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刻印の付与魔導師(エンチャンター)  作者: 大和・J・カナタ
第7章 アヴァロン王国

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07-13 幕間/クリスティーナの独白

 先代魔王であるオルバーンにかけられた“停止”の魔法。もう、二度と誰かと言葉を交わす事も、触れ合う事も出来ないのだと思っていた。

 でも、一人の人間族の冒険者がその呪縛を解いてくれた……力技で。


 彼に出会ったのは、運命だったのだと私は思っている。

 運命の人……私の英雄。その人の名は、ユート。


************************************************************


 彼は不思議な人だった。

 人間族なのに、獣人やエルフを連れている。そして魔人にも忌避感なんかは無いみたい。自然な笑顔を私や兄上に向けて来る。

 それが嬉しくて、胸の内が温かくなるのを感じる。

 異世界人にも会ったけれど……名前、何だっけ。彼等では、温かくならない。ユートと居る時だけ、心がポカポカしてくる。


 兄上が開催した、お茶会。ユートは余り口を開かない。

 迷惑なの? 楽しくない? 

 ちょっと心配になった。だから、聞いてみる。

「ユート、楽しくない?」

 ユートは苦笑いして、首を横に振る。

「いえ、楽しいですよ。何か話題がないかと考えていたものですから」

 良かった、楽しくないわけじゃないんだ。ユートが楽しいなら、私は嬉しい。


「……ふむ。ユートよ、折角だからお前の旅の話を聞かせてくれないか」

 ……兄上、褒めて遣わす。私も聞きたい、ユートがこれまで経験して来た旅のお話。


「クリスティーナ殿下、それで構いませんか?」

 ……むぅ、余所余所しいのは嫌。私が魔王の妹だからなの? お願いしたら、ユートは普通に話してくれるかしら。

「クリスでいい……敬語もいや……」

 そう言ったら、ユートは少し困ったような顔になったけど、優しく微笑んでくれた。

「わ、解ったよ、クリス……これで、いいのかな?」

 クリス……ん、ユートにそう呼んで貰えたら嬉しいの。


 その後の、ユートの話はとても楽しかった。私もそんな風に、旅をしてみたいけれど……ダメかしら。


************************************************************


 ユート達は、魔王国の大迷宮に挑むんだって。

 折角仲良くなったのに、もうお別れなの? そんなの嫌、それなら私も着いて行きたい……。

 でも、困ったように笑うユートが、約束してくれた。

「大迷宮を攻略したら、もう一度会いに来るよ」

 そう約束してくれたから、信じて待っているの。大丈夫、ユート達ならすぐにまた会いに来てくれるもの。


************************************************************


 本当に、すぐに会いに来た。びっくり、まだ三日も経っていないのに。

 勇者達と、見知らぬ人間族が率いている冒険者のパーティが一緒だけれど……何かあったの? 


 でも、そんな事はどうでも良くて。

 首飾り、腕輪、指輪……私と兄上への、ユートからの贈り物。嬉しい、こんな素敵なプレゼントは初めて。

 ユートは遺失魔道具アーティファクトだよって言っていた。遺失魔道具アーティファクトを作れるなんて、本当にユートは凄いの。


「ふむ、不明点は未だあるが、確かに報告は受け取った。それで、根源魔法アカシックレコードとやらは何人が獲得できたのだ?」

 勇者の報告を受けた兄上が、勇者に根源魔法アカシックレコードの取得状況を聞くの。でも、勇者は歯切れが悪い。

 それに応えたのは、勿論ユート。

「僕達のパーティは全員、勇者達はメグミのみだ」

 ユートを睨む勇者その一。

 勇者のクセに、踏破できなかったの? それなのに、何故勇者が報告しているの? それはユート達の役割じゃないの? 

 私は、これまでペラペラ喋っていた勇者が、何だか嫌いになってきた。


『……ユート』

 早速、ユートがくれた腕輪クロスリンクを使ってみるの。

『なんだい、クリス』

『……勇者達は、攻略したの?』

『勇者達は、大迷宮で別行動だったんだけどね。僕達の後を尾けて来たんだよ』

 つまりメグミ以外は、戦ってもいない? この人達、何しに行ったの?

