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任されました1

「英治、身体は平気なはずですよ?こっち来て話をするですよ」


謎の人物に語りかけられて目を覚ました英治は立ち上がりまだはっきりしない意識を徐々に覚醒させていき、意識がはっきりすると身体を大げさにくねくねさせ、異常が無い事を確認する


確か高層ビルから落ちた筈だが、傷ひとつなくピンピンしている

どういう事かと顎に指を当て首を傾げているとまた謎の人物が発言する



「英治はやくこっち来るですよ。何飲むです?水?コーラ?ビール?」

木製の丸いテーブルにコップを置き、氷とコーラを入れている人物を見て、言われるがままにそちらに向かい、とりあえずと椅子に座る

注文聞いてきたのに勝手にコーラかよ!いや、コーラ好きだけどさ!


出されたコーラを一気飲みして炭酸が喉にパチパチと染み渡る痛いようで気持ちがいいその余韻に浸った後に、向かいの椅子に座った人物を観察する


20代前半だろうか 整った顔の割に幼さが見える男性がにこやかにこちらを見ている

綺麗な金髪はまるで本物の金を塗り込んだかの様な輝きを放っているようにさえ見える


「お前何者だよ?お前が助けてくれたのか?どうやって?ってか俺の名前なんで知ってるの?病院じゃないみたいだけどここは一体…」

そんな英治の疑問に対し まぁとりあえず落ち着いて

聞くですよ、と男性が切り出す



「僕はペトっていうのですよ。これでも神様なのですよ?ふふっ

君は1度確実に死んだですよ?その瞬間に君の魂をこちらに招いたんですよ」


オタクの学がある方だと自負する英治はすんなりその言葉に納得する いや、妙に容易く頭の中で整理できてしまうのだ。ペトの目を見ながら会話を聞いているのだが、俺はどこか安心したような、そんな感覚に陥る

実は先程まで少しの不信感を抱いていたのだがもうそんなものはない

この神様は本当に神様で、自分にはこれから良いことがあるんだ。それを脳が直感的に理解したようだ。

ペトの言葉の続きを待つ英治



「これでも僕のモットウは悲しい人生の終わり方をした人に新たな、そして楽しいと思えるような人生を送ってもらう事なのですよ」

えっへん と胸を張り誇らしげなペトである


「これから英治には異世界へ転生してもらうのですよ。そこには人間はもちろん、エルフやドワーフ、ドラゴンや魔物が存在する英治にピッタリな世界なのですよ」


エルフ?!ドワーフ?!ドラゴン!!!?すごい素敵なワードがどんどん出てくるから反射的に質問をしてしまう

「魔法なんかあったり?」


「もちろんなのですよ。魔法で攻撃するも良し、回復するも良し、物に付与するも良しの何でもござれなのですよ」

おいおい、最高かよ

「ちなみに俺の職業とか自分できめられるんだよな?やっぱ勇者がいーかなぁー?大魔法使いってのも憧れるなぁ」

妄想が広がりニヤける英治に対して、イイ質問なのですよー。とペトは答え始める

「基本的には産まれる時に何の職業になるか魂の情報に刻み込まれるのですよ。

身体とともに心も成長していき、自ずと自分が就くべき職業を理解するとステータスの職業欄に職業名が付くのですよ。さっきの質問ですが、英治は何者になってもらっても構わないのですよ。でも勇者はダメなのですよ」

…………ん?んー?んーんー…よくわからん!異世界転生したら将来何になりたいですかー?って学校の先生に聞かれたら1位が当たり前の様に勇者でしょーが!女の子の将来の夢がお花屋さんくらい当たり前でしょーが!いや、お花屋さんは違うか。お嫁さんかな?いやいや、ケーキ屋さんか………例え下手かよ!

ってかそもそも学校の先生はそんな質問しねーよ!!


「何でダメなんだよぉ〜。ペトのケチぃ」

ケチと言われて、ケチじゃないですよぉ!プンプン!と可愛らしげに怒ってみせる神様


「理由はあるのですよ。

通常、こちらに魂を招く際に魂の好みを読み取り、その人が幸せになれる世界を創造するですよ。英治の魂をこちらに招いた際にも例に漏れず魂の好みを読み取ったのですよ。そしたら大変なことになったんですよ!」

ゴクリッ、と唾を飲み込み、核心部分の真相が語られるのを待つ





「実は、、、、、実は、暇潰しに造った世界と英治の魂に刻まれた好みがほぼ一致したですよ!!!」


なんて事ですよーー!!奇跡なのですよーー!!!とやまびこが返ってくるのを期待する様に手で口元を覆い、明後日の方へと叫ぶペト



相手のペースに乗ったら負けだ!

英治はペトに食いかかる

「いやいや、いーじゃん?!俺が勇者になりゃいいじゃん?!」


やまびこの代わりに返ってきた英治の言葉に、先程までふざけていた様な顔をシュッと引き締めペトは答える

「ダメなのですよ。この世界には既に勇者がいるんですよ。勇者は唯一無二!とても特別な存在なのですよ!それを曲げて勇者を2人にしようなんて英治の考え方は悪魔的なのですよ!」

鬼!悪魔!変態!イケメン!

俺を罵倒するペト

両手でほっぺと目をつまみ、変顔を作っている

さっきの真面目に答えますみたいな表情は一瞬で崩れていた

まぁ、最後の褒め言葉だけは有難く受け止めておこう。

「じゃあ今いる勇者には消えてもらってさ?俺が代わりになるよ。それでいいだろ?」


「英治、元いた世界で例えるとですよ?超人気でモテモテの俳優が次の日には自称イケメンと謳うお笑い芸人になってたらどう思うですよ?」

ラーメンなのですよ?つけ麺なのですよ?僕イケ…


ペトが何か言い続けているが例えを聞いて確かにと納得する

納得はするがその例えだと自称イケメン芸人の立ち位置が俺なわけで

ペトよ………俺は例え方が下手だがお前は例え方が失礼だ!!

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