07-09 建国六日目/七人目
これまでのあらすじ:婚約者を両親に会わせに行ったのです。
目を覚ませば、一糸纏わぬ姿のクリスが寝息を立てていた。
昨夜もまた、ついやってしまったのだが……本当にどうなっているのか、僕の身体。別に辛くも何ともないのだが……。
そう、昨夜も何度もいたしたワケだ。ここ五日間、毎晩なのに……もしかして僕、馬並みなのか? 下品な話、五人を何度も抱いても衰えない。
何処のエロゲ主人公だ? 自分で自分が解らないよ!!
「……ユート、おはよ」
寝ぼけ眼ながら、クリスの目が僕をしっかり捉えている。その瞳に変な方向に向かった心が捕らわれている。
あぁ、綺麗だなぁ。体格や顔立ちは可愛いと称するべきクリスなのだが、出てくる言葉は綺麗、だ。というか、うちの嫁全員に言える事なんだけどね。
「おはようクリス。身体の方はどう?」
「……ユートの愛をいっぱい感じられて、ほかほか」
赤面してしまうから、そういう不意打ちはやめてくれませんか。
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さて、身支度を整えた僕達は食堂へ向かう。
「おはよう、皆」
僕の挨拶に、皆も挨拶を返してくれる。もうここ数日でお馴染みになった朝の光景だ。
「俺達、このままアヴァロン王国に拠点を構えて冒険者として活動しようかって話をしてるんだ」
そんな話題を出して来たのは、銀級冒険者のテリー氏だ。
「もちろん、ちゃんと自分達で金を貯めて拠点を購入する。その辺り、きちんとしねぇとな」
拠点を用意しようか、と話すつもりが先手を打たれてしまった……。
全く、欲の無い人達だ。
「知り合い価格で紹介するよ」
せめて、割引くらいは受け取ってもらいたい。
僕の意図を察したのか、テリー氏達は苦笑して頷いた。こういう間柄も、良いもんだよな。
……
朝食を済ませ、今日の予定について考えるのだが……無いなぁ。
「王都予定地の整地作業は明日だから、今日も休みでいいか」
結局、こうなる。さてと、今日は皆はどうするのかな?
「折角なんで、ちょっと訓練でもしていいですかい?」
「いざという時の為に、腕は鈍らせたくないですから」
「備えあれば、嬉しいな〜!」
クラウス、ジルは随分と頼もしくなって来たな。王国が機能し始めたら、兵士の指導とか任せてみるか?
それとメアリー、嬉しいなじゃなくて憂い無しだ。
「折角だし、俺も付き合うぜ」
「あたしも! 遺失魔道具抜きでの戦闘も、しっかり出来るようにしておかないと!」
マルク・エルザ兄妹も参戦表明すると、それにテリー氏達も乗っかる。
「将来有望な連中を見てると、身体がウズウズするんだわ」
「私達も、テリーとハンスに指導して貰って強くなったのよ」
「へぇ、それならウチの連中をお願いしようかな」
テリー氏達は快く引き受けてくれた。
「折角ですし、私達も少し鍛錬しますか」
「そうですね、冒険者としての腕を鈍らせるわけにもいきません」
うちの嫁達、武闘派だからな。
という訳で僕達は、訓練に使っている場所へ移動する。
「ふっ……はぁっ!!」
「なんのっ!!」
クラウスとジルが、刃引きした訓練用のカタナとショートソードで打ち合う。今回は遺失魔道具抜きの、純粋な戦闘技術を磨くためのものだからね。
「よしいいぞ! 相手の思考の隙を突くんだ!」
こちらには、テリー氏が付いてくれている。剣士であるテリー氏なので、その指導は的確だ。
その隣では、レイピアを手にした姉さんと双銃刀を手にしたアイリの高速戦が繰り広げられていた。
「相変わらず、キリエ様は凄いです!」
「アイリさんも、腕を上げていますよ!」
どちらも身軽さ、敏捷性を得意とするからね。
こちらは誰も付いていない。そもそも、キリエは創世神様の天使である。戦闘にも何一つ不安要素が無いので、アイリの指導役という訳だ。
更に、槍杖を手にしたアリスと弓銃を手にしたリインの、公爵令嬢コンビが刃を合わせては火花を散らす。
「早く、近接戦闘にも、慣れ……ないとっ!」
「そうっ……ですね! お互い……にっ!」
魔法や弓、そして銃撃という遠距離攻撃を封印し、純粋な近距離戦闘の訓練らしいね。
「十分、出来てるんだけど……まぁいいさ、ほらっ! 大振りになったら反撃を受けるよっ!」
ここにはミリア嬢が付いていた。彼女も教え上手で、アリスとリインも近接戦闘の動きがサマになって来ている。
一方、メアリーは動き回りながら魔法を回避し、先端にゴムを付けた矢を射る。
「ひょいひょいっと、とぉ〜!」
「むっ、惚れ惚れするくらいに良い狙いだ!」
その標的はハンス氏で、メアリーの訓練に付き合ってくれているのだ。タワーシールドで矢を防ぐハンス氏。鉄壁の防御だな、こういう人がパーティに居ると安心感が違うよね。
そこから少し離れた場所で、大槌と大斧がぶつかり合う音がする。
「どらあぁぁっ!!」
「どりゃぁぁっ!!」
マルクとエルザの兄妹である。力技を得意とする二人は、示し合わせたように槌と斧をぶつけ合っていく。
現役冒険者とタメを張るマルクが凄いのか、男性で力を要求される鍛冶師とやり合えるエルザが凄いのか、判断に迷う。
さて、これまでは出番のなかったクリスの装備。無論製作し、マルクによる強化も済んでいる。クリスの主武装は、銃と鎌を兼ね合わせた物だ。
この銃鎌には、魔導杖としての機能を組み込んだ。他の皆の武装にも、同様にアップグレードしてある。
というのも、素材を集めて来たので、マルクに鍛冶魔法で更なる強化を頼んだのだ。そのお陰で、それぞれの武器の等級が上がったからね。追加の刻印付与も滞りなく行えた。
僕はといえば、クリスの練習相手だ。
「……くっ! はっ!!」
「いいよクリス、さっきより速くて鋭い。そのまま、打ち込んでおいで」
「ユート……強い……っ!!」
流石は魔人族、身体能力が高い。お陰で、クリスの鎌捌きはすぐに上達していく。クリスの職業は魔導師なんだけど、魔法剣士とかも目指せそうだ。魔法鎌使いか?
