モフモフの世界は怖かった!
モフモフシリーズ第2段!!
スタート!!
私は今、お星様になろうとしている──かもしれない。
どうでもいいが、人は生まれて死ぬまでの間で正座して死にそうになる経験など何度あるだろうか。否、あったとしもそんなの……私は認メタクナイっっ!!
そんな私は、只今絶賛正座中death!!(なんちゃって…)
別に正座が趣味で、だから自主的にやっているとか好んでやっているとか、決してそういうわけではない。完全に意図的に、且つ他人に指示されてやむを得ずやらされているわけで。その他人というのが他でもない、この目の前にでーんと存在している超巨大化の猫っぽい動物様によるもの、なのである。
その御方は、デーンと私の前にいらっしゃる。そりゃもう、デーンと。首痛い。
肢体がしなやかな猫の特徴そのもの、耳はシュッと先が尖っていて少しジャッカルを連想させる。眼光は鋭く、その鋭さで人一人殺せそうな覇気を纏っていて、その魔王としか言い様のないそれらが全ての感覚をもってこちらを監視している。
「聞いているのですか…?」
超絶美形(動物である彼にこの言葉が当てはまるかはさておき…)が、にこりと壮絶な微笑みをつくる。怖い。そりゃもうちびっちゃうくらい。っつってもちびってないけどさ…。その言い表せない美術品も恥じいっちゃいそうな程の造形美はしかし、その実おどろおどろしいオーラを最大限に引き立たせていて、恐怖と言う名の感情が私の本能が背筋をピンとさせた。
怒らせてはならない方を怒らせてしまった、と後悔してももう既に遅い。匙は投げられたのである。他の誰でもない、自分自身の手によって。
救いを求めて、私はかろうじて視線を動かし横目でヤツを探してみれば、我関せずという風体にてその黒々とした巨体を遥かに高い木の上に横たえ傍観者よろしくこちらを面白そうに眺めていた。
──にゃろう……ッッ後でシッポの毛、全部ヒン剥いてやっからなぁぁああ!!!!
今の状況を一瞬忘れる程に、ヤツに殺気立った。
そんな私の態度が、またも目の前の御方の逆鱗に触れてしまったのは言うまでもないが…。どうにも、私の脳は学習するという能力が極端に低いらしいです。はい、すみませんでした…。
目の前にいる御方こそ、この世界の規律を管理している国の重鎮だ。
名を、ベリシュナイツ・ローバー・ウィッシュヘル。私が今、保護されている黒豹も彼の部下であるらしい。そこんとこの事情は初めに詳しく聞いたと思うのだが、如何せんココの世界の構成が半端ではなく複雑なので、そうそうに私の頭は考えることを放棄した。
「…聞いているのですかと言っているのが、聞こえませんでしたか?」
夕日のような、いつもは優しいはずのその茜色の瞳に、剣呑な光がきらりと閃いたのが見えた。優しい光を帯びている時には想像もつかないその剣呑な光を閃かせたそれは、悪魔の双眸に様変わりしてしまっている。この人は怒らせていけない人だと肌身に感じてしまった。
そんな瞳で見られ冷え冷えとした声音でたたみかけられるように言われ、足がすくんでしまった私は本気で死を覚悟した。
「すみませんっ聞いてませんでしたーーーッッ!」
私は足がすくんで動けない筈なのに、やはり生存本能とは素晴らしい。無い反射神経がここぞとばかりにフル活動。もののコンマ数秒後には綺麗にスランディング土下座をキメていた。ボンヤリと見えた幻想のプラカードには、10点満点の評価が見えた気がした。
誤魔化したところで、それすら見破ってしまう御方。まずは、誠心誠意謝るに越したことはないのであります。がしかし、それも今回は誤魔化しに見えたのでしょうか?
顔をちらりと拝んだら、そこには芸術的な御顔に呆れの影が。…あれ?
──そんな顔してはなりません!!美形が台無しでございます。
心の中で盛大に嘆いていたら、上の方で何やらタメ息を吐き出して、大概な阿呆だな…などと宣う失敬な輩がおりましたが、そんな心のない言葉の相手なぞ今は不要なのです。どうでもいいのです。はい。まずは、目の前の嵐をどうやり過ごすか、それだけです。
すると、目の前の御方の私を見据えて動かなかった視線が不意に上へと反れた。いよっしゃーー!!
冷気さえ纏った絶対零度の視線が次の瞬間には憎々しいヤツを射抜いていた。
なんと、僥倖じゃーーー!!
「貴方は黙っているように。…話がややこしくなる」
その冷酷とまで感じる感情の見えない視線に彼の本気さを悟り、木の上の黒豹はバツが悪そうに視線を反らして尚且つ気配すら消して傍観に徹した。フッ、ざまぁ。それをじっと見ていた御方は、少し目を瞑り再び開けると、再度こちらに向き直った。な、なんだと!!
「いいですか?貴女は、反省という文字をそろそろ本気で学びなさい。そして、思っていることが全て顔に出ているという事実を知る事です。」
言っている意味が、分かりますか。と目の前の御方はもうしました。
………。
イマ、ナントモウシマシタカー?
私の耳が少し悪くなってしまったらしい。何やら不穏な単語の羅列が…。
「………もう一度、一言一句違えずに申し上げましょうかね?」
呆れた調子で問いかけた御方は、疲れたとばかりに眉間?を解しながら再度問いかけてきた。
イェース、アンダァスタァーンド!!なので、そんな獰猛な目付きで私を見るのやめて〜!!ホンットこわい、本当コワイ!!!蛇に睨まれた蛙デスヨ。否、猫に睨まれたウサギ?
何でもいいけど、怖いので、光速で首を横に振りまくりました。そりゃもう光の速さで。クビもげるかと思ったwww
でも、そうしたお陰で御方は優しさで出来ていたようで、まあいいでしょうって許してくれた。ため息はついていたけども。
ーーやっぱり、このヒト好き!!
大概、現金過ぎる自分である。そんな私を、白々しく黒豹は見つめていたのは言うまでもない。
end
まだ、続く予定ではあります♪