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ep.1 はじまりはじまり

 目の前でピキピキと音とともに黒石が割れた。

元は12個連なった黒石。時間とともに岩の中に食い込まれていた。


最後の一つが割れた。


「最後の黒石が割れただって?!」

村長は、目が飛び出そうな勢いで喰い付く。

この目が嫌だ。今にもでてきそう。


「もうすぐ風谷(ふうこく)祭なのになぁ。困った、困った」

米の収穫が終わり、新米をあの黒石の岩にお供えするのだ。毎年、たくさんの出店がでて一番景気がいいときなのだ。


「まぁ、急にやめることはできないからね。いつも通りでいきましょう。」

「しかし、村長。言伝えによると、黒石全て割れしとき村から離れろと、、、」

「言伝えでしょ、何百年も前のおとぎ話みたいなものじゃない。」

「しかし、私達は先祖代々言伝えを守るよう受け継がれて来ており、、、」

「力がどーこー言うやつでしょー。今まで見たことないけどー?嘘なんじゃないー」

 横になりながら足をかきはじめた村長。ほんとに村長かこの人。人の話をおとぎ話と思って聞く耳も持たない。

「とにかく、みんなには石割れたけど祭はするって伝えといてねー」

「、、、わかりました」


 村を守る為に言伝えと力を代々受け継ぎ、その石が割れたのだ。きっと他の人ならわかってくれるだろう。村の新聞屋に伝えるとしよう。

足早に新聞屋に向かう。途中、

「おーい、マコー!そんなに急いでどうしたのさー」

「マル!いいところに。実はだな、、、」

マルは、俺の遠い親戚だ。マルにも代々言伝えが伝わっている。マルなら信じてくれるだろう。

「だから、石が割れて、、」

「なに、まだそんなおとぎ話信じてんのお前。相変わらず変なやつだなぁ」

親戚のマルならわかってくれると思っていたのだが、鼻で笑われてしまった。もうすぐ祭だからって浮かれすぎだ。今もヘラヘラしながら他の女をみてる。クズが。

「お前らがそんなんでも一大事なんだぞ。とにかく新聞屋にいってみんなに知らせないと。」

「いそがしいやつだなぁ、黒の守人さんよ。きっとだーれも信じやしないよ。じゃあなー」

本当に親戚なのか、こいつは。

クズなマルに挨拶はせずさらに駆け足で新聞屋に向かった。


「おぅ、マコ。いい情報でも入ったか?」

「おじさん、岩の黒石が全て割れたんだ。それで、、、」

「ほー!あれ本当に割れるんだ。おとぎ話かと思ってたぜ。そんで、黒いのでたのか?」

「いや、目の前で割れたけど黒いのは、、」

「何だよー。黒いのがでたら言伝えは事実なのになー。じゃー、祭りは中心?」

「祭は、村長がそのまま継続でと。でも俺は、」

「やっぱり、村長ならそうするよなぁ。まぁ、たかが昔の言伝えなんだし祭を楽しむかー。」


なんでこの村のやつは俺の話を遮るんだよ。


「あの、おじさん、黒石が割れたのをみんなに伝えたいんだ」

「伝えなくてもいいだろ、たかが言伝え、たかが昔話だ」



新聞屋をでた後、看板屋にも問屋にも全てに声を掛けたがみんな口を揃えて「おとぎ話」といい聞く耳を持たなかった。


村では風谷ふうこく祭の準備にてんやわんやだ。

いたるところに提灯がぶら下がり、出店の準備に勤しんでいる。もうすぐ日が暮れる。祭まであと2日。


家に帰り、襖をあける。

この時期に合わない分厚い布団に寝る少女。

「ただいま、マイ。」

妹のマイは、俺の唯一の家族。しかしある時謎の病になり、体の体温がどんどん下がっていく。起きる事もほとんどない。

「マイ、黒石が割れたよ。言伝え通り割れたとき、俺たちは力を使わなければいけない。」

俺たちは代々、力があり使い方を教わり黒石が割れた時に使えるように特訓してきた。

俺の力が破壊ならマイの力は回復。俺の力の代償をマイが回復する。それが俺たちに託された戦い方だった。


マイがいないなか、俺はどうやって村人を守ればいいんだ。

この命に代えても村は守る。

俺は、黒の守人なのだから。




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