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格闘ゲーマー迷宮入りの推理奇譚  作者: 秀島キョウ/師走幸希
ホームゲーセンが一緒だった編
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Round03.反応のない部屋

 四人は外に出ると土曜の夕方、住宅街に向けて歩き出した。

 シフの家はアパートの一室で一人暮らしだ。迷宮入りはとある理由で引っ越し作業を手伝ったことがあったため、場所を知っていた。


「シフのやつ、格闘ゲームはうまいのに、こういうずぼらなところがあるからプレイヤー間で評判良くないって気付いているのかな」


 歩いているとふいにケイブが零した。


「ふん。俺も他ゲー勢でシフを知っているダチに言われたな。あいつに物を貸すのはやめた方がいいと。といっても、対峙したときの愛想だけはいいからな。まだ間に合うだろ、あいつも若い」


 夜叉はこう言うが、彼とてまだ二一歳の大学生だ。シフも含めて全員何らかの仕事に就いているが、立場関係なくしっかりしている人間はしっかりしている。しかしハンドルネームは夜叉金剛丸だ。どこかでは、やはり変わっているのは間違いない。


「シフって、結構好み似ているっぽいんですよね。ああいや、ゲームとかアニメの話ですよ。意外と押さえてるとこ押さえてて。それでつい貸しちゃったりしたの、ボクの判断ミスだなとも思ってますよ」


 キヨシが少し否定的なニュアンスを含んだ物言いをする。彼はゲーム画面の中でも現実においても正直な部類だ。


「あれはもう、悪癖というやつだわなぁ。僕は前から言ってるが、あれは言われるまでやれないタイプだよ」


「迷宮さん、そこまで分かっててなんでマンガ貸してるんですか」

「そこはほら、夜叉も言ったけどあいつ愛想はいいだろ? ほだされちゃって」

「……分からなくはないですね。悪い意味で噂があっても知り合い結構多いっぽいですもんね彼」

「そこが問題なんだ、あいつの場合。ほら、その角を曲がったらすぐだ」


 夕闇が迫る頃、四人はシフの自宅前に到着した。オートロックなどはない、誰でも気軽に入れる構造だ。


「二〇一号室、角部屋だ。さっき下から見たら明かりが点いてたから、多分いるだろう」


 迷宮入りが部屋の前に陣取り、インターホンを鳴らした。

 反応がない。


「イヤフォンか何かして動画でも見てるか、トイレとかかな?」


 ケイブの声を背に、迷宮入りが無言でもう一度インターホンを鳴らす。


「ん、反応がないな。明かり点けたままコンビニにでも行ったのかもしれない」


 今度はドンドンと周りに迷惑にならない程度にしかし室内にいれば音と振動が伝わる程度の強さでドアをノックした。少し待つが、聞こえるのはカラスの鳴き声くらいである。


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