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新衣装

 舞希の新衣装兼俺のお披露目の配信は3人でやることになった。

 俺と舞希とそれとゆうぁとさん。

 配信前に一通り設定と操作方法を教えてもらい予定していた時間ぴったりに配信を始める。

 配信をするのは俺と舞希だ。

 ゆうぁとさんはアカウントは持っているが配信をしたことがないらしい。


『どーもーこんちゃー。碧舞希でーす』


 まだ配信には背景しか映さず挨拶をする。


『「……」』


『え、次わたし?』


「俺なんですか?」


『どっちでもいいって』


 舞希が笑いながら言う。

 今まで最後に挨拶をしていたので癖で待ってしまった。


『えー、どうもママでーす』


「どうもオタクでーす」


 流れに乗って挨拶をする。


『今日はオタク君とママと一緒に蓮君のV体と私の新衣装をお披露目します』


 ・おおおおおお

 ・やっぱ同時にやるのか

 ・楽しみー

 ・わくわく

 ・心臓の準備が

 ・汗とまらん


 当然のように舞希が進行してくれるので助かる。

 

『でも蓮君はvtuberになるわけじゃないんだよね?』


『そうだね。live2dを持ってるっていうだけ。ちなみに何が違うのかは分からん』


 元プロゲーマーとかがvtuberのようになっているが正式には違うらしい。

 ちなみに俺も何が違うのかは分からん。


『私新衣装とか長々とやるの嫌だから早速見せてこっか』


 今まで舞希は10回ほど新衣装の配信をしているがそのすべてが30分前後で終わっている。

 短くて悲しくなるがその後余裕で5時間とか配信するので問題ない。

 頭に問題はあるだろうが。


『これ、どうやる?』


 どうやって見せるという事だろう。

 俺は2人で新衣装をお披露目している人は見たことがないので分からない。

 

『じゃあ足から見せていこう』


 ゆうぁとさんがそういったので俺はすぐに体を動かせるようにする。

 体というのは勿論Vの方の事だ。

 せーのと言う舞希の掛け声に合わせて動かす。


『じゃーん』


 ・きたー

 ・おおおお

 ・かわいい―

 ・まだ足しか見えてへんやろ

 ・ぺろぺろ

 ・きっっ


 ドヤっとゆうぁとさんが言う。

 舞希の衣装は制服のようなミニスカートとタイツだ。

 制服と言っても校則でアウトだろと言いたくなる丈の短さをしている。

 事前に見ていたのは俺の姿だけだったので俺もリスナーと一緒に舞希の新衣装を楽しむ。

 俺はというとこちらも制服のような黒いズボンをはいている。


『私の丈短くない?』


 そう言って足を左右にふるふると動かす。

 それに合わせてスカートも動く。

 ほんとタイツはいててよかったよ。


『次は―、首くらい?』


『そうだね』


 まだ顔は映らないように首の下くらいまで見せる。

 ここまでくると完全に制服という事がわかる。

 舞希はブレザーで俺はワイシャツを着ている。

 ワイシャツは半分インして袖はまくられている。

 

『おー学生服だ』


『そう、蓮さんが高校生って聞いたから』


 ・制服だ!

 ・う゛っ

 ・!!!!!

 ・今から入れるほけn

 ・もう死んでるやんけ

 ・おしゃれすぎやろー


 俺に合わせてくれたらしい。

 画面を見ると俺の手が舞希に当たっていたので体をずらしておく。


『蓮さん今手当たってるからずらしたでしょ』


「なんでわかるんですか」


 ゆうぁとさんに何故かばれてしまった。

 仕方がないだろ。

 オタクは仮想空間でも推しには触れないのだ。


『最後は顔だね。せーのっ』


 モニターには2人の胸から上だけを映す。

 舞希は長くなったピンクの髪をポニーテルにしている。

 顔が動くと尻尾のように髪も揺れる。

 俺はリアルより少し髪が長くなっている。

 FAで書かれていたように黒髪で毛先が舞希の髪と同じ色だ。

 そしてどちらも白と青のヘアピンを輝かせている。


『あ、ヘアピンお揃いだ』


『おーよく気が付いたねー。姉弟だからね』


「ん?」

 

 姉弟という単語に反応してしまう。

 V界隈で同じイラストレーターの方が手掛けた人を姉弟とするのは知っているが推しが姉というのはむずがゆいものがある。

 

『ほらー、お姉ちゃんって呼んであげな』


『「え!?」』


 ・いい提案

 ・オタク君が呼べるわけもなく

 ・姉弟で夫婦とか俺得でしかない

 ・呼べよー

 ・草


 見えないが絶対にゆうぁとさんがニヤニヤしていることは分かる。

 後なんで舞希も驚いているのだろう。


「……お姉ちゃん」


『あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ』


 舞希の透き通った声の絶叫がイヤホンから聞こえてくる。

 マイクが音割れしてないのも凄いし耳にすっと入ってくるのも凄い。

 そんなことを冷静を装って考えているが心臓はバクバクと音を立てている。


『と、とりあえずスクショタイムにしよう』


 舞希が話の流れを変えるように言う。

 背景を緑色に変える。


『すきに撮ってねー』


 そう言ってポニーテールにした髪と一緒に左右に揺れる。

 真似して俺も一応揺れておく。


『あ!ねえ止まって止まって』


『え?はい』


『で、まきまきは右に傾いて』


 舞希が真ん中に頭を傾ける。


『そしたら蓮さんは左に傾いて』


 言われたとおりに左に傾く。

 そうすると……


『おーかわいいねー』


 ・てぇてぇ

 ・かわいすぎー! 

 ・これから配信でこれが見れるのか

 ・一生コラボしててくれ

 ・この姉弟てぇてえすぎだろ

 ・夫婦だろ


 頭を寄せ合っているようになる。

 反射的に戻ってしまう。

 画面を見ると舞希も顔を戻していた。

 思わず額に手を当てると熱でもあるかのように熱かった。

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