 メグミは良いの、ユートを守ったから。


 ……


 ユート達と兄上が話していると、兵士が一人やって来た。その顔は、とても焦っている。

「謁見中失礼致します! 魔王陛下に緊急のご報告! 先代魔王軍が王都の四方から接近中! その数、東二万、西二万、北三万、南三万! 十万の軍勢です!」

 ……何故、今になって。

 どうしてなの? オルバーンはユートのパパが倒したのに。


 兄上は、そんな風に考えていた私に、念話を送ってきた。

『ユート達を人間族の大陸に帰還させる。ここで死なせていい男ではない』

『……ん、同感……』

 そう、ユート達が死ぬなんて嫌。

 私達は死ぬかもしれない……ううん、きっと死ぬ。でも、ユート達は……ユートには、生きていて欲しい。

 ――そっか、これが私の初恋なのね。


 兄上に、転移魔法陣を使って人間族の大陸へ戻り、オーヴァン魔王国の事を報せるようにと命じられたユート達。ユートは私達の事を報せる事を、了承してくれた。

 ありがとう、ユート……。


 ……


 私と兄上は、ユート達を見送りに……行ったはずだった。

 ユート達と一緒に転移魔法陣で転移させられた私は、海の向こうの魔王国を見る事しか出来ない。


 何も耳に入ってこない……今、兄上達は……どうなっているの……? 

 恐い、恐い、助けて……誰かこの不安を止めて。私を……兄上達を、助けて……。


「さて、行こうか」

 ……ユートの声。

「何処へ行くというんだ! イングヴァルト王国か!? クリスの気持ちを考えろ、ユート・アーカディア!!」

「黙っていろ、残念勇者。クリス、今すぐアマダムの加勢に行くぞ。戦うなら付いて来い」

 ……今、すぐ?

「……ユート? でも……」

「行く手段を俺が持っていないと思うか?」

 私の言葉を遮るようにして、ユートが得意気に笑った。

 普段の優しい顔とは違う……不敵な笑み。まさか……遺失魔道具アーティファクト!?


「行け……るの?」

「あぁ、君を兄貴の所へ連れて行く。やるんだろ、お仕置き」

 冗談っぽく言うユートは、視線を私に合わせてくれて……泣いてる場合じゃないの。

「んっ!!」

 ――パァンッ!! 

 破裂音と同時に、展開された転移魔法陣。

 こんなに……あっさりと……? ユート……一体何者なの?


 ……


 私達が帰還したのを確認した兄上は驚いていたけど、ざまぁみろって思った。私だけを逃がした罰なのよ。

「“手伝ってくれ”くらい言えよ。友達が困ってりゃ、いくらでも助けるぞ」

「……友、達」

 人間が魔人に対して……友達。友達に、なれるの? 

 ……じゃあ私が、ユートに好きって言ったら……ユートの側に居られるの?


「そうか。じゃあ協力はしないで……勝手に暴れさせて貰うわ」

 兄上の、協力は要らないという宣言。それに対して、ユートはそんな事を言った。

 何て、自分勝手。でも格好良い。

 更にユートは助っ人を呼んだ。ユートのお友達? いっぱい居るし、獣人やエルフ、ドワーフまでいるわ。

 ユート、顔が広いのね。


「ユ、ユート……お前、一体何をするつもりだ?」

「勝手にやるって言ったよな? だから、四分散して数の暴力に対し、質の暴力で捻じ伏せ、叩きのめし、ブッ潰すだけだぞ」

「正気か!? その少人数で!!」

 そう、確かに少人数で対抗できる相手じゃない……でも、ユートなら。きっとユート達と一緒なら、大丈夫。


「……ユート、私も行く」

「クリス、馬鹿な事を言うな!!」

「馬鹿は兄上、後でお仕置き……」

 馬鹿に馬鹿って言われたので、脅しておくわ。

 そして、ユートに視線を戻してお願いするの。私も……貴方のそばに居させて、貴方と一緒に戦わせて。

「お願い……」


 そんな私に、ユートは優しく微笑んだのよ。

「特等席を用意してやる、世界で一番安全と言う連中まで居る場所だ。絶対に俺から離れるな」

 ……あぁ、格好良い。その言葉に私は、これ以上無いくらい安心してしまうわ。


 ……


 ユートが鉄の塊を宝物庫ストレージから出したの。凄い、こんなに大きな物も入るのね。

 ユートがそれに跨ると、メグミが止めたわ。

「……連れて行って下さい、先輩」

「……後ろに乗れ」

 そう、メグミも私と一緒なのね。ユートと一緒に行きたいの。

「はいっ!!」

 嬉しそうなメグミ。

 ライバル? ううん、きっと仲間、同志だわ。だってキリエ達を見ても、そう思うもの。


「ユート、私は……?」

 何処にのればいいの? 

