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大魔法使い?に願うこと

7 大魔法使い?に願うこと






 翌朝。ギルバートは少し重い体を引きずって日課の剣術の型稽古をこなしていた。

 

 あの後、とりあえず、ギルバートは謎の声の妄言?を受け入れる事にした。

 

 受け入れはしたが、聞きたい事は山のようにあったので、色々な質問をした。

 

 午後いっぱいを使っても飽き足らず、夕食後も、ひたすら質問し、色んな話を聞いた。

 

 そのまま夜になり深夜になって、明け方近くに、少しだけ眠ったが、習慣とは恐ろしいもので、きっちりいつもの時間に目が覚めた。おかげで今朝は体が重く、しんどい。

 

「ふぁあ~ぅあぅあぅ……おふぁよぉ……ギルぅ……」


「エリー、おはよ」 

 

 エリーもいつも以上に眠そうだ。やはり例の悩みで眠れなかったのだろうか?

 

 エリーはいつもより長めに裏庭でうとうとしてから、家の中に戻って行った。

 

 ギルバートも家に入って汗を拭き、家族と朝食を摂りつつ考える。

 

 昨日、謎の声……大魔法使いから聞いたのは以下の通り。

 

 

 

・どうやって幽閉された塔から逃げる事ができたか、その詳細。




※隠し持っていた魔法石を使って、当時調伏し、使役していた鳥型魔獣に魂を移して逃げたらしい。


※ちなみに、その時使った脱魂憑依の魔法は、憑依の魔法を応用した大魔法使い独自の魔法で、憑依の時、本来繋がっている自分の肉体との繋がりを完全に絶って魂の根拠地を移す危険な魔法らしい。


※憑依先の肉体が何らかの理由で強い拒否反応を示した場合、魂が消滅するリスクがあるという。そこまでしても逃げるほど、裏切りが許せなかったんだろう。想像でしかないが、その気持ちは分からなくもない。

 

※その他、いつくか隠し持っていた魔法石は食べて魔石に取り込んだという。

 

※取り込んだ魔法石の魔法は、大魔法使いが憑依した鳥型魔獣の魔石に宿り一つの魔法石となったとの事。今、ギルバートが持っているのがそれだろう。

 

 

 

・魔法とは、魔法石とは、魔石とは。




※魔法とは魔獣が稀に使う超常の力の事で、人の場合、魔獣を倒し、解体し、魔法石となった魔石を所持することで初めて行使出来る「可能性」を得る。


※と言うのも、入手出来たとしても魔法石との相性が悪ければ魔法は使えないらしい。


※魔法石とは魔法が封じられている魔石の事。適合者が手にすることで、己の魔力を糧に封じられた魔法を行使できる。


※魔石とは魔獣が通常の獣にはない強力な身体能力を発揮するための生命力の源。魔獣の体内に生成される。




・大魔法使いの事。




※名前は「ケルケラス・ツァッケンティアリ・クァルケリアニア・ヌススウス」というらしい。


※いや、途中どこかが「ケラドトゥス」だったかも?「メルファリ」だの「ファルコルマ」だのも入ってたような……?


※まあ、長すぎるし、なんとなく偽名くさいので「ケル」もしくは「大魔法使い」と呼ぶことにする。


※それ以外、あまり自分の事は話したくないらしく、いくら聞いてもはっきり答えてくれなかった。




・狙ったわけでは無いとは言え、自分(大魔法使い)を殺したギルバートを恨んでいないのか。




※これについては、意外にも全く恨んでないと言う。曰く「油断した自分が悪い」とのこと。さすがと言うか、達観している。自分の命の事であってもそう言えるのは、かなりの悟り具合ではないだろうか。




・弟子に裏切られた事について。




※ちょっと聞きづらかったが、興味に負けて聞いてしまった。大魔法使い曰く『「それしきの事で」と思われるかもしれないが、何もかも嫌になった。誰も信じられなくなった。それ故に、魔獣として生きてきた』と。






 他にもあれやこれや、色々話した気がするがとても全部は思い出せない。


 ともかく、聞きたかった事はおおよそ聞けたと思うし、ケルの言う通りギルバートはそこそこすっきりしていた。


「ごちそうさま」


 朝食を食べ終えたギルバートは習慣から無意識に裏庭へと出た。エリーはまだ来ていないようだ。

 

 別に約束はしていないし、特に用事もやることもないのだが、朝飯前と午前中はここでエリーといることが多いのだ。

 

 ギルバートは適当な木箱に座り、魔法石を取り出して、何とはなしに太陽にかざしてみる。

 

 青と緑のグラデーションを透かして弱まった太陽の光を直接目に浴びる。

 

 昨日、大魔法使いに最後まで聞けなかったことが、実は一つだけあった。

 

 これが魔法石だと言うなら、ギルバートはこれで魔法を使えるのかどうか?……だ。

 

 大魔法使いは相性だと言っていた。ではその相性はどうやったら分かるのか。

 

 聞けば一瞬で答えが出るだろうと思うのに、結果が怖くて昨日はついに聞けなかった。

 

 他の事では、ギルバートが頭で考えていただけで返事を寄越したくせに、この件について大魔法使いは何も言わなかった。

 

 つまり、はっきりとギルバートの意思を確認したいという事だろうか。

 

 

 ……魔法が使えたら、エリーの親父さんはオレに価値があると思ってくれるだろうか?

 

 ギルバートは、やはり思い切って聞いてみることにした。

 

 

 

「……ケル、助言をくれないか?」



************************************************

本日、2話目。念のため。

読んでくれて、ありがとうございました♪

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