無断欠席 side祥花 02
まったく。
こういうのは私の柄じゃない。
それに、休んだツケは自分で払わせないと意味がないと思う。
私は河野の部屋のドアの前に立っていた。
先生からプリントを渡すよう言いつかったからだった。
一つ、息を付いて、私はインターフォンを押した。
ピンポーン
間の抜けた音が部屋の中でなっているのがドア越しにかすかに聞こえる。
それでも、部屋の中で動く気配がしない。
何度か押したが、変化はない。
「・・・留守か?」
それは困る。
私はドアを拳を作って叩いた。
「おい!河野!いないのか?いるなら返事しろ!」
しばらくすると、のっそりと河野がドアの隙間から顔を覗かせた。
「…どうしたあきつ」
ぼんやりしているのか、言葉が少し舌足らずだ。
「君、今日が何曜日か分かってるのか?火曜日だぞ、火曜日。欠席するならするで連絡くらいしろ。おかげで私が様子見に来ることになった」
私は文句を言いながら、彼の目の前でプリント入りのクリアファイルを軽く振る。
河野は釈然としない様子で、軽く首を傾げる。
「…あ、れ?かようび?」
「…おい、どうした河野?顔真っ赤だぞ」
河野の顔が赤いことに気づいて、咄嗟に手を伸ばす。
河野は避けようと後ずさったが、私の手が彼の額に触れる方がほんの数瞬早かった。
熱い。
「なっ…!熱あるじゃないか!!」
「あ~、そうみたい」
「そうみたい、じゃないだろう?!病院行ったのか?薬は?ていうか何度あるんだ?」
「いままでずっとねてて…。なにもしてない」
「ばかかっ!!」
思わず罵倒の言葉が口から出てしまった。
熱があるのになんで何もしていないんだ、こいつは。
「とにかく熱はかって!布団被ってあったかくして!水分摂って!なんか冷やすものは?!」
「ごめん、これしか…」
河野は、恐る恐るといった様子で、熱のためにグニャグニャになったアイスノンを取り出してみせた。
それを見て、とうとう私は切れた。
「ふざけるなぁっっ!!それで、一人暮らしなんて今までよくできたな!」
「…すみません」
河野の謝る声を尻目に、一言断ってから冷蔵庫を開けた。
そして私はフリーズした。
何もない。
本当に何も無かった。
強いていえば、干からびかけた人参や、作りおきのお茶のペットボトルぐらいで、食べるものがなかった。
もう怒鳴ることも疲れる。
私は盛大にため息をついた。
しかし困った。
河野は二日間も寝込んでいたらしいから、今すぐにでも何か腹に入れなければ。
「…河野」
「…はい」
私が呼ぶと、びくびくしながらも返事をする。
「私が戻ってくる前に、一度着替えて、それからベッドで寝ておけ。ああ、水分補給は忘れるな」
「え?…あ、うん。はい」
不思議そうにする河野に視線で念押ししてから、私は河野の部屋を後にした。
「まったくもう、世話の焼ける」
私は急いで家を目指した。
このあともこのまま祥花視点で続きます。