「……俺の前、おいで」

「んっ!!」

 背中はメグミに譲るわ、代わりに胸の中は私が貰うの。

 駄目勇者が何か言っていたけど、私達はユートに連れて行って貰ったの。これ、凄く、早い。


************************************************************


 グランディアを囲む、北側の大門。

 先代魔王軍は、現在不可視の壁に囲まれて、ユートの遺失魔道具アーティファクトから死に物狂いで逃げているわ。

 それを無視して、のんびりお茶を飲んでいるユート。

 ……これは、ひどい。


 しばらくして、ユートが立ち上がる。

「残念ながら、そろそろ時間か。じゃあ、生き残りくらいは相手してやろうかな」

 丸い玉を取り出したユートが、私達にもそれを手渡す。投げるのね? 


「この世の地獄は堪能したか? 今度は先代魔王と一緒に、あの世の地獄を楽しんで来い」

 ユートがそれを先代魔王軍に向かって投げる。私達も、それに倣って投げた。

 そして、広範囲にわたって発生した大爆発。

 何千人も残っていた先代魔王軍の残党達が、跡形も無く消滅した。

 あっ、ユートって絶対敵に回しちゃいけない人だわ。ちょっと……ホントにちょっとだけ、恐いって思ったもの。


************************************************************


 謁見の間で、兄上に戦果の報告をする。

 兄上は疲れた表情をしてるけど、無理も無いわ……さっきの光景を魔眼で見ていたはずだもの。


 褒賞を与えるという兄上の言葉に、ユートは“勝手に暴れたんだ”といって固辞する。

 ユートは私と兄上が“身内”だから手を出したの? ユートにとって“身内”は特別なのね……。


 四カ国会議の場所を相談していると、ユートにあてがあるみたい。今知ったんだけど、この助っ人の中には王子や皇子・皇女もいたのね……びっくり。

 ユートの遺失魔道具アーティファクトで、各国の王とも話ができた。

 ユートは検討するって言って、一度話は終わったの。


 話し合いに、私とメグミも付いていったの。

 アーカディア島という所を、会談場所にするのね? ユートの仲間は皆賛成だった。ユートに連れて来られた私とメグミも賛成よ。

「……満場一致じゃないか。んー、よし! じゃあ、この話は受ける事にしよう!」

 ユートは笑ってそう言ったわ。


 ……


「よくも俺達を置き去りにしたな、ユート・アーカディア! そんなに功績を独り占めしたかったか!」

 駄目勇者が何か言ってる。

「それにメグミやクリスを連れ去って、何のつもりだ! メグミ、クリス、こっちにおいで。何もされなかったかい?」

 誰がお前に呼び捨てを許したの? それにユートに酷い事を言って……許せないわ。


「鏑木さん、あまりにもそれは先輩に対して失礼ではありませんか?」

 私が怒るより前に、メグミが怒った。

「愛称で呼ぶのやめて……」

 私も怒る。

「ユートは魔王国の英雄……あなたは違う……」

「私は連れ去られたのではなく、自分の意思で先輩に同行したんです。それに先輩は優しい人です、変な事なんてしません。先輩に謝罪して下さい」

 私とメグミの言葉に、駄目勇者はオロオロし出した。

 ユートや私達の言葉に駄目勇者の顔が歪んでいく。あぁ、多分コイツは何も解っていないわ。


************************************************************


 離宮のテラスにユートがいるので、私はユートとお話ししに行く。ユートに会いたくなっちゃったの。

 テラスを見ると、ユートの背中は……何だろう、寂しそうに見えるのよ。どうしたの?


