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私、人生迷ったら世界最強魔導士になりました。  作者: 工藤 零
第一章 『自分探しの旅』
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4『足りないもの』

「マナとオドに分けられるのは、その利用性の違いのためによるものです」


「ほお」


先程リナンから借りたペンでメモ帳に書き記しながら、真面目にレクチャーを受ける。

まだこの世界の文字は書けないので日本語なのが恥ずかしいが、そこは気にしないでおく。


「私達はオドを使って色々なものを生み出すのですが、マナは原則、操る事は出来ません。体内にあるからこそ魔法として自由自在に使えるのです。なので、オドとマナを一律にするとや

やこしくなってしまうので、同じものであっても存在する場所で名前を分けているのです」


「なるほど」


簡略的にメモしていきながら、魔法について考える。

確か女神が、私は魔法を使うのに特別な力を持っていると言っていた様な気がする。

それが何なのかは教えてくれなかったが、まあそのうち分かるだろう。


「マナとオドの違いについてはもう分かりましたか?」


「はい。ありがとうございます」


リナンは笑顔で頷き、息を深く吸った。


「では、もう少し魔法について掘り下げていきましょう。魔法には、種類があります。まず、4つの基本属性があります。炎、水、土、風ですね。炎は風に強く、水は炎に強く、土は水に強く、風は土に強いという性質を持っています。これが何故基本属性というかなのですが、ちゃんとした理由があります。何でだと思いますか?」


「へ?」


リナンは一息で喋り終えたと思うと、急に私に振ってきた。

戸惑う私をよそに、リナンはニコニコと笑って私の答えを待つ。


「えっと……。自然にあるものだから、ですか?」


「うーん。それもあるんですが……、まあ、簡単に言ったら、使える人が多いからですね」


リナンは、私が外しても表情を変えることなくつらつらと説明していく。


「魔法には向き不向きがあって、人それぞれ向いてる属性があるんです。それで、この基本属性に向いてる人が多いですから、基本属性というんです」


「へえ。じゃあ、私の向いてる属性も分かりますか?」


「そうですね。調べてみましょうか?」


「お願いします」


そう言うと、リナンはどこかに引っ込んでしまった。

かと思うと、何かを手に持ってすぐに出てくる。


「何ですか、それ」


「魔導具です。何に向いてるか調べてくれるんですよ」


「おお、そんな物が」


魔導具と言うと、魔法のような機能がついた道具のことか。

いや、実際に、魔力が込められているとかそう言う類のものだろう。


「これに手を当てて下さい」


「はい」


先程の紙の時と同じように手のひらを石板の手形に合わせて当てる。

すると、手形の上の方にあった穴から、何かがうねうねと出てきた。

──水のようだ。


「あ、水属性のようですね」


「おお、水ですか」


水といえば、綺麗な魔法が使えるイメージがある。

早速、魔法を使ってみたい。


「水魔法は、ちょうどマスターが使い手ですから、教えてもらいましょう」


「はい、是非……」


教えてもらいたいです、と言おうとすると、視界がぐわっと歪んだ。

何が起こったのかわからずに、倒れこむ。

そのせいで石板から手が離れ、石板上にあった水が形を崩した。


「ナツメさん!?」


歪むリナンの顔を見ながら、私は思った。

──また死んじゃうのかなあ。






「大丈夫ですか?」


目を覚ますと、すぐ近くにリナンの顔があり、またその顔が歪んでいるような事はなかった。

どうやら、死にはしなかったらしい。

体を起こそうとすると、リナンが私の体を軽く抑えた。


「まだ安静にしていて下さい。オドを使い切って、完全にはまだ動けないんですから」


「オドを使い切った?」


「ええ。あの魔導具は、手を置いた者のオドを使って適性を測るのですが、ナツメさんはオドが少な過ぎて、魔導具に全部吸収されてしまったみたいなんです」


なるほど。だから、こんなに疲労感が半端ないのか。

オドは確か、生命力だ。生命力が無くなってしまえば、倒れてしまうのも当然と言う事なのだろう。


「その、魔導具にオドを使い切らされるって事ってよくある事なんですか?」


「いいえ。非常に珍しいです。あの魔導具は、本当に少ない分しか使わないように設計されていますから、使い切るなんて事は……」


「って事は、私のオドはありえないぐらい少ないって事ですよね?」


「ええ、まあ」


──あれ、おかしいなあ。

確か女神が、私には魔法に関しての特別な能力を付与したって言っていたけれど、オドが少ないと意味がないんじゃ?


「困りましたね。魔法を教えようと思ったのですが、変更して武術を教えないといけなくなってしまったみたいです」


「ええ!?」


魔法が使えない上に、武術をやらなければならないだなんて。

──私は、運動が大の苦手なのに。


「いや、そうでもなさそうじゃぞ?」


そう声がした方向を振り向くと、私よりも背の低いおじいちゃんが立っていた。


「マスター、それはどういう意味ですか」


リナンが驚く事なくそう問うと、マスターと呼ばれたその人物は、長い髭を擦りながらゆっくりと言った。


「この子は、マナを操れるようじゃからのお」


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