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番外編 案内人もいます

 ここは無限回廊。死んだ魂が集う場所。死んだ魂達は様々な姿で壱の門の前に突然、姿を表す。


 石ころのようなかたちの(たましい)

 草花のようなかたちの者。

 何かの虫のようなかたちの者。

 毛があったり鱗やトゲが生えた獣のような者。

 そして人のように歩き話す者。


 それらは大小色々で、まさに千差万別。生前に山のように大きな者でも、ここに来れば自動で魂の見た目が調整される。必ず壱の門を通り抜けれるサイズと変化する。


 それがここでの強制されたルール。


 門の左右には鬼人の双子の兄弟がいて、彼らも仕事で門の管理をしている。一見、何かを守っているように見えるが彼らの仕事は基本、魂の誘導と掃除。門の前の掃除が日課となる。


 背には巨大なチリトリとホウキを背負い、自力で動けない石ころのランクの魂(魂石)と草花のランクの(魂草)を拾い引っこ抜き。

 門の中の森に適当に運ぶ。これが彼らの毎日の仕事。

 なんでも彼ら兄弟は、いつか二人で一緒に豆の存在しない世界に転生する事を夢見ているらしい! 


 そんな門を抜けると左右に回廊が広がっていて、どちらに行くも行かぬも訪れた魂の自由になっている。

 ただし、人型(魂人(こんぴと))以外は簡単に見えない壁に弾かれる。



 今日もまた無知な魂が森の中に弾き飛ばされていた。それを見ながら、驚きつつも足を止めずに進む人影が1人。彼はビクビクしながらも、門を入って正面を左に向かい回廊に入るようだ。


 彼は人型なので当然、弾かれる事なく回廊部にすんなり入れた。わずかにホッとした表情を浮かべた魂に話かける者がいる。

 

 「迷える魂よ!ようこそ!無限回廊へ。何処までも広がる回廊とあらゆる世界につながる扉。赤みが強い扉は火山が多く、青みが多い扉は海が広がる。黄みがかった扉は砂漠を含み。さあ、心の赴くままに扉を開けて生まれ変わりましょう!」


 無表情の人形のような女が回廊に入って直ぐの場所に立っていて彼に話しかける。女は黒いワンピースにエプロンをつけ、さながらメイドのようにみえる。その服は金糸で刺繍が施されていて着るものを上品みせていた。

 

 彼は不思議そうに彼女を見つめ話しかける。


「すみません、扉がいっぱいあって自分、分からないのですが文明が発達していてロボットとか存在する世界に生まれ変わりたいのですが教えてもらえますか?」


 彼が話しかけるもメイドさんは無表情でニコリともせずに言った。


「迷える魂よ!ようこそ!無限回廊へ。何処までも広がる回廊とあらゆる世界につながる扉。赤みが強い扉は火山が多く、青みが多い扉は海が広がる。黄みがかった扉は砂漠を含み。さあ、心の赴くままに扉を開けて生まれ変わりましょう!」 


 「え?! メイドさんは人形! 良くできたロボット…まさか。そういえば同じ場所から全く動いてない」


 彼が声をかけると同じ言葉が繰り返された。


「迷える魂よ!ようこそ!無限回廊へ……」


 彼はメイド人形に納得したように先の回廊に進む。そして、回廊入口に魂がいなくなり、そこに静けさが残る。



 しばらくして今度は珍しくも2つの魂が並びながら入って来る。


 「なんだ、お前は無限回廊、初心者か?」


 「はい、多分ですが記憶がないので」


 男と女らしき見た目の魂が話ながら歩く。

 男は山賊みたいで毛皮と筋肉の塊が歩いているかのように見え、クマみたいな体に牛の角がはえている。しかし顔は優しそうで人が良さそうにみえる

 女は緑がかった肌の色で背には羽がトンボのように透けてキラキラしている。


 「なんだ。優しい、おじちゃんが教えてやるよ!何でも聞きな!」


 「はい、ありがとうございます。本当に右も左も分からずに死んで気はがついたら、ここにいて」


 「多分だが現状把握ができない者は、魂のスキルを取得してないからだと思うぞ。覚えてないだけで初めての生まれ変わりではないはずだ。新しい魂は沢山はいないからな」


 「そうなんですか? そのスキル取ったほうがいいんですよね」


 一度2人は話に夢中になり足を止めた。


 「ポイントが高いスキルだが機会があれば是非取ったほうがいい。あの世の保険みたいなものだからな。無知だと、ここでは直ぐに狩られるぞ」


 女はゾッとしたように自分の体を両腕で包み込み言った。


 「はい。私、ポイントは、いっぽいあるようなのですぐとります!」


 女は自分のステータスを見ているのか…しばらく動かず、そのあとにスキルを取得したことを男に言った。


 「それでは回廊を進むか…入口に入ると案内人がいて…」


 男が女に話しかけ途中で何かに気付き苦い顔をする。


 「どうかされたのですか?」


 「いや、こっちはハズレだ」


 男が答えると二人の目の前に黒いメイド服を着た女が立っている事に彼女は気がついた。

  

 「あの~あなたは?」


 するとメイドは突然無表情で口を開く。


 「迷える魂よ!ようこそ!無限回廊へ。何処までも広がる回廊とあらゆる世界につながる扉……」


 メイドは一通り話すと静かになり動かなくなった。男がそれを見てため息を吐いて説明する。


 「いいか? 着た道を戻るぞ、あのメイドは何を話しかけても同じ事しか繰り返さない言わない。扉の情報は、もらえないから戻る。門を入って右側、反対側の通路にも案内人がいる。そっちへ行こう」


 男に言われるがまま彼女は来た道を戻る。人形みたいなメイドは動かなくなり静かになった。


 「あれって人形なんですか? ずいぶんと精密ですよね。それとも人形にも魂が宿るともいいますから…」

 

 「さぁな?わからん。わかっている事は時間の無駄だと言うことだけだ」


 「確かに、そうですね」


 二人の会話が回廊に小さく響いていた。







 しばらくして、また新たな魂が通路の入口に現れた。


「迷える魂よ!ようこそ!無限回廊へ…」


 メイドが口を開くと、呆れた声が返ってきた。


 「おい!私だ! 交代の時間になったから来た。なんだ、まだ、仕事をしたいのか?」


 紺のワンピースにエプロンのメイドが言うと人形のようなメイドは、ニッコリと笑い先程の無表情が嘘のように答えた。


 「まさかっ、ゴメンゴメン!交代ね。今日もいっぱい魂が通って疲れちゃったから少しぼーっとしてたわ」


 「何が疲れただよ。いつも同じセリフを言って魂をやり過ごしている、お前が言うな!」


 「え~、だって頭を使うの嫌いなんだもん。頭を使っても使わなくても給料同じだし、いいじゃん。それに全く動かなくて人形のふりするの、意外と大変なのよ。あと最低限の情報は提供しているんだから、いいでしょ!」


 「はいはい、さっさと帰れ!私の仕事の邪魔だ」


 

 回廊の入口の案内人が無事に交代し、また、その場は静かになる。 


 もし、無限回廊に来てハズレの案内人(メイド)を見かけたら直ぐに来た道を戻って下さい。


 時間の無駄ですから。

 

 


 




 

 


 

 

 

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