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色吉捕物帖  作者: 真蛸
岡っ引与太助
19/59

「色吉さん、水も滴るいい男、って洒落なのそれ?」

 留緒が言った。

「みずもしたたたたた……なの?」

 理縫も言った。色吉が羽生邸の裏の戸をくぐったとき二人は庭で、なにやら色吉にはわからない踊りを踊って遊んでいたのだ。

「おう、がきの癖にしゃれた言い回しを知ってるじゃねえか。なに、もう半分乾いた」

「洗っとくよ、置いといて」

「あらとくよ」

「とんでもねえ、いいよ、そこまでしてもらうこたあねえ」

「いま理縫ちゃんが洗濯を覚えたがってるのさ、だからその練習にね。旦那様やご隠居様の服じゃあ怖いなと思ってたから、ちょうどよかったのさ」

「……おう、そうかい。じゃ頼むとするか」

 雨に降られたときのために、色吉は羽生の家に服を置かせてもらっている。それに着替えたのち歩兵衛の部屋に行くと、夕餉ゆうげのしたくが整っていた。色吉の分もだ。

「多大有は食事をせんから待つこともないじゃろう」

 と、歩兵衛が言った。

 色吉は恐縮しつつ、食べながら歩兵衛にいまさっきの件を報告した。

「ふむ。命まで狙ったとも思えんの。色吉殿が泳げたら川に落ちたところで助かるだろうし、泳げなくても誰かに助けられるかもしれん。実のところそうなったわけだしの。昨夜のことも考えると、怪我くらいはさせるつもりだったかもしれんが」

「あるいは、警告つうことかもしれやせん」

「というと」

「つまり、あっしが旦那の供から身を引け、と」

「ふむ。色吉殿は太助を疑っておるわけじゃな」

「へえ、いまんとこ思い当たる節といやあ、そんくれえで」

「まあそこらへん、おいおい確かめるとしようよ」

 折よくそこに、多大有が帰ってきた。


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