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まもるための手段

すんげー長くなった

さて、今回も生まれ変わった先で家族と会うことができたわけだが…

 ここまでくると、偶然なわけないよな。

 おそらくだが、おれは生まれ変わりのたびに家族に会うことができるのだろう。


 この考えがあってるにしろまちがってるにしろ、今回はありがたい。

 おかげでサラに会うことができたし、サラがいじめられてる状況を知ることができた。

 

「ラジおじさん、どうしたの?」


 ラジおじっ…、まぁいっか


「ごめんよサラちゃん、ボッーとしてた。

それでさサラちゃん、

三木谷ちゃんにいじめられてるのは、

なんかサラちゃんが三木谷ちゃんに意地悪とかしちゃったからなのかな?」

「違う…と思う、サラは三木谷ちゃんには何もしてない!」

「そっか…」


 どうして三木谷ちゃんはいじめをするのだろうか?


 軍人時代に聞いたのだが、世の中には人を気付けることを好む連中がいるらしい。


 三木谷もそういう連中と同じということだろうか?


「キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン」

「わぁ!びっくりした!チャイムの音、おじさんからなるからちょっと心臓に悪いよ。」


 それもそうだな、コレもどうにかできないもんか。

 いやどうにかすると故障とかいって交換させられるかもしれないか。

 それはまずい、これはそのままにしておこう


「じゃあね、ラジおじさん!私一度トイレ行ってくる。」

「わかったよ、じゃあね」


 サラちゃんは小走りで教室の外に出て行く。

 

 さて、じゅぎょうまでのこり10分なにをしてようか。


 ガラガラ


 「てかさー、ラジオまた壊れたのかなー

チャイムはやかったよね!

体育館いってもさ、授業始まってなかったし」

「それなー、ねねミキはどう思う?」

「んー、こわれたんじゃね。

でもさー別にそのままでもいいっしょ」

「「そうだね」」


 小学生、というより、高校生くらいの歳ではないかを疑うくらいスムーズな会話だ。

 そんな連中の真ん中に位置しているのが、三木谷だ。


 三木谷は5人いるグループの中で、リーダー格というのに位置するらしい。

 会話は基本的に三木谷を中心としておこなわれている。そして、三木谷はすべての会話に丁寧に応答している。小気味よくジョークをはさみながらも、だれも嫌な思いをしないように気をつけている会話だ。


「てかさ、ミキってなんでアイツいじめんの?」

 1人がそう言い、サラを指差す。


 それに対して、三木谷はニヤニヤと頬をゆがませて答える。


「私ずっーといってるよ、アイツの顔が気持ち悪いからだって。

それにさ、いじめてから分かったんだけど、楽しいんだよね。

今まで、誰かをいじめる奴の気持ちなんてわかんなかった。

でもやっと分かった!楽しいんだよ!

あなた達もそうでしょ。

だって私が岡沢さんをいじめてるとき。

わらってるんだから!」


 三木谷は徐々に早口になっていきながらも、そう答えた。

 ただ何か引っかかる。連中と普通の会話をしている時の三木谷と、いじめの話をしだした三木谷とで性格がちがう。

 まるで、人が入れ替わったみたいだ。


スッー


 教室の奥の方から、サラがはいってきた。


 三木谷は、突如として視線をそこに持っていく。

 瞬間サラは、肩をビクリとふるわせる。


 「お・か・ざ・わ・さーん!あいっかわらず気持ち悪ーい顔してるわね。

ねぇねぇ、さっきの件でさ謝罪まだもらってないよね。

ほらほら、謝罪してよ。」


 また、いじめがはじまる。

 さっきまで友達に嫌な思いをさせないように会話をしていた、三木谷とは明らかにちがう。

 その証拠にサラは今にも、泣き出してしまいそうだ。


 止めなければ、我が子がいじめられているならば、助けるのが親というもの。

 っていうか、身体があればいまにも手がでてしまいそうだ。

 

「ビッーーーーーーーーー」

 瞬間、クラス全体がとまる。


「なになに?やっぱラジオ壊れてんじゃん?」

 ざわつく教室、しかし三木谷だけはサラの方を向いている。

 ラジオを鳴らしたのに、止まらないのかこいつは…⁈


「どうでもいいから、はやく謝罪

てか、学校やめろ。

そうじゃん、お前が学校辞めればさ、誰もお前の気持ち悪い顔見なくてすむよ。

学校やめろよ。」

「いっいや、学校はお母さんが一生懸命働いていかせてくれてるから、やっ辞めたくない」


バヂンッ


 サラの頬が揺れる。

「ビッーーーーーーーーー!」

 何してんだ三木谷ぃ!


