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3 管理人飛ばされる

 私は落ちてしまいました。


 そう、あれは1000年ぶりの次元の嵐が襲来した日です。

 

 私もうっかりしていました。


 空色の間の管理人をしているのですが魂の送り出し用の観音開きの扉。それの建て付けが悪くて、まぁ、修理していたわけですが、えぇそうです。


 油断していたんです。それで思いっ切り飛ばされました。


 次元の嵐にね。


 ということで今現在、自分の担当する南国リゾート風の世界にきています。


 さて、どうやって私がいた管理空間に戻りましょうか…困りましたね。


 あまり時間をかけてはいられませんし。仕事場にいないのが上司にばれたら物凄くヤバイです。と言うことで、おきまりのやつをやります。


「ステータス!」



名前 チャイ・ガ・スキー (スキー一族のガ家)

種族 ダンピール

魂pt 1091pt

レベル ※※※(レベル制の世界でのみ解放)


職種 南国リゾート風世界No114の管理人


スキル 生活魔法 ステータス 念話 小結界

    魂の記憶 ptの管理全般 自動言語翻訳 

    空間収納  鑑定 釣り 


称号  釣り好き(※釣りの時に天候に恵まれる)


  たりないですね。


 次元転移のスキルは15000ptだし、そうなりますと局所的長時間滞在ログ帰還転移スキル(通称、前回寝た場所に戻れるスキル)を取るのが現実的ですが1000ptか。101ptは魂の人型を保つ為に残さないと回廊から弾かれますし、だから使えません。10ptたりませんね。


 1週間前の私に言いたい!なぜ、50ptで釣りスキルとったんでしょうか? タイミング悪すぎです。


 いくら頑張っても釣りスキルがはえないからって、あの時に自棄にならなければ…今頃、簡単に帰れたのでは?


 ここちよい風がふく草原の中でしばらく管理人は一人うなだれていた。立ち直るに時間が必要らしい。


 私は三度の飯より釣りが好き。でも、いくら釣っても釣りが上達しなかったんです。それ関係のスキルもつかない。その事に対して我慢できなくて、ついポイント消費し、こっそりスキルを取得しました。という過去があるんです。


 そうですね。暗い過去です。


 ここはサクッと適当に、この世界で10pt分善行を積んで、きっと朝飯前のはず!!


 どこか近くの村まで行って困ってる人を助けましょう。例えば、魔物に教われている人を助けるとか…お年寄りが落としたリンゴを拾うとか…きっとすぐにポイントたまります。


 

 管理人は足早に草原を走り抜ける。


 ここは南国リゾートな世界。


 空気は温かくカラフルな鳥が楽しそうにさえずり、あちこちで木の実や果物がたわわに実り、普通に暮らしていれば誰も食うに困らない、のんびりとした世界。

 

 青空の下、きっちりとした服を着た場違いな成人男性が必死に走り抜けて行く。その背にはコウモリの様な黒い羽つきで。


 あれ?これって、なにも走らなくても飛べばよかったのでは…。最近デスクワークばかりなので飛べるのすっかり忘れていました。



「はぁ、はぁ」


 着きました。人のいる場所。

 ここは港町ですかね?草原を抜けたら先に海が見えました。村と言うより町ですね。とりあえず、入って困ってる人を探しましょうか。



 汐の香りかする陸人が中心に暮らす港町。


 昼頃の為、複数の家から煙や美味しそうな焼き魚のにおいがもれだしていた。

 町の中心部は商人が各々自慢の料理や異国の布地、中には珍しい貝殻や真珠を売りにきた海人の姿もちらほらいて、そこらじゅうで元気な売り子の声がとびかう。 


 この世界では陸人は体が大きく背が高い、男も女も皆がっしりとした体格で健康的な日に焼けた肌、黒や焦げ茶、ダークグレーの髪色をしている。

 海人の体は上半身が発達していて、手には水掻きがあり首辺りにはエラ呼吸も可能にする切れ目がみられる。また、濃紺の髪色が多数をしめていた。


 この町は陸人の町だか海人とも多く交流があり、海人は珍しくもない。世界全体は空と海が多くをしめ、その中に無数の島が点在しているからだ。そして、ここはその中の1つそれなりに大きな島だった。


 町の店でにぎわっている比較的人口密度の多い所を1人の少女が泣きながらフラフラと歩いていた。

 その背には空人の特徴的な折りたたまれた羽が可愛らしく、ちょこんとあり、また全体的に色素の薄いほっそりとした姿にサラサラとした肩ぐらいのプラチナブロンドの髪が太陽の光を浴びて輝いている。


 陸人や海人は多いがこの港町に空人は数える程しかいない。この少女は明らかに観光に来た空人のつれで迷子だろう。人混みに小さな体が紛れて泣きながらヨタヨタと歩く少女。



「お、おっ、おにぃ…ちゃん、どっ、どこにいるの…」


「ひっ、ひっ…ひっ…ひっく!うっうっ…」


 ミィーミのお兄ちゃんがどこにもいないし、何か大きい人がいっぱいだし怖い。地上の町に来てみたくて我儘言ってついて来たけど…はぁ、お兄ちゃんとはぐれたし恐いし疲れた。


 もう動けないよ。


 お兄ちゃん!ミィーミを早く見つけて!!助けてーー!!!


