『♡ Kyoko Love ♡』10-2
10-2.
「今日も忙しそうね」
「まぁね、いつものごとくさ。
貧乏暇なしってところだな。
あぁ、寒かったのが落ちついてきたぁ~」
「外、寒いよねー」
「日中はそれほどじゃ、ないけどね。
ね、ところで前回、俺、先に帰っただろ?
あの後、森田とふたり、どれくらい残ってたの? 」
「う~んとねぇ、あれっ、忘れた。
30~40分くらいでお開きにしたんじゃなかったかな」
「そうなんだ。
アイッ、何か言ってた? 」
「何かって? 」
「何かは何かだよ。もしかして聞いてる? 」
「何かは聞いたかも」
「・・・」
「垣本さんの結婚相手に対する結婚の条件が同居ってこと
聞きました」
「石川さん、引いた? 」
「私が引いたかどうか、って垣本さんにとってあまり
気にする必要ないんじゃないのかな」
「どして? 」
「だって、私はほらっ、垣本さんの結婚相手の対象に
入ってないから」
「そんなことないでしょ」
「いいわよ、今更、私をたててくれなくてもぉ。
だからもしその話をするなら一般論でいきましょう」
「まっ、いいや。
その一般論で、何か感想あるなら聞いてみたいな」
よっしゃあー。
私は胸の内で歓喜の雄たけびをあげた。
だって、もうもう・・垣本さんには現実というものを
アドバイス、励まし、そんな綺麗ごとのたわ言ではなくて
妻側の真実を・・現実というものを・・叩きこんでやろう
じゃないの、という誘惑に駆られていたから。
森田さんから聞かされたあの日から。
やだ、興奮してきちゃった。