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お待たせしました!
最終章開幕です!
要塞型を撃破してから数日、装者たちは以前に要塞型撃破作戦会議を行った部屋に集められていた。
「要塞型も倒したのに、どうしたんだろうね?」
「さあ、なんやろうな?」
呼び集められた事に心当たりのない装者達は、周囲の者と話しながら自分たちを呼び集めた司令の到着を待っていた。
「諸君、待たせて済まない」
優人たちが部屋に来てからそれ程経たずに、司令がやってくる。その顔は、勝利に浮かれたものではなく、何かを決めたものだった。その後ろには、二三四博士が続いていた。
「改めてになるが要塞型の撃破、ご苦労だった。皆の奮闘により、今も新東京市は健在だ」
司令のその言葉に、装者達は誇らしげだ。それは優人たちも例外ではなかった。自分たちが都市を護っているのだという自負が、装者達の戦う源にもなっているからだ。
「さて、本題だ。このグラフを見て欲しい」
表示されたのは、幹部会議でも表示された富士ピラーのエネルギー推移だった。
「このグラフに示されている通り、富士ピラーのエネルギーは過去にないほど消耗している事が分かる。私達も消耗しているとはいえ、これは好機だと考えた」
そう言う司令へ、部屋中の視線が集中する。
「そこでだ。私は、この又とない機会に反抗作戦に出ることを幹部会議で提案した」
その言葉に、室内が一気に騒がしくなる。それもそうだ。現在の戦闘可能な正規装者は、通常の半数を割り込み、追加で動けるのは学生部隊だけだ。加えて、都市の防衛機構も昨日していない物が多いという噂もある。そんな状態で反抗作戦をした場合、もしアビスの侵攻があったら都市を護り切れない可能性がある。そんな考えが、装者達の間に広がっていた。
「静粛に!諸君の考えている事は分かる。続きを話させてくれ!」
徐々に静かになる室内。それでも、視線に籠められた感情は否定的なものが多かった。
「諸君の考えている通り、我々の消耗も激しい。反抗作戦を実施すれば、都市防衛に回せる戦力はほとんどない。しかし、天岩戸は健在であり反抗作戦にでた場合、消耗しているピラーでは都市に向かうだけのアビスを向かわせることは出来ないと考えられる」
「しかし!天岩戸も絶対ではありません。実際、突破された過去もありますし……」
室内から挙がった声に、多くの装者達が頷く。声の主が言った通り、天岩戸と言えども過去には砲撃型の攻撃で突破されている。そんな声に答えたのは、司令の隣に立った二三四博士だった。
「今の発言にあった通り、過去に天岩戸は突破されている。しかし、それを私がそのままにしておくと思うか?アビス侵攻が続いたためにアップデートが出来ていなかったが、つい先日それも完了した。これにより、データ上は要塞型の一斉射撃にも耐えられる」
二三四博士の言葉は、装者達の考えを揺らすことに成功した様で、反抗作戦に賛成するか反対するか悩む姿が見え始めた。
「もし、ここで反抗作戦を実施しなかった場合、確かに一時の平穏は過ごせるだろう。だが、ピラーが回復したら?勿論、我々も回復し更に成長もしているだろうが、次も必ず乗り越えられると断言できるだろうか?今回の侵攻で、我々は代えがたい英雄を一人失っている。その損失は大きなものだ」
紅嶺崎の死は、優人だけでなく装者達にとっても衝撃的だった。絶対的な英雄だった紅嶺崎を失って、今回と同じような侵攻を食い止められるかと問われると、自信を持って可能だと答えられる者は、ここには居ない。それほどまでに大きな存在だったのだ。
「諸君が考える通り、私も次は難しいと考えている。ならばどうすべきか?敵が、奴らが弱っている今こそ叩かなければならない筈だ」
畳みかけるような司令の声に、装者達の雰囲気が変わっていく。彼らだって、やられっぱなしというのは我慢ならないのだ。
「だからこそ!今を置いて他に、アビスを殲滅する好機は無いと考えている」
そう言って司令が表示したのは、富士ピラー攻略計画の文字。司令の声に熱が籠るのと同時に、装者達の視線にもアビスを倒してやろうという気概が強く宿る。
「諸君に問いたい。富士ピラー攻略計画、通称F計画に反対する者は挙手を」
沈黙が室内を覆う。一度、司令が瞳を閉じる。
「では、賛成の者」
衣擦れの音が、大きく響いた。
「……諸君の勇気に感謝する。これより!F計画は発令する、全装者は出撃に備えろ!」
「了解ッ!」
無数の声が、一つに纏まった。こうして、侵攻されるばかりだった人類の反抗作戦が始まった。
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