表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/76

何故か連れられた買い物

 意味も解らず目の前のはしゃいでる2人に連れられ平日でも人の多いショッピングセンターに来ている。

 陽斗はアニメのグッツを由香里は服を買うらしいが今は言っているお店は360度どっからどう見ても関係ないと分かる。

 この2人は目に入った興味のあるお店に片っ端から入っている。

 買うものが決まってるのならさっさと買えばいいのにと思うのは俺だけだろうか。


「うわこれいいなあ」


「かわいー」


「俺ちょっと買ってくる」


 え、買うの!?

 聞こえてきた会話にビックリする。

 アニメのグッツって高いイメージがあるがここで使って良いのだろうか。

 

 結局目的地に着くころには入ってから1時間ほど経ってからだった。

 陽斗と由香里は目的地が違うためここで別れるようだ。

 行く当てもなくとりあえず陽斗の後ろについていくと振り返って言う。


「蓮は由香里と一緒に行け」


 そう言い残して早歩きで視界から遠のいていく。

 おい気まずいって。

 何で由香里と一緒に行くのかも分からないがそもそも2人の買い物に俺も付いて行ってること自体が分からない。

 放課後帰宅しようとしたところをさも誘拐されるように連れられてきたのだ。

 あの時もっとはっきり拒否していればよかったと後悔する。

 

「じゃあ蓮行くよ」


 歩き出す由香里の背中を追う様に俺も歩き出す。

 牢獄(学校)終わりにこうも長い時間歩き続けたせいで俺の脚は壊死しそうだ。

 少し前を歩いていた由香里がペースを落とし俺の隣に並ぶ。


「ごめんね付き合わせちゃって」


 由香里が律儀に謝ってくる。

 悪いのは由香里じゃなくてあいつだ。

 それなのに謝ってくるとは……聖人かなんかか?


「いや大丈夫だよ。ただ何で俺はここに連れてこられたの?」


 ずっと気になっていたことを聞く。

 若干聞く相手を間違えている気もするが知っているだろうか。


「元々は私と陽斗で行く予定だったんだけど陽斗が蓮も呼ぼうって」


 ……え、それだけ?

 俺は理由もなく呼ばれたのか?まだ荷物持ちとかで呼ばれたほうが嬉しいぞ。

 いや荷物持ちも嫌だけどそっちの方がましという話だ。

 

 由香里が入ったお店は白とピンクが特徴的な内装をしていた。

 これを言うとSDGsを掲げる人たちに怒られる気がするがとても女性向けという印象を与えるお店だ。

 置いてある服も女性用の物が多く見られ……あれもしかして俺場違いか?

 このお店に入っている人の多くは女性で男性も数人いるが皆女性に付き添っていてカップルのような関係に見える。

 あー、居たたまれない。

 足に負荷かけているんだから心臓には負荷をかけないでほしいものだ。


 由香里は迷いのない足取りでお店の奥に向かっていく。

 俺もなんとか周囲の目を気にしないようにしながら付いて行く。


 元々買うものを決めていたのか5着ほど手に取る。


「ネットで見ててかわいいなって思ってたんだよね」


 そう言って手に取った服を少し広げて見せてくる。

 ネットで買わなかったのはサイズとかの問題があるのだろう。

 ネットどころかリアルでもあまり服を買わないので分からないが。


「これ試着するからどれが良かったか教えくれない?」


「え?」


 突然の申し出に俺の頭は考えることを放棄した。

 俺の返事も待たず由香里は試着室のカーテンに遮られ姿を消す。

 店内でかかっている音楽と共に耳に入ってくる衣擦れの音。

 明確な理由は無いが聞いてはいけないように感じる。

 というかこんなことをするのはここにいるお客さん達と同じような関係性の人だけじゃないのか。

 異性の友達同士でもするものなのだろうか。

 異性どころか同性の交友関係も不十分な俺ではいくら考えても答えは出ない。


 ガラガラ、と試着室のカーテンが開く。

 体のラインがよく分かる水色のワンピースを着た俺の認識より大人びた女性が立っていた。


「どう?似合う……かな?」


「え、ああ似合ってるよ」

 

 そんなありふれた答えしかできない。

 というかこの服どっかで見たことあるんだよなあ。

 そう思いこの服の既視感を探るため俺は記憶を遡っていく。

 それはあまり遠くない過去。俺の人生の2度目の転機。


「違ったらごめんだけど、もしかしてその服初めて会った時も着てた?」


 そう言うと由香里の顔がぱあっと明るくなる。


「そうだよ。よく覚えてるね」


 よく覚えてるねと言うがさっきのセリフで伝わったという事は由香里も覚えていたのだろう。

 だがもう持っているはずの服を買う必要があるのかと聞いてみる。


「ああ、ちょっとサイズ合わなくなっちゃて」


 そう言って胸に手をのせる。

 やめて!胸に手のせないで!変なこと想像しちゃうでしょ!!

 ここではどこのサイズが合わなくなったのかは言及しないでおこう。

 

 この後も何着か試着して感想を求められた。

 結局買ったのは最初のワンピースだけ。

 会計を終らせてお店の外に出る。


「蓮はなんか買うのないの」


「うーん、特に……」


 そこまで言って思い出す。


「あ、服買いたいんだった」

 

 前に由香里と2人で買い物に行ったときおしゃれな服がなくて困ったことを思い出す。

 まあ、これから誰かと出かけることは無い、と思ったがそう考えて前後悔したので1着くらい買っておいてもいいだろう。


「陽斗まだ買い物中らしいから蓮の服買いにいこっか」


 由香里が陽斗に連絡してたであろうスマホをカバンにしまう。

 そして由香里が歩きだし俺も付いて行こうとした時……


「あれ由香里じゃーん」


 よく聞いたことがある声の持ち主が由香里を呼ぶ。

 

「綾ちゃん!どうしたの?」


 そして始まる女子会。

 もう服なんて買わずに帰ろうかな。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