べこの様に朱夏が首を縦に振っていた。
「なるほど、ではその説明から始めるか。まず、君たちの前にある第3世代CADは、飛躍的にその性能を向上させている。その関係で、CAD起動時に必要とされる晶力量が多くなっている。まあ、正規装者ならば起動可能なレベルだが、君たちも知っての通り晶力はCADの機動だけでなく、弾丸生成などにも使用されている。それを多く消費するという事は、それだけ継戦能力が落ちるという事だ。ここまでは理解できるかい?」
無言で頷く朱夏たち。それに満足そうな笑みを浮かべると、博士は再び口を開く。
「よろしい。次に、君たち学生と正規装者の違いだが、実力は勿論、統率の取れた作戦行動を行えるかどうかも大きな違いだね。正規装者は君たちよりも長い時間を訓練に当て、集団戦闘を行うことが出来る」
その言葉に、優人だけでなく木乃香も博士が何を言いたいのかに気付いた。そして、それを察した博士が浮かべていた笑みを深める。
「気付いた者もいるようだな。集団戦闘を行う上で、数機だけが飛びぬけた性能を有しているというのは、むしろ邪魔になるんだよ。ただでさえ正規装者の数が少なくなっているから、そこから更に数を引き抜くと、集団戦闘行動に影響が出る可能性がある。そんな訳で、正規装者よりも学生に第3世代を渡そうということになったんだよ」
朱夏も納得したのか頷いていたが、麻衣は疑問が残る様子で首を傾げていた。
「麻衣くんは納得いかないかね?」
「あ、いえ。正規装者ではなく学生に第3世代を渡そうとした理由は分かったのですが、私達よりも実力がある人は沢山いると思いまして……」
「確かに、実力で言えば鎬くんなどは一番に候補に上がるだろうね。しかし、君たちには実力を覆すアドバンテージがあるだろう?」
「…………あ、アビスとの実戦経験?」
「その通り!」
麻衣の呟きに、出来の良い生徒を褒めるような声色で答える博士。確かに、学生でいる限り基本的にはアビスと戦うことは無いはずだった。今回の侵攻で学生部隊が作られたのだって、例外的な措置だったと聞いている。
「君たち4人は、学生部隊の中でもアビスとの戦闘経験が多い。戦闘経験が多いということは、身に宿す晶力量も多くなるという事で、話が初めに戻るんだ。第3世代は現行のCADよりも要求される晶力量が多くなると話したね?」
ここまでくれば、博士が何を言いたいのかは全員分かっていた。
「君たちは学生部隊の中でも、保有晶力量が多い4人なんだよ。だからこそ、第3世代CADを任せるのに相応しいのさ」
予想通りの言葉に、優人たちは納得の声を上げていた。
「さて、第3世代CADを任せる理由は話したから、次はどのCADを誰に任せるかだ。見ての通り色が違うが、色だけでなく設計思想も違っている。そこで、私が君たちにどのCADが相応しいかを見繕った。これを見てくれ」
そう言って博士は部屋を暗くすると、プロジェクターを起動する。画面に映し出されたのは4機のCADの詳細だった。
「ここには4機表示しているが、1機は既に優人くんに渡している“大和”だ。残りの3機は先に名前を言っておくと、赤が“金剛”、緑が“瑞鶴”、紫が“神通”となっている」
大きく表示された3機の姿は、今まで優人たちが使っていた万能型である“吹雪”とは違い、明確な役割を持たされている事が一目で分かるほど特徴的なものだった。
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