さて、そんな訓練場に設えたある施設……射撃場。そこでは、ジョリーンとリリルルが僕の提供した銃を使って、射撃訓練を行っていた。
「いざという時……身を守れなければ、なっ!!」
「一応冒険者として、足手まといはゴメンだから……ねっ!!」
訓練の甲斐あって、彼女達も射撃に慣れたようだ。ふむ、射撃の精度も上がっているね。
女だてらに冒険者として経験を積み重ねて来た彼女達は、やはり飲み込みが早い。
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そんな風に訓練をしていき、昼食の時間になって切り上げた。
訓練を受ける側だった面々は、一部を除いて疲れ切っていたので、回復の疑似魔石弾で体力を回復しておく。
その後、レイラさんとエミルの作った昼食を食べ終えた僕達は、午後はどうするかと話し始めた。
――その連絡が入ったのは、そんな中だった。
『先輩、聞こえますか!』
メグミからの念話通信。切羽詰まった声に、ただ事ではないと即座に察した。
銃剣に門弾を装填しながら、メグミに念話を返す。
『メグミ、どうした!?』
『至急、転移魔法陣をお願いします! クロイツ教国は……狂っています!!』
教国が狂っている? 何やら、大事の予感がする。
『今行く、待っていろ』
”俺”は誰も居ない壁に向けて銃剣を構え、門弾を放つ。
「ユート君!?」
「ユート、何かあったのか!?」
「あぁ、クロイツ教国で何か起こったらしい! 婚約者メンバーは一緒に来てくれ、メグミ達を助けに行く!」
その言葉に、全員が臨戦態勢になる。
「クラウス達は転移魔法陣から敵対者が現れた時の為に待機! ジルは眼鏡型地図で反応を確認しながら指揮を!」
指示を出して、キリエが俺の後に続く。メインパーティメンバーも、その後に続いて駆け出した。
……
転移魔法陣を潜り抜けると、そこは神殿のような場所……の外だった。周囲にメグミの姿はない。そこに居たのは、神殿の入口を守っているらしい神殿兵士達の姿だけだ。
おかしい、メグミの腕輪型携帯念話を起点にしたのに。
念話をしてみるも、繋がらない。何が起こったのか……?
そう思い振り返ったそこには、透明な光の膜に覆われる神殿が聳え立っている。
「ユーちゃん、これは魔法発動阻害の結界魔法です!」
「……あの中では、魔法が使えないのか」
それで、俺の転移魔法陣が外に押し出されたわけか。マップで見ても、結界内の様子がわからない。
だが、俺の目は特別製だ。
「俺の竜眼は魔法じゃなくて技能だ、メグミ達の居場所が解る」
「流石ユート君です」
「それじゃあ、ユートさん?」
「ユート様、勿論……」
「……行く、ユート?」
臨戦態勢の仲間達の言葉に、口元が歪む。頼もしい限りだね。
「まだ明確な敵対関係ではない。命は奪うな……ただし、恐怖を植え付け、心を折るなら存分にやれ」
俺の大切なメグミに手を出したんだ、それくらい当然だろう?
「押し通らせて貰うぞ、怪我をしたくない奴は道を開けろ」
俺は殺気全開で、神殿に向けて駆け出す。仲間達も、その後に続く。
俺達に対して、神殿兵士達が武器を構えて駆け寄ってきた。
……
襲い掛かってくる神殿兵士や神殿騎士達。それを容赦なく行動不能にしていき、俺達は奥へと駆け進む。
「侵入者だ! 捕らえろ!」
「神聖な神殿に侵入するとは、この不心得者共が!」
「神の名の下に、神罰を下す!」
神ねぇ……。
「それがどうした?」
ガトリングガンを取り出し、ゴム弾の弾帯を装填する。
どうやら魔法を発動できないとは言っても、魔力を通せば発動する遺失魔道具は使えるらしい。転移魔法陣は何で? と思わないでもないが、そんな事は後で検証すりゃいい。
――ドゥルルル……。
「どけ、羽虫共」
――ズドドドドド……ッ!!
「ぐあぁっ