 おれは再度ラジオをならす。

 それでも、三木谷の手は止まろうとしない。


 バヂンッバヂンッ


 サラの頬は次第に赤く染まっていく。

 周りの奴らは、あとずさりしてクラスの隅っこで、ぶつぶつと話をしている。


 三木谷は倒れたサラに、更に蹴りを入れ込もうとする。


 「ビッーーーーーーーーー‼︎」

 

 ドゴォッ


 サラは、軽く吹っ飛ぶと、泣きながら


「どっ、どうしっエフッ」

「…」

 三木谷は何も話さない。ただ無言でサラに近づく。


 どうすれば奴を止められる。

 三木谷は、もはやなにも聴こえてないみたいに、ただひたすらサラをいじめるだけの機械のようだ。


 そうか、何も三木谷を止めようとしなくていい、とめてもらえばいいんだ。


 「ビッーーーーーー、ガガッガガガッガ

みっき、た、にを、とめてー!、と、めなければ、おっま、えた、ちをっ、のー!ろ、う


 ラジオからさまざまなチャンネルの音が、つぎはぎのように聴こえてくる。


ザワザワ

「おっおい、お前とめにいけよ…」

「いや、お前がいけよ…」


みきぃ、た、にっ、をと、めっ、ろ


「おれ、いくよ」

「壊れてるだけだよ、なぁ無視すりゃいいだろ」

「でも、そもそもこんな事やめさせなきゃだろ」

 そういうと、1人の男子生徒は三木谷の方に近づく。

 男子生徒が三木谷の手を押さえる。


 バンっ!


 男子は後方にのけぞっている、三木谷は足を蹴り上げ、男子生徒の腹に直撃させていた。


「ゴホッガホッ、アイツ強すぎ、バカ痛い。」

「おい、大丈夫か?」

「あぁ、大丈夫。それよりアイツどうやって止めるよ?」

「男子全員で一斉に抑えよう。」


 男達はあっという間に三木谷の周囲で待機しだす。

 1人が走りだすと、他の男達も一斉にそれに応える。

 三木谷はあっという間に取り押さえられた。

 最後の方はまさに、しんだフリをしたセミに近づいた時のようにもがいていた。


 サラは俺の方をみていた。

 涙を目にためながら、こちらを見つめている。

 サラは少し頭を下げていた。

 ひとまず感謝されているようではある。


 教室のドアが開くと、教員が数名はいってきた。

 教員の1人が男子生徒に近づくと

「大丈夫⁈どこを蹴られたの?」

 と、心配する。

 なぜ、その心配をサラに向けられないのか、

 そう思った。


 今までだってそうだ、三木谷のいじめのことだって、教員からしたら丸わかりだったろう。

 それほどわかりやすかったし、隠している気も感じられなかった。

 そう思ってからの行動は、はやいものだった。


「おま、えっ、らーを、のろ、う」

 と、脅しをかける。

 さっきもやった古典的な脅し、急にラジオが鳴り出して、呪うだのいいだすのだ。


「せ、先生、さっきもラジオあんなふうに鳴ったんです。

だから俺ら束になって、三木谷おさえて、やらないと呪うとかいわれて…

絶対幽霊だよ!サラの幽霊!」


 おい、サラはまだ死んでないぞ。

 まぁ、幽霊であることはあながち間違ってはいないのだが。


「まっまぁ、サラさんはまだ死んでませんので、サラさんの幽霊ではありませんね。」


 なんの幽霊かをいう気はない、せいぜいありもしない正解を探せ。

 お前らが、一番幽霊になられたら嫌なやつでも思い浮かべて。

 もしかしたら、おれが目的なんじゃ…?

 とか、ありもしない妄想浮かべて、精神的にしんどくなって、学校辞めちまえ。


「まぁ、でもラジオの調子が悪いのは事実のようですね。

また買い替えましょうか。」


 あっ、辞めされられるのおれみたいです。

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