リアルてぇてぇ
配信が終わりスマホに明かりを灯すと7時半とでる。
いつもとは比べ物にならないくらい早い時間だ。
始めた時間が早かったのも関係しているのだろう。
居間に戻ると由香里と朱音、そして生徒会の仕事を終えた凛がいた。
本当に俺の家かと疑いたくなるほどいつもの雰囲気が違う居間に驚く。
「おつかれー」
由香里がソファーから顔だけをこちらに向け言う。
「蓮も戻ってきたことだし私は帰るとするよ」
本来今日来るはずじゃなかった凛が帰る準備をする。
体育祭が終わった後に生徒会の仕事もあったのでさぞ疲れているだろう。
生徒会の仕事と言ってもそれは生徒会の人だけがやるものではなかった。
体育祭担当者も手伝う予定だった仕事を疲れているだろうからという理由で1、2年を帰し3年生だけでやったのだ。
改めて凛の凄さを実感する。
俺だったら他の人に仕事を押し付けるだろうなとありもしないことを考える。
まあ仕事を押し付ける相手なんていないんだけどね。
いつもご飯が置いてある机には3人分の夕食が置かれていた。
「蓮先輩ご飯食べますか?会長が作ってくれましたけど」
「あー、うん。食べようかな」
少し悩んだ末そう答える。
ただ少し問題がある。
「椅子2つしかないんだよなあ」
「私が蓮先輩の膝の上に座れば解決しますね」
「却下で」
朱音のふざけた解決案を脊髄反射で却下する。
正直俺だけ自分の部屋で食べてもいいのだが、
「だめ蓮も一緒に食べるよ」
とまあこんな感じで由香里に止められてしまう。
仕方がないので俺の部屋からゲーミングチェアを持ってきて3人で夕食を食べることにした。
今日の夕食はかつ丼。
体育祭で勝ったからだろうが、こういうのは試合が始まる前に食べるものではないかと思う。
「うっまーー」
1口食べた朱音が食リポ芸人もびっくりのオーバーリアクションをする。
ただ凛が褒められて俺も嬉しくなるのはなぜだろう。
「こんな時間まで居ていいの?」
夕食を食べながら聞く。
由香里は家が隣なのでいいのかもしれないが朱音はそういうわけにもいかないだろう。
「え、泊まっていったらダメですか?」
「ダメじゃないけど朱音の親が許可しないだろ」
「もう許可取ってます」
用意周到すぎだろと思う。
「まあ別にいいけどさあ」
そう言うと朱音は満面の笑みを浮かべる。
となると俺は必然的にソファーに寝ることになる。
ほんと大きいソファー買っておいてよかった。
「なら私も泊まる」
「え?」
由香里がそんなことを言う。
家が隣なのにこっちに泊まる意味って何なんだ?
「ま、いっか」
泊まる人が1人から2人になったところで変わらないだろ。
ただそうなるとどちらか1人がベットにもう1人がソファーに寝ることになるので俺は床に寝ることになる。
「それでどっちがベットに寝るの?」
「「私」」
「私だよ?」
「いや私ですって」
「いーや私だね」
「いやいやいや私ですって」
言い合っている2人の目は全然笑っていないどころかそのまま殺してしまいそうなくらい鋭い。
「この空間にいる俺の事も考えてほしいんだけど」
「「大丈夫考えてない時なんてないから」」
「あ、はい」
そう言われると黙るしかない。
結局じゃんけんで決めることになり勝ったのは由香里だった。
「ふっふっふー」
勝ち誇った笑みを浮かべる由香里に朱音は口惜しそうにしている。
「しょうがないですね。今回は譲ってあげます」
「これからも譲ってもらいます」
しれっと次も泊まると暗喩する2人。
「蓮は何処に寝るの?」
「床」
「なら私と一緒に寝ましょう」
ソファーで2人も寝れるわけないだろ。
いやベットでも寝ないけどね?
「まだ炎上したくないから遠慮しておく」
「床で寝れるの?」
心配したように由香里が聞いてくる。
「まあ俺の部屋ならカーペット敷いてあるから大丈夫なんじゃない?」
居間と違い俺の部屋はカーペットが敷かれている。
さすがにそれでも硬いとは思うがないよりはましだろう。
「じゃあ私も蓮先輩の部屋で寝ます」
「なんで?」
「え、先輩方は後輩を1人で寝させる気なんですか?」
まあ確かにそれもそうだなと思う。
ソファーを移動させるのがめんどくさくはあるが渋々運ぶ。
体育祭で疲れたこともあってか9時という超健康人間のような時間に床に就く。
2人ともすぐに寝息を立てる。
床の固さが気になりはしたものの体は疲れていたのかすぐに寝ることができた。




