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『七行詩集』

七行詩 661.~670

作者: s.h.n

『七行詩』


661.


今日も貴方の便りを待っている


貴方の活躍と 元気でいることを知るために


貴方の背を押すためにできたことは


送り出し 見守ることだけだった


今はもう一つだけ 見つかりました


いつでも手ぶらで帰ってきてね


食卓を整え 席は温めておくから



662.


正しい道は どんなに遠回りをしても


見失わなかった 光の先にある


月のように どこまでも追ってきて


決して届かぬ高さにあり


私をもっとも高くまで登らせる


疲れきり 私が欲しがった平穏よりも


私に必要だったものをくれた人



663.


全てを失うということは


全てが元通りになるのと似ているけれど


時間は巻き戻ることはなく


得た傷や 変化だけが残る


ここから再び始めるとき


一つずつ 取り戻すために できることは


やはり 何度でも立ち上がることだけでしょう



664.


誰にも空の太陽を 変えることはできないように


私は 獄中に漏れるその光を


諦めることはできなかった


ライトは人を照らして


弱さも未熟さも 全てを晒しだす


私は 月に向かって吠える獣のように


無様に 力いっぱいに 命を確かめたい



665.


堪えきれず 壊れてしまったなら


今まで守ろうとしたものは


間違いだったのかもしれない


正しかったのは 大切さだけ


私が守りたいものは 全てを壊してくれた人で


ゼロに戻り 苦しめるのなら 離れましょう


引き合うのなら 委ねましょう



666.


その気になれば すぐに片付くようなものを


いつまで散らかしていたんだろう


ほんの少しの気遣いだけで


自然に居られたはずなのに


些細なことを 面倒くさがって


余計なことを 思い悩んで


其処に居ない誰かを 君に見立て 語りかけていた



667.


都会の雑踏の中でも 無人島の砂浜でも


胸いっぱいに息を吸って


大きな声で叫びたい


全てを壊したいわけじゃない


一つのものを作り上げたい


この感情を伝える旋律を


揺るぎない個性の 調和の音を



668.


引っ越しの際の段ボール


いつ使うのかもわからずに


ずっと部屋の隅に立てかけている


一人でどこにでも行けるなら


どこに居たって同じだから


変化は 移ろうばかりじゃなく


ここに何を築き上げるのか ということでもある



669.


部屋にテレビは置かないことにした


何も映らない 砂嵐の音を覚えている


何も頭に入らないなら


国道沿いのマンションに 雑音が増えるだけだから


君の声を聞くための電話線と


携帯の明かりだけでいい


私が欲しいのはそれだけで



670.


波もなく 浪費していた日々に


過ぎた時間が 突然崩れ 押し寄せることがある


更のまま 積み重なったCDを見て


埃を被ったガラクタを 見て気づいた


何が欲しいのか分からずも かき集める手は止まらず


きっと 一つを見つめ続けることも


立ち止まることにはならないでしょう


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