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片恋の、その先へ  作者: 過去形
長い、夏休み
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花火大会 side祥花03

「お、河野じゃないか。奇遇だな。・・・この女の子は?」

「河野律子です!お兄ちゃんの妹なの!お姉ちゃんは?お兄ちゃんのお友達?」


河野よりもよほど愛想よく、可愛らしい返事だ。

瞳がキラキラして私の方を見つめてくる。


可愛いなぁ・・・。


自然に頬が緩んで、私は小さな彼女の目線に合わせるようにして答えた。


「私は秋津祥花。うん、そうだね。お友達だ。今日はお兄ちゃんと一緒に来たんだね。甘いもの好き?」

「うん!」

「そうか、ちょっと待っててね」


私は律子ちゃんに包装し終わったカルメ焼きを二つ渡した。


「これ、なあに?」


不思議そうにカルメ焼きを見つめる律子ちゃん。


その様子だとどうやら知らないらしい。


そうか、ジェネレーションギャップってやつなのか、これが。


「えっ、あ、そうか。最近の子は知らないのか。・・・河野は知ってるよな?」


知っておいてくれよ、現役高校生。

そう願いを込めて聞いたが、帰ってきたのは苦笑いだった。っおい!


「いや、俺も知らない。何なんだ?それ」


少し気まずげにしているから、少しため息をついただけで説明する。

これ、絶対加賀先生が聞いたらあの笑顔のまま補習決定だと思う。


「・・・カルメ焼きだ。カルメラ焼きという人もいる。砂糖菓子だよ。・・・嘘だろ?ほんとに知らないの?あれだよ、炭酸水素ナトリウムの加熱分解でさ、水と炭酸ナトリウムと二酸化炭素が出る反応を使って煮立てた砂糖水を膨らませるお菓子」

「うん、ごめん。何言ってるのかわかんない」


・・・待ってくれ。

ここまで言っても思い出さないか。


仕方ないのか。この前の試験範囲じゃないし。


そう思っていても、深い溜息が出るのを禁じ得なかった。


「はあぁぁ・・・。これ中学校の理科だよな?ってか、高一でもやったはずなんだけど?」

「あはは・・・。ごめん忘れてたみたい」

「ま、いいや。こっちが普通のカルメ焼きで、このちょっと色が濃い方が父特製紅茶カルメだから。甘いから少しずつ食べてね」

「うん!ありがとう!しょーかお姉ちゃん!」


にっこり笑って礼を言う律子ちゃん。


ちょっと舌足らずに私の名前を言うところもなんだか可愛らしい。


「どういたしまして。・・・律子ちゃん、可愛いな。ほんとに君の妹か?」


ちらりと河野を見て軽口を叩いた。

もちろん律子ちゃんに聞こえないように小声で。


「失礼な。疑うのもわかるけど、リツは俺の血の繋がった妹だよ」


あからさまにムッとした河野に少し笑ってしまった。


いけない、いけない。本人は結構気にしているんだった。

「じょーだん、じょーだん。わかるよ。似てるから」

「へ?」


呆けた顔をして、聞き返す河野。


本人には分からないものなのだろうか。


河野自身、素直で優しい。

可愛い・・・のは明らかに律子ちゃんとは違うけれど、他はよく似ている。

笑顔だって、律子ちゃんのように全力で表現すればきっと似ている。


少々というには強面過ぎるきらいもないではないが、それで嫌な思いをして、卑屈になってしまって、更に見た目が悪くなるの、負のスパイラルにでも落ち込んでいたに違いない。


先ほどの彼の笑顔を見てそう思った。



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