 ミィーミは心の中では泣きながら叫んだ。声は泣き過ぎた為に枯れて上手く出すことが出来ない。嫌だよ。お兄ちゃん、怖いよ助けてよ!


 そんな、ミィーミの前にそれが現れた。



 それは、ひょろっとした長身。明るい茶髪の癖っ毛なのかフワフワした髪型。ニコニコ笑っているようだが糸目で目があいてるのか微妙な感じの微笑みをこちらに向けていた。そして、その背中には、見たこともないような禍々しい真っ黒で骨張ったコウモリ翼が除いている。


 海人でも陸人でも空を飛ぶことのできる空人でもない。


 見たこともない人種。恐怖と驚きのあまりにミィーミは転倒した。

 

 ドサッ!

 ひぃーーーー、来ないで!こっちにこないで!


 少女は尻餅をつきながら、服が汚れるのを構わすにジリジリと地面を後退する。


「おや、もしや迷子では?」


 それはミィーミに手を伸ばし優しく抱き上げた。


 ガクガクと震えて声がろくに出ない。汗と涙と鼻水で可愛い顔はぐちゃぐちゃに、やっとの思いて声をだす。


「誰か…助けて!」








 私、突然、背後から殴られました。迷子の御家族にですよ。


 酷いです。人混みで倒れたので踏まれないように素早く持ち上げたのに…。


 ええ、誤解は解きました。殴られましたがね。


 大丈夫です。私、かなり丈夫な個体なので、なんでも背中のコウモリのような羽は、この世界では珍しいらしく魔物と間違われたようです。確かに後ろから見たら良くわからないかもですが 


 とにかく迷子は無事に空人のお兄さんに会えました。でも、ステータスを見ても魂のポイントが増えてませんね。


 おかしいです。私、善意で迷子を助けたのですが…。




 私はその後、お婆さんが落とした果物を拾い、盗むと勘違いされ。


 スリの子供を捕まえて幼児虐待を疑われ。


 私、散々な目にあいました。あれですか見た目ですかね。鳥のような美しい羽でないと、この世界では人扱いされないんでしょうか? 私は悲しいです。この世界の管理人やめたくなりました。



 あれから時間がたったのに魂ポイントも稼げずスキルもとれない。


 ああ、帰宅が出来ない。いや、もう上司に不在がばれてるかもしれないです。


 管理人は、すっかり気を落とし、湊町の海岸沿いで地元民が釣りをしているエリアにフラフラと足を運ぶ。



 ええ、そうです。減給は避けられません。


 ならば、やることは1つ。


 管理人は釣り人の近くの空いた場所にトボトボと足を向け、空間収納からこっそり折り畳み椅子、釣竿、クーラーボックス、釣り餌を取り出し、おもむろに釣りをはじめた。


 ええ、釣りです。


 こんな時だから釣りをするんです。だって釣りスキルがあるんですから。



 不評な黒い翼は釣りには必要ないので背中に収納し気持ちを切り替えて、ゆったりとした気分で釣竿を構え遠くに投げる。


ビュンッ!     ポチャン!


 すると瞬く間に少し曇りがちな天気が清々しい晴天に、辺りがすっかり明るくなる。


 管理人の称号、釣り好き(効果※釣りの時に天候に恵まれる)が発動。


 おっ、凄いですね。もう魚がかかったようです。


 流石、釣りスキル、一家に一台釣りスキルです。おっと凄い引きです。海に体が引っ張られます。周辺の地元釣り客が私の戦いに注目しガヤガヤと人が集まってきました。


 駄目です集中しないと。


 「兄ちゃん、大物みたいだけど大丈夫か…」


 心配したお隣さんが話しかけてきますが口を開けている暇もありません。体が強い力に振り回されそうです。



 ギリギリギリギリ。


 今です。


 私は渾身の力でマイ竿を振り上げます。


 ビシャン!ドン!


 ビタン!ビタン!ビタン!



 「おお!やべえぞ!兄ちゃん、大物を釣りやがった!これって近海の悪魔じゃないか!」


 「おい、まさか! 漁船の網をことごとく破る。あの近海の悪魔か?」



 牛程の大きさの巨大な魚がビタンビタンと陸に体を打ち付け苦しがっている。それを満足そうに見つめる糸目の男。


 あれ? 


 魂ポイント貯まってますね。なぜでしょう?


 早速、局所的長時間滞在ログ帰還転移スキル(通称、前回寝た場所に戻れるスキル※事務職で徹夜で事務所の椅子から動かなかった場合は、そこに転移されるので例外もある)を1000ポイント消費して取得。


 そうそう!大事な釣果も忘れずに収納して。



 それでは皆さん、さようなら。



 その後、私は無事に空色の間につながる待機部屋へと転移した。


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