「……ユート、此処に居たの?」

 振り返ったユートの顔は、ちょっとお疲れ顔だったわ。

 ユートの横に行って、テラスから見える光景を見る。

 目を覚ました夜に見た、魔王国の光景そのままだわ……この光景が、失われていたかもしれないのね。

「……ありがとう、守ってくれて」

 そう言うと、ユートは笑って返事をくれたの。

「僕は、自分がやりたいからそうしただけさ。だから、気にしないで良いんだよ」


 もうすぐ、ユート達は行ってしまう。それは解っている……ユート達にはやりたい事もあると思うから。だから……。

「……行くの?」

「あぁ、行くつもりだ。仲間の為にも、回復の根源魔法アカシックレコードを探さないといけないからね」

 多分、もうすぐお別れ。

「明後日、魔王国を発つよ」

 それは、とても寂しいわ。

「……ん」

 だから……私は決意する。

「……戻る、また話し合いで……」


 あの娘達に、相談しよう……そして、もう一つ。

「……兄上へのお仕置き、決定したから」

 少し反省すべきだと思うの。


************************************************************


「……一緒に行きたい」

 私は口下手、自覚はあるのよ? だから、出来る限りの精一杯でキリエ達にお願いする。

「私達の旅に同行したいという事ですね。では、その理由を聞かせて貰えますか?」

 キリエ達から、拒絶する感じは無い。だから精一杯の気持ちを篭めて、伝える。

「ユートに恋をした」


 それが、私の素直な気持ち。これは私の初恋。哀しい結末で終わらせたくないの。

「はい、話は解りました」

「私達の想いは同じみたいですね」

「はい、クリス様からは真剣な意思を感じます」

「私も同じように感じました」

 キリエ、アリス、アイリ、リインがそう言うの。やっぱり、皆ユートが好きなのね。


「クリスさん、これからよろしくお願いしますね」

 キリエの言葉は、私を受け入れてくれるという意味合いのものだった。

 嬉しくて、つい抱き付いてしまったのは内緒だ。でも皆優しくて、私を受け入れてくれた。あぁ、嬉しい。


************************************************************


 アーカディア島で会談を行う事が正式に決まったわ。私も早く行きたい。

「では、オーヴァン魔王国からは余が赴くのは当然として、クリスと……」

 ……来たわ。

「……その人員、私は含めないで」

「ク、クリス? 何故だ、アーカディア島とやらはユートの本拠地だ。お前なら行きたいと思ったのだが」

 兄上が本気で焦っている。ふふ、これはお仕置きなの。

「……島には行く、ユートのパーティメンバーとして」

 一瞬、世界が止まったように思えた。“停止”はもうこりごりよ。


「んんんんんんっ!? な、何だって!?」

 何だかんだあったけど、最終的に認めさせたわ。そして、ユートは……。

「よし、この後アーカディア島にご招待な」

 苦笑いしながらも、私に優しい視線でそう言ってくれた。貴方の側に、居て良いのね……。

「……んっ!!」

 好きよ、ユート。大好き。


************************************************************


 しばらくしてから、私達はアルファルド達に呼び出された。兄上も一緒だ。

「ユートを王とする国を、アーカディア島に建国して貰いたい。その提案をする前に、お前達に相談しようと思い、この場を設けた」

 ……ユートが王様! それはとても素晴らしい提案だわ。

 このアルファルド、やはり見所があるの! イングヴァルト王国は素晴らしい跡継ぎが居るのね、羨ましい。


 私は賛成の意見を伝える。他の皆も一緒よ。

 そしてキリエは……。

「まずはユーちゃんの事を考え、その提案をしてくれた事に感謝します。私の意見を述べる前に確認したいのですが、それはユーちゃんを利用しようというつもりは無いと言い切れますか?」

