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「……見えた!」


 基地から出撃した俺たちは、事前に示された訓練部隊のいる場所に向かっていた。出撃直前に司令から、訓練部隊と連絡が取れなくなったと聞いた時には肝が冷えたが、健在な訓練部隊の姿が見えて一安心した。


「応答して下さい!こちら、応援部隊です!訓練部隊、聞こえますか!?」


「…………」


 訓練部隊に呼びかけるが、応答がない。新型の妨害型が確認されているから、もう少し近づかないと繋がらないのかもしれない。


「間に合いそう?!」


「まだ保ってるみたいだけど……急ごう!」


 近づくにつれて、訓練部隊の姿と周囲にいるアビスがハッキリと見えてきた。


「なんて数!?」


「それでも、行くしかない!……あッ!」


 後方で固まっている集団と、一人だけ離れている装者が目に入る。一人の方に視線を向けると、それを検知したCADが自然にズームアップするが、そこで目にしたものに驚いた。ズームアップされた装者の右腕から半身にかけてから翡翠色の結晶が生えていたのだ!


「兄さん、あれ!先輩達が囲まれてる!」


 驚きに固まる俺に、麻衣から声がかかる。見ると、先輩達と装者の一人が30体近くのアビスに囲まれていた。


「やばい!」


「私に任せて!」


「朱夏?!」


 横から朱夏が飛び出して、先輩達の下へと向かっていく。その右腕には、翡翠色の光が集まっていた。






「私に任せて!」


 優人たちにそう言って、先輩達の下へと飛び出す。ホログラムゴーグルには、父さんから貰った武装の名前が表示されている。父さんが私の為に作ってくれたもの、出撃する事に反対せず背中を押してくれた証。


「だから、その信頼に答える!いくよ、アガートラームッ!!」


 その叫びに、武装が選択され展開していく。翡翠の光が右腕を包み、実体化した武装に覆われる。


「これが、アガートラーム!」


 それは、銀色の腕だった。手には柄の長い剣が握られている。籠手が装着されていることで、左腕に比べて右腕が重装となり左右不対称な姿ではあるが、不思議と違和感を覚えない。それどころか、とても身体に馴染む。


「行け!」


 飛び出した勢いのまま、遠く離れた場所にいるが剣を振るう。本来であれば間合いの外ではあるが、振り下ろされた剣は、その刀身を蛇のように伸ばし先輩達を囲むアビスへ向かっていく。明らかに元あった刀身よりも長いが、その秘密は鍔にあった。刀身が伸び続けられるように、鍔から新たな刀身が生み出され続けている。


「ハァァァアァ!」


 伸びきった刀身がアビスに突き刺さった瞬間、手元の柄を操って振り払う。


「テェェェイッ!」


 振られた連結刃は、新体操で使われるリボンのように自在にその機動を変え、先輩達を包囲していたアビスを蹴散らしていく。


「倒せる、私でも!」


「朱夏、危ない!」


 声と同時に、アラートが鳴る。見ると、見落としていたアビスがすぐ近くまで来ていた。既に赤い光が宿り、解き放たれる寸前だった。


「ッ!」


 その光景に思わず身を竦ませた時、右腕の武装が展開されて小さな剣が飛び出した。それは六角形の頂点部分に位置すると、晶力のシールドを展開した。直撃する寸前で防がれた光線が、目の前で弾ける。攻撃が止むと同時に、小剣は猟犬のように飛び回り周囲のアビスを狩っていく。


「朱夏!大丈夫?!」


「う、うん。大丈夫」


「もう、無理しないで」


 追いついた麻衣が声を掛けてくるが、思いもしなかった小剣の存在に驚きを隠せない。父さんが言っていた、“多機能複合連結刃”という言葉を思い出す。


(父さん……こんなに凄いものを作ってくれたんだ!)


「朱夏?」


「あ、ごめん。優人たちは?」


「兄さんたちは、あそこです」


 麻衣が指差した先は、一人だけ離れていた装者の周りでアビスを次々に倒していく優人と木乃香の姿があった。両手に突撃銃を持った優人がアビスを蹴散らし、木乃香が手にした薙刀を一閃するごとに両断されていた。


「凄い……」


「朱夏もさっき、あんな感じだったよ?」


「え?」


「朱夏、麻衣、どうしてここに?!」


 麻衣とそんな会話をしていると、周囲のアビスが居なくなったのか由紀先輩が近付いてきた。


「先輩!無事で良かった!」


「ボロボロだけどね……って、そうじゃなくて!」


「落ち着いてください、先輩。私達、応援部隊としてきたんです」


「君たちが?!」


「お話し中ごめんね、ちょっと話を聞かせてほしいな」


 由紀先輩と話していると、横から先輩達とは雰囲気の違う人が出てきた。多分、訓練部隊の引率役だった対アビス防衛部隊(ADF)の装者なんだろう。


「君たちが、応援部隊なの?」


「はい、そうです」


「見たことないけど……」


「私達は学生です」


「え?!」


 そこから私達は、先輩にも話したことをその装者にも話した。優人のこと、司令の依頼でここに来たことだ。


「そう、だったの……ともかく、助かりました。ありがとう」


 そう言う彼女の後ろで、刀に持ち替えた優人が新型のアビスを両断していた。


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