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新章開始です!
今回は彼女がメインになる回ですね。
キャラを掘り下げていけるように頑張ります!
身体を動かすことが好きだった。小さい頃から男の子たちと混じって遊んでいた私に、新体操を勧めたのは母さんだった。女らしくなってほしいという思いもあったのだろうけど、親の心子知らずで、私はただ目一杯身体を動かせるのが嬉しくて、新体操にのめり込んでいった。
……いや、それだけじゃない。装者として家を空けがちな母さんと、CAD技術者として忙しくしている父さんが、新体操の発表会になると揃って参加してくれることが嬉しかったのだ。
母さんと父さんは、職場結婚の様なものだったそうだ。きっかけは、母さんのCADを父さんが調整していた事だと、何かの時に聞いたことがある。二人の仲はとても良く、家に一緒にいる時は、娘である私でさえも恥ずかしくなるような相思相愛ぶりだった。
だから、母さんが亡くなったと聞いた時、父さんは深く悲しみ、いつしかその悲しみを紛らわす様に仕事へと没頭するようになったのだった。
「…………っ」
閉じられたカーテンの隙間から差し込む朝日に、私の意識が徐々に覚醒していく。小鳥たちが歌う、心地よい朝だ。開いたまぶたの先には、見慣れた天井。未だ残る眠気を振り払うように勢いよくベッドから起き上がると、肩にかかる赤い髪を一つにまとめて、部屋を出てすぐにある洗面所で顔を洗う。冷たい水が私の意識を完全に覚醒させた。
(父さん、結局帰ってこなかったな……)
玄関には私の靴しかなく、リビングに入ると昨日準備していた父さん用の晩御飯がそのまま置かれていた。最初の頃は心配したり、寂しくなったりしていたが、もう何年もこんな状態なので、何も沸き上がるものがない。
機械的にソレをレンジで温め、自分の朝食として消費する。私の咀嚼音以外に音のしない空間で食事を済ませると、食器を水に浸す。時計を見れば、登校の時間だ。意外とゆっくり食べていたようだ。
自分の部屋に戻り、登校の時に使っているカバンを背負う。そのまま洗面所に入り、無表情だった顔をこねくり回して、笑顔を作る。スイッチが入ったかのように、普段友達に見せている快活な私が表に現れた。
…………うん、いつもの私だ。
「いってきます!」
元気な声を、誰もいない家に放り投げて、私は家を飛び出した。
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