花火大会 side信彦01
前回の中身が尻切れトンボっぽいですが・・・。
場面変わります、ごめんなさい。
学期末試験が終わり、やっと解放された感があったのも束の間、一時期テストのために中断していた劇の練習が再開した。
9月中旬にある文化祭のために7月のはじめから取り組んでいるわけだ。
俺と秋津は言うまでもなく毎日練習。
他の役者とも一緒に演じるシーンの練習も増えてきて、俺は強制的に秋津や監督、助監督以外のクラスメイトと話さなければならなくなった。
最初は気が重くて仕方なかったし、うまくコミュニケーションが取れずに怯えられたり遠巻きにされたり、いろいろ大変だったが、盆休みを間近に控えた今では挨拶程度の会話ならなんともなくなってきた。
それでも一番気楽なのは秋津相手なのは変わらないけれども。
「おーっす、河野ー。お疲れー」
「・・・お疲れ。えっと、山田に田中」
休憩でペットボトルの水を飲んでいるところに、共演者の山田耕平と田中博明が声をかけてきた。
山田は秋津が演じる『ベル』の父親役。
田中は『ベル』に求婚するいわゆる野獣である俺のライバルだ。
「乙カレーライス!・・・あれ?すべった?」
「今時そんなんで受けねぇよ。田中、お前のギャグな、全般的に古いの。わかるー?」
「ひ、ひどいっ!!親父にも言われたことないのに!!」
「・・・あー、その元ネタも古いって。有名だけどさ。てゆーか、わかりにくい」
いきなり目の前で繰り広げられるテンポの良い会話に俺は口を挟めずにただ見ていた。
まあ、それはそれで十分面白い。
山田はちょっと語尾を伸ばしたゆるい喋り方をしてそのくせ結構毒舌で、田中は眼鏡をかけていていかにも秀才みたいな見た目なのにギャグが好きでよく言うのだが、いつもすべっている。
その田中のギャグやパロディチックな言葉を、わかりにくいと言いながらも一つ一つ丁寧に拾い上げている山田も相当なものだなと思う。
俺は正直時々わからない。
「相変わらずひどいな、山田。・・・あ、メンゴメンゴ。河野置いてっちゃったな」
「いや、別に。・・・見ているだけで十分」
「無理しなくていいぞー河野ー。あ、そーだ。お前、県外からここに入ってきたんだったよなー?」
「え?あ、うん。そうだけど・・・?」
「知ってたらごめんなー?盆の時になー隣町で花火の品評会やってるんよー。もしよかったら見に来てなー。これ一応招待状?いや、チラシ?」
「品評会・・・?」
「たくさんの花火が見られるぞ?もちろん花火だけじゃなくて、屋台もあるし、お祭りだな。だが屋台にうつつを抜かすのも一興だ。・・・それこそホントの『後の祭り』」
「オリジナルに挑戦する心意気だけは認めてやる。だがなーわかりにくさ倍増しとるからー」
「大丈夫だ、問題ない。・・・『おあとがよろしいようで』。魔法の呪文キタコレ」
「お前は一度ちゃんと日本語を勉強したほうがいいと思うぞー。俺はー」
花火、か・・・。
そういやちゃんと見たことなかったな。
近くに花火会場がなかったし、わざわざ大勢の人のいるところに行くのもなんとなく気が引けたしで、打ち上げ花火にはとんと縁がなかった。
家の庭で律子とやった線香花火がせいぜいといったところか。
「・・・良い機会だから一回行ってみようかな」
「おーぜひぜひー。俺の兄貴の作った花火も上がるしー、イイ点つけてやってー」
「山田のところのお兄さんは花火師なんだ」
「まだ見習いだけどねー」
「へぇ・・・すごいな」
受け取ったチラシを折りたたんでズボンにポケットにねじ込んだ。
もうすぐ監督が帰ってくる頃合だ。
・・・最近俺の監督(危険人物)察知能力は桁違いに上がっている気がする。
「はいっ!!休憩終わりー!!続きするよースタンバって!!」
ほら。案の定だ。
「ほーんとに元気だねー。一色はー」
「普段とは別人だよな、文化祭というか、劇のことになると」
「・・・もうマジ監督怖い」
喋れはするけど、苦手だ。あのパワフルさの権化が大人しくなることなんてないように思える。
鈴木助監が実に気の毒だ。
それにしても打ち上げ花火か。いいな。
位置につくあいだの数秒、俺は律子と一緒に打ち上げ花火を見に行こうかと考えた。
田中くんの台詞回しが難しいです。テヘペロとか言わせてもいいのだろうか・・・。
あ、第2部に○ッキー&○リッツの日記念パラレルをupしました。
宜しければご覧ください。




