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祝20万人!!

 配信を始めると記念配信という事もありコメント欄はいつもの3倍くらいの速度で流れていく。

 24インチのメインモニターに映されているコメントはほとんどが読むことができず上に消えていく。

 いつもこのくらいの速度で流れている舞希や天外さんはコメントを拾って話しているのでそのすごさを身をもって体験している。

 

「はーいこんばんは。ロータスです」


 ・こんばんは

 ・きちゃー

 ・こんばんは

 ・おめでとー

 ・声良

 ・音質が良くなってる


 今までのコラボ配信の癖で普通に自己紹介したが何気に個人配信で自己紹介をするのは初めてだと思う。

 まあ登録者20万人の人が自己紹介できるのは当たり前だと思うが。

 だが自己紹介ができても雑談はできないというのは悲しいことだ。

 爆速で流れるコメントを読むのは諦めて話のネタを探すことにする。


「あ、そうそうマイク変えたんだけどどう?音質良くなってる?」


 ・マジで声良い

 ・最初聞いた時びっくりしたわ

 ・vtuberになれる

 ・どれだけ前のマイクゴミだったんだ

 

 好評だった。舞希も良くなったって言ってたし後で聞いてみるか。

 聞くのはこの配信ではなく今日のスクリムの配信にしよう。

 俺1人の配信を見るのは拷問に等しいからな。

 

「まあ本題ね。タイトルにも書いてるけど20万人達成しましたー」


 ・おめでとー

 ・おめ

 ・おめー

 ・8888888

 ・伸び率凄かったな


 とりあえず今日の配信のことを話す。はいこれで俺の話のネタが尽きました。

 どうしたら舞希みたいに話を回せるのだろうか。

 お祝いのコメントそっちのけで少し倒した椅子の背もたれに背中をぴったりくっつけて考える。

 あ、リスナーに考えてもらえばいいのでは?話のネタを探せなかった不出来な脳が意外な働きをする。


「はい、この配信で話すこと終わり。質問コーナーにします」


 そう言うと質問が流れ始める。

 ただでさえコメントを読むのが難しいのにさらに加速していき短い文章じゃないと読むことができなくなる。

 すぐに消えてしまうコメントの中からなんとか読むことができた質問に答えていく。


「彼女?いないよ。煽ってんのか」


 ・草

 ・もしかしてこれから1時間質問コーナー?

 南凪咲・いるだろ^^

 ・凪咲さん?

 ・本物や

 ・カプ厨の登場


 凪咲ちゃんがコメントしてきてびっくりする。

 『watcher』は設定で特定の人の名前を強調表示できるのだが前の配信でそれをしていたためこのコメント欄の速度でも気づくことができた。

 凪咲ちゃんが言っているのは舞希の事だろう。うちの配信の厄介オタク筆頭だ。

 個人の配信でも俺たちについて長々と語っていることがあったりするのを切り抜きで知った。

 恥ずかしいのでは見たくなかったが推しの事も言っていたので見ないわけにはいかなかった。オタクの性というやつだ。本能的に動画を再生していた。

 この凪咲ちゃんのコメントが導因となり舞希関連の質問が増えてきた。

 

「舞希とどこまでいきましたか。どこまでもいってないです。あ、でもさっきまで一緒にゲームしてたよ」


 ・てぇてぇ

 ・てぇてぇ

 ・キスまでは行こう

 南凪咲・付き合っちゃえよ

 ・草

 ・事務所公認になるにも遠くないか

 碧舞希・見てるよ


「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛嘘だろお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」


 ・草

 ・音質がいい絶叫

 ・久々にオタクでたな

 ・コラボしてたのに全然耐性ついてなくて草

 南凪咲・嫁登場

 ・厄介オタクもいますと

 ・裏でゲームしてたの?


「ああ、そうそう。招待来て入ったら天外さんもいてビビったんだよな」


 ・天外さんとやってるってツイートしてたね

 ・天外さんともやったの?

 南凪咲・浮気か?

 ・ハーレム路線かもしれん

 ・ありだな

 碧舞希・なしだよ


 なんか話が危ない方向に行こうとしているのを察して話を変える。


「あ、そうだ1周年記念で何かやってほしいことある?」


 ・もうそんなに経つのか

 ・公開告白

 ・凸待ち

 ・違うゲームもしてほしい

 ・歌おう 


 公開告白ってなんだよ。やるわけないだろ。

 歌は……ちょっと恥ずかしいから却下だ。

 

「凸待ちはやってみたいけど人来ないでしょ。違うゲームって具体的には何かある?」


 ・ホラゲー

 ・恋愛シュミレーション

 ・誰かと脱出ゲーやってほしい

 ・エロゲ

 ・BANされるぞ

 ・草

 ・いつ1周年なの?


「誰かとやるのはありだね。エロゲは無理に決まってるでしょ。BANされるし、なにより俺まだ16才だからね?ああ、5月1日が1周年だよ」


 ・あと1週間か

 ・わっか

 ・エロゲ無理なのかあ

 ・落胆するな

 ・もしかして舞希さんとデビュー日同じ?

 ・確かに舞希さんも5月1日だったよな

 

「そうだね舞希と同じ」


 ・へー

 ・ふーん

 ・そうなんだー

 南凪咲・^^

 ・にやにや

 ・口角上がってまう

 碧舞希・何か一緒にやります?


 脳がフリーズする。これ俺の知ってる言語で合ってるよね?


「……え?……まじ?……やり……ます?」


 碧舞希・やりましょう

 ・まじか

 ・うおおおお

 ・うおおおおおお

 ・やったあああ

 ・きたあああ


 今のコメント欄が俺の気持ちを表している。

 コメントの横に表示される時間が7時に近づいていた。


「そろそろ7時だから配信終わらないとな」


 ・なんで?

 ・そうなん?

 ・スクリムって8時からじゃないっけ?

 ・なんかあるの?


「集合時間が7時だからさあ」


 ・なるほどね

 ・早いな

 ・スクリム頑張って

 ・割とマジで優勝できる

 ・ファイト―


「頑張るのは俺じゃなくて選手たちだけどね。まあ8時からスクリムの配信するから良ければそちらも見てください」


 ・宣伝してる……だと……

 ・あのロータスさんが?

 ・ロータスちゃん成長したわね

 ・母親いるんだけど

 ・ワロタ


 今までのコラボ配信で宣伝することを覚えた。

 まあその時は宣伝することなんてなかったけどね。

 宣伝している姿を見て学んだのだ。『親の背を見て子は育つ』ならぬ『推しの背を見てオタクは育つ』だ。


「てなわけでいったん配信閉じます」


 ・分かりました

 ・おけです

 ・了解

 ・スクリムの配信も見ます

 南凪咲・がんばってー

 ・あんたも集合するんだろ


 配信を閉じて集合予定の通話サーバーを映す。

 本当なら早く入った方がいいのだろうが高揚している心を落ち着かせてから入ることにする。

 このサーバーに入るのがメンバーだけなことに少し安心する。

 他のチームの人も来るとなると俺の心の準備は今の5倍くらいかかるから。


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