 穏やかな声音に反し、キリエの視線は鋭い。


 それに対し、アルファルド達は……。

「皆無とは言えん。その力を借り受けたい時は、無論対価を支払って協力を願うだろう」

「アイツの力をアテにしたい時は、まぁ筋を通して頭下げるな」

「そうだな。まぁ、遺失魔道具アーティファクト狂いの馬鹿共は責任を以って押さえる必要も出るな」

「放置していたら勝手に暴れられるのが解ったからねぇ……今度は素直に協力を願い出るよ」

 そんな事を言った。

 キリエも彼らを認めたみたいで、賛成したわ。やっぱりキリエは凄い。


************************************************************


 その後で、四カ国会談は五カ国会談……いえ、世界会議になった。

 ユートは新王国の王様になる。そして……私達は、ユートのお嫁さんになる事が決まったわ。こんなに早く、初恋が実るなんて……嬉しいの。

 新王国の名前はアヴァロン。アヴァロン王国。

 そしてユートは、ユート・アーカディア・アヴァロンになった。私達の王様……とても素敵。


 ……


 そして、建国に向けて動き出してから……五日目。

 メグミから念話が終わったと連絡を貰って、私はユートの部屋に行くわ。

「……ユート、いい?」

「勿論、おいでクリス」

 優しいユートの声に、私は部屋の扉を開けたの。


「なぁ、皆が俺の部屋に来る時、メグミの定時連絡の後にしてるだろ」

「……正解」

 気付いていたのね。まぁ、もう五日目だものね。

 メグミにもユートとの時間をあげたい、皆でそう相談して決めたのよ。

「皆、優しいね……そんな君達だから、僕も惹かれたんだと思うよ」

「……ん」


 嬉しくて、ユートの胸元に頬ずりするの。ユートは私を求めてくれているかしら……。

「……ユート、する?」

「うん、する」

 即答だった。嬉しいけど、ちょっと恥ずかしい。

 ユートは私を押し倒して、キスをしてくる。私の身体に触れるユートの手が、胸やお尻にいく……ちょっと恥ずかしいけど、ユートならいいの。


 その後、脱がし合いっこをして……私はユートのものになったわ。でも、空が明るくなり始めるまでは……ちょっとやり過ぎじゃないかしら?

 嬉しいから拒否なんてしないけれど、私は壊れちゃうんじゃないかって心配になったのよ?


************************************************************


 クロイツ教国を処したの。ユートからしたら羽虫みたいなものだもの。

 メグミだけじゃなく、ユウキとマナもアヴァロン王国に来たわ。

 この二人なら大丈夫。マサヨシは嫌。


 ユートもクロイツ教国については意識していないみたいで、王城の建設に取り掛かっていたわ。そしてクロイツ教国の件から十八日が経って、王城が完成したの。

 ユートは城大工にも人気だったわ。ふふ、自慢の旦那様なの。


 その日の夕方から、私達もお屋敷から新しい王城へお引越し。うん、立派なお城だわ。

 跳ね橋から城門、そして王城の中へ入り、私達は謁見の間へ。

「これまでは跪く側だったんだけどなぁ……」

 そんな事を言うユートだけど、もう跪かれる立場なのよ。頑張って慣れてね。


 立派な謁見の間、そして玉座。

「さぁ、玉座に座ってみましょう!」

「そうです、ユート君!」

「ユート様の玉座に座る姿、見たいです!」

「ユートさん、行きましょう!」

「……行く、ユート」

「先輩先輩、私も見たいです」

「え、えぇ~……やんなきゃダメ?」

 私達全員に勧められて、ユートが玉座に座る。

「え、えと……こう?」

 私達が跪くと、ユートがビックリしていたわ。ちょっと可愛い。


「それじゃあ皆、顔を上げてくれ」

 ユートの声が、真剣な時の声だった。

「まずは礼を言わせて欲しい。これまで僕に付き合ってくれた事、心から感謝しているよ。皆のお陰で、こんな素晴らしい城も出来上がった。アヴァロン王国として、まずは第一歩が踏み出せたと思うんだ。だから、ありがとう」

 真摯なお礼の言葉。その言葉に、私はやっぱりこの人を選んで良かったと思った。


「知っての通りの新米国王だ、至らない事も多々あると思う。それに、皆に迷惑をかける事もあると思う。それでも、皆と……そしてこれから増えていくだろう国民の為に、僕は僕に出来る事を全力でやっていきたいって思っている。だから……」

 玉座から立ち上がったユートが、頭を下げるの。

「これからも、どうかよろしく頼む」

 もう、今日だけよ? 王様は簡単に頭を下げちゃいけないんだから。

 私達の拍手に微笑みながら、ユートはもう一度玉座に座ったの。うん、これでこそ私達の王様ね。


 ……


 その日の夜、私達は一度くらいユートをヘトヘトにさせたいと相談して、皆でユートの相手をする事にしたわ。

 でも……ユートは凄かったの。六人相手でも、敵わなかった……凄い。これはきっと、子供もたくさん出来ちゃう……かも。


 きっと、皆で幸せな家族を……そして幸せな国を作れると、思うのよ。

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