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大きな戦いが始まります。これからは戦闘描写が続いていきますので、お楽しみに!

 地下へ降りると、そこには学園のアリーナよりも広い空間が広がっていた。地上の建物よりも広いので、地下だけが広大に作られているのだろう。


「ようこそ、私の研究フィールドへ。ここは、私が開発したCAD技術のテストを行う場所だ……と言っても、入ったことがあるのは一二三博士と刀子くらいだが」


 そう言って端にある操作室の端末を操作すると、VR訓練で使っていたのと同じような標的が現れた。兵装のテストも行えるように堅牢に作られているらしく、実際にCADを展開して動けるそうだ。


「それじゃあ、先に麻衣くんからやろうか。射撃距離測定は流石にここでは出来ないから、それ以外の項目でテストを行おう」


「分かりました。CAD、展開します」


 フィールドへ進み出た麻衣は、そう言ってCADへ晶力を流し込み始める。それに反応したCADが翡翠色の光を放ち、次の瞬間には展開が完了する。CADの展開と同時に張られたシールドは、以前見た時よりもその色を濃くしていて、調整により密度が高くなっているのが分かった。


「それじゃあ、少し自由に動いてみてくれるかい?」


「分かりました」


 博士の言葉に、初めは探るようにゆっくりと、それから段々と飛行を織り交ぜた動きをする麻衣。その動きはとても滑らかなものだった。


「……すごい、前と全然違います。なんというか、画面越しに見ていたような感覚だったのに、今はちゃんと自分の身体と同じような感覚です」


「そうだろう、そうだろう。調整は問題ないみたいだね。それじゃあ、次はUAASのテストをしよう。狙撃銃を展開してくれ、システムは勝手に起動するから」


 麻衣の右手に光が集まり弾け、狙撃銃が握られる。


「博士、特に変化はないのですが……」


「まあまあ、それはテストをしたら分かるよ……早速始めようか、まずは定点狙撃からだ」


 それを合図に狙撃を始める麻衣。初めは動かない的へ、次に動く的、最後に自分も動きながらの狙撃を行っていく。端末に表示される命中率は90%以上を示していた。


「……よし、テスト終了だ。どうだったかね?」


「博士……システムだけでこんなに変わるものなんですか?ロックオンまでの時間がとても短くなっていますし、行動予測表示も的確で狙いやすかったです!」


「よしよし、システムは上手く機能しているみたいだね」


 CADを格納し興奮した声を挙げて戻ってくる麻衣に、予想通りと頷く博士。


「それじゃあ、続いて優人くんも行ってみようか!」


「はい!」


 麻衣と入れ替わりにフィールドへ出る。


「では、麻衣くんと同じように簡単な動作チェックからだ」


 博士の指示に、CADへ意識を集中して晶力を流し込む。すぐに呼応したCADが俺の身を包む。何度目かになる展開で、この白い装甲を纏うのには慣れていたが、今日の感覚は今までと全く違っていた。今までもほとんど違和感なく操作出来ていたが、それでも自分が動かしている機械といった感覚だった。しかし、今は自分の身体そのものの様だ。


「これは……確かに、麻衣が言った通りだ」


 普通に歩くことから始めて、走ったり飛び跳ねたり、飛行でも自分がそうしようと思った瞬間には、自分の身体と同じように行動できている。


「気に入ってもらえたかな?」


「はい!今までと全然違いますよ!」


 博士の問いかけに興奮気味に答える。調整してもらうだけでここまで変わるなんて思いもしなかった。


「よし、ではシステムのテストはまだ難しいが、戦闘機動も試してみようか」


 その言葉に現れる標的達。


「近接でも射撃でもいいから、実際に武装を使ってみようか」


 そうして動き出した俺は、二度目の驚きを味わっていた。突撃銃を撃てば以前よりはるかに少ない衝撃と素早いロックオンによる高い命中率を叩き出し、刀を握れば視界の邪魔にならない位置で的の位置を教えてくれるため、隙の少ない動きをすることが出来る。どれも以前はなかった機能だ。


