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田舎時代 夏
「暑い…。」
真砂は流れ落ちる汗をうっとおしそうにタオルで拭いた。高校3年生の8月といえば、迫り来る入試に向けて死にもの狂いで勉強している時期だ。
幸村真砂も例に漏れず、自宅の勉強机と対面していた。
田舎の公立高校に通う彼女はいたって凡庸だ。(と本人は思っている)
校則を破ることもせず、色恋にも縁がない。(関心がない)
田舎ということもあって他に楽しみが無いためか、その分勉強に打ち込んできた。今目指しているのは地元の国立大だ。彼女の成績だと余裕のA判定である。担任からはもっとレベルの高い大学を目指してはどうかと説得されるが、一人暮らしは面倒だと思っている真砂には全くその意志はない。
えっと…頑張ります