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新厄介

 興奮が収まらないまま配信をつける。

 全然準備をしていなかったので配信を付けてからコメント欄をだしたり顔を出したりする。

 勿論顔とはリアルの事ではなくアバターの事だ。

 時間が経つにつれてどんどん人が増えていく。

「できれば誰かとやりたいんだけど声かけれる人がいないんだよなあ」

 ・あっ

 ・ちゃす

 ・嫁呼べ

 ・クリップ見たよ

 ・やばかったねー

「てかあの敵は何者なの?世界1位ってのは知ってるんだけど」

 ・2位とのポイント差46だよ

 ・人辞めた

 ・公式大会のポイントが世界1位。どころか歴代最高

 ・きみと同類だよ

 ・今日だけで67キルしてたぞ

 コメント欄では信じられないような情報ばかりが流れる。

 公式大会を見たことがないので46ポイント差がそれだけ凄いのかは分からないが如何やら前代未聞らしい。

 誰かやってくれる人を募集して人を待っている間に送られてきたキル集を見る。

 名前はヨン・ジウンさんと言うらしい。

 動画の右下にはオフライン大会という事もあってか顔が映っている。こちらはリアルの。

 プロゲーマーではなくアイドルの間違いなのではと疑いたくなるような綺麗な顔をした女性。

 だがプレーを見てその疑いは微塵も残さず消える。

 俺と似たようなスタイルなのにIGLもしているせいか全く違う動きに見える。

「……とりあえずチートってことで通報しとくか」

 ・草

 ・それを倒したお前は一体

 ・気持ちは分かる

 ・まあ世界1位ですしおすし

 ・パッと見チーターにしか見えない

 ・だとしたらお前もBANされるよ

 ・俺らでれんの事通報するか

 ・もう通報した

「もう通報したって何?俺はチート使ってないぞ!!!!」

 ・うるさw

 ・音無くなった

 ・鼓膜変えないと

 ・意識飛んだ

 ・嫁からリプ来てるよ

 俺はさっき募集したツイートのリプライを見る。

 本当に舞希からリプが来ていて発狂しそうになったがまたリスナーの耳を壊すので我慢する。

 俺と舞希だけではランク差があってできないのでもう1人連れてきたらしい。

 俺が後1人連れてこれるわけないので非常に助かる。

 サーバーに入ってからキル集の続きを見る。

「2人見つかったので入ってきたらやります」

 ・りょ

 ・了解

 ・もう1人誰だ? 

 ・夫婦@1

 ・凪咲ちゃんか?

 キル集の信じられないようなプレーを見ているとすぐに2人入ってくる。

 リスナーに言っていなかっただけでもう1人誰が来るか知っていた。

 そもそも舞希はこういう時ちゃんと俺に許可を取ってくる。

 俺は関わって嫌な人なんていないのでわざわざ言わなくていいのにと思ったが舞希の事だからやめてもらえるかわからない。

 めんどくさいと思っている訳じゃない。

 何ならそこが舞希の好きなところでもあるから。

「配信してます配信してます」

 俺が変なことを言わないようにそう勧告する。

 裏でも変なこと言わないし何なら俺が配信中だ。

「蓮さんおひさー」

 舞希が連れてきたもう1人。テアさん。

 俺はテアさんとはフレンドになっていないので舞希のロビーに入る。

「そうか蓮とやると敵が強くなるのか」

 フルパでやると3人の平均値のマッチに入ることになる。

 そのせいで舞希とテアさんはいつもよりも強い敵と戦うことになる。

「じゃあサブ垢もってきてよ」

「まっず!」

 テアさんが冗談で驚愕の提案をする。

 冗談なのはわかっているがついツッコんでしまう。

 テアさんもロビーに入ってきたので早速ランクマッチに行く。

「ていうかいいのか?夫婦の間に挟まっちゃって」

「あ?」

「もしかして僕2人の子供ってこと?」

「いや。ペット枠」

「犬?猫?」

「金魚」

「すぐ死ぬじゃん」

 ・草

 ・ペット枠w

 ・家の壁になれ

 ・じゃあ俺床になりますね

 ・ならワイは天井か……

 ・オレ金魚入れる水槽でイイゾ

 2人の茶番を聞き流しながら敵を倒していく。

 いつも戦っている敵よりは弱いのでどんどん敵が死んでいく。

 キルポを渡せないのでちょっと気まずさを覚える。

「なんか僕たち何もしなくても敵がいなくなっていくね」

「何言ってるの?私たちは散歩しに来たんだよ」

「そっかあ。そういえば舞希ちゃんって蓮さんの事呼び捨てだったっけ?」」

「ん、まあそうなったね」

「へえ」

 ・つっよ

 ・もうジウンさんと変わんねえぞ

 ・確かにこれはお散歩

 ・いつからだ?呼び捨てになったの

 ・いいからさっさと籍入れろ

 ・カプ厨もいますと。いいぞもっとやれ

 響き渡る銃声の中でテアさんの口角が上がり厄介ムーブのスイッチが押されたのが分かる。

「どういった経緯で?」

 記者会見で質問する記者のような聞き方をする。

「別に経緯とかないよ。話の流れでそうなっただけ」

「へ~」

 明らかに信じていない。

 因みに俺もどうして呼び捨てになったのか分かっていない。

 「蓮って呼んでもいい?」と言われたのでそれを許可しただけだ。

 その時舞希がどんなことを思っていたかは知る由もない。

 だが普通呼び捨てに経緯も理由もないだろう。

 相手が望んだからとか仲良くなったからとかあってもそれくらいだ。

「蓮さんが敵倒してくれるから僕たちは恋バナに専念できるよ」

「恋バナじゃないでしょ」

「あ、惚気話ってこと?」

「今すぐその口をふさいでやろうか」

「キスするの?それは蓮さんの特権だからなあ悪い気がするよ」

 ・うっぜえw

 ・新たな厄介出来上がったな

 ・俺らも見習わないとな

 ・見習うなw

 ・そんなことを話している裏で黙々と敵を倒していくと

 ・気にしないようにしてるだけ説

 舞希を翻弄するテアさん。

 それに耐えかねてゴンっという舞希の配信を見ていて聞いたこともないような台パンの音が聞こえてくる。

 舞希の顔は左に傾いたまま止まっている。

「痛っ。暴力だ暴力。蓮さんDV彼女と結婚したらダメだよ」

「まだ未成年なので結婚できないっすよ」

「成人したら結婚するの?」

「……この人炎上しないかな」

「蓮さんとの熱愛報道で炎上か」

「あーめんどくせー」

 ついつい本音が洩れてしまう。

 だが事実なので仕方がないだろう。

 これまでに例を見ない厄介ムーブに動揺して敵に弾が当たらない。

「この2人とのコラボ楽しーなー」

 愉悦に浸りながら高笑いをする。

 その後もテアさんに翻弄されながらランクを回していく。

 

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