表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/96

-48-

「まさか学生が応援に来るとはね」


 防衛基地に帰還してCADを解除すると、半身を結晶化させた装者に声を掛けられた。アビスを殲滅した後は、もう一人の装者に抱えられていたため、話す機会がなかった。改めて見ると、結晶に寄生されているようで生身の部分もあるが、完全に結晶化している部分もあり痛々しい姿をしていた。


「でも、君たちが来なかったら全滅していた……対アビス防衛部隊(ADF)を代表して感謝する。ありがとう」


 動きづらそうにしながらも、丁寧に頭を下げる。


「え、いや!そんな……俺の方こそ、間に合わなくて……」


「君が気にすることじゃないさ。それに、まだ生きてる」


「ちょっと、皆城!どこ行ったかと思えば……怪我人なんだから大人しくしてて!」


「見つかったか……」


 バツの悪そうな顔で振り返ったその先には、もう一人の装者が担架を手にした隊員を背に立っていた。


「ほら、怪我人は、さっさと医務室に行く!」


「わ、分かったよ。櫛名」


 櫛名、と呼ばれた女性の剣幕に押されて担架に乗せられると、どこかへ運ばれていった。


「君は、応援部隊で来てくれた学生だね。確か……」


「上坂です」


「そう、上坂くん。さっき皆城も言っていたけど、貴方達のお陰で無事に帰ってくることが出来た。改めて、ありがとう」


 皆城と呼ばれた女性と同じように頭を下げる櫛名さん。


「いえ……あの、さっき皆城さんにも言ったんですけど、間に合わなくて……」


「ああ、そのこと?皆城も気にしてないと思うけど、学生くんは納得いかないよね」


「……はい」


「正直だね」


 そう言って笑う櫛名さん。ふと視線を逸らした先には、先輩達と朱夏達が楽し気に話している。


「私達の使命はね、人類を護ること。そのためには、生き残らなくちゃならない」


 真っすぐ俺を見た櫛名さんの目には、強い覚悟の色が宿っていた。


「私達が負ける時はね、何も残らないの。今は技術が進んで大分居なくならなかったけど、それでもアビスと戦っている以上、結晶化のリスクは常に付きまとってる。結晶化症候群、聞いたことあるでしょう?」


「……はい、10年前に目の前で両親が居なくなりましたから」


「ッ!……そう、君のご両親も装者だったのね」


 俺の言葉に、悲痛な表情をする櫛名さん。


「なら、分かるかもしれないけど、私達の敗北は居なくなること。つまり、完全結晶化することなの。だから、その前に助けてくれた君たちには本当に感謝してる」


 諭すような、優しい言葉だ。その言葉に、俺の中にあった“間に合わなかった”という罪悪感が和らいでいく。


「本当にありがとう」


「……いえ、俺の方こそ、ありがとうございます」


「うん、素直でよろしい!じゃあ、私も皆城の所にいくから、君の仲間も待ってるみたいだし、行ってあげて」


 振り返った先には、朱夏達が駆け寄ってくるところだった。足音がして、櫛名さんが基地へ向かっていく。その後ろ姿に深く一礼した俺は、朱夏達の下へ向かった。






 その後、俺たちは司令へ報告を済ませた。もちろん、他の学生は全員帰った後だったけど、特別に普段は入れないエリアを案内してもらえたのはラッキーだった。


 朱夏のお父さんも、平気そうな顔で俺たちを出迎えてくれたが、朱夏が近くに来るとその表情を崩して抱きしめていた。その姿を見て、改めてしっかりと仲直りが出来たことが分かった。


 そんな諸々が終わると、俺たちはいつかの時のように対アビス防衛部隊(ADF)が用意した車で帰路についた。


感想、ご意見、ポイント評価頂けると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