 一通りの戦闘機動を行った俺はCADを格納して、操作室へと戻る。


「博士!本当にありがとうございます!こんなに色々な事をしていただいて」


「いいんだよ。私も良いデータを取れているからね……それじゃあ、上に戻ろうか」


 そうして博士の研究室へ戻ろうとした時、それは起こった。






 ここ数日で聞きなれた警報に私、日野優はいつも通りに端末を確認して目を疑った。そこに表示されていたのは、いつもの20体だとか30体といった程度ではなく、100体以上のアビスが新東京市に向かって侵攻している事実だったからだ。


「す、スクランブル要請!至急スクランブル隊は出撃して下さい!接近アビス数100以上、以前増加中です!」


『なんですかその数は?!とにかくすぐに出撃しますけど、我々だけでは殲滅することは不可能です!すぐに応援を要請して下さい!』


「もちろんです!司令官!」


 スクランブルリーダーとの短い交信を終えると、後ろに控えるこの基地の司令官へ指示を仰ぐ。


「すぐに待機中の装者に緊急招集をかけて!非番の者も全員よ!他の基地とも情報共有して人員派遣が可能なら要請して!あと、天岩戸展開準備!」


 矢継ぎ早に出される指示に、隊員たちが慌ただしく行動を開始する。そんな中、更に事態は悪い方向へと進んでいく。


「報告します!他方面にもアビスの侵攻があるため、装者の派遣は出来ないとの通信がありました!」


「クソッ!」


 思わず悪態をつく司令官。それでも、この基地を任されている責任感からすぐさま思考を切り替える。


「……装者の招集を急がせて!天岩戸展開までどれくらいかかる?!」


「あと、5分です!」


 5分なら、アビスがここに到達するまでに間に合う。その事実が、少しの気休めとなる。あとは装者がどれくらい集まれるかだが、これは祈るしかない。連日の出撃で疲弊し、出撃制限に該当している装者も少なくないからだ。


「まさかな……」


 嫌な考えが司令官の脳裏によぎったがそれを振り払い、今起こっている事態へと意識を集中させた。






「なんて数なの……なんで急にこんな……」


 現場に運ばれるまでの機内から見えた光景に、言葉を失う。はるか先に見える大地は黒い結晶に覆われ、その一つ一つがアビスであるという事実が重く圧し掛かってくる。間違いなく、関東決戦以降最大の侵攻だ。


「総員、傾注。見ての通り、間違いなく今までで最大の戦闘になるだろう。応援の要請もしているが、到着がいつになるかは分からない」


 装者となることは、命かけて人類を護る防人になるという事だ。CADを纏い、覚悟を決めた視線が隊長である私に突き刺さる。であるならば、余計な言葉をかけるのは無粋というものだろう。


「私からの命令は変わらない。全員で戦い、全員で帰還しろ。以上だ!」


「「「了解!」」」


「出撃!!」


 輸送ヘリから身を躍らせた隊員たちが、訓練された通りの隊列を組む。改めて目の当たりにすると、その威圧感は果てしない。沸き上がる恐怖を使命感で飲み下し、命令を出す声に力を籠める。


全機散開(ブレイク)戦闘開始(オープンコンバット)!!」


 前衛装備の装者がアビスの群れに吶喊し、暴れまわる。アビスから放たれる紅い弾幕は、回避を許してくれるほどの隙間が無い。晶力シールドが削られていくのを横目に、次々とアビスを倒していく。しかし、如何せん数が多い。たかが4人では、焼け石に水より少しマシぐらいだ。


(頼む、そう長くはもたない……応援が到着しなければ、すぐにでも壊滅してしまう!)


 既に何体ものアビスを撃ち漏らしている。それでも、次々と襲ってくるアビスに、追撃をしている暇もない。


 冷戦状態にあった人類とアビスの生存戦争が、アビス側の大侵攻という形で今日ここに再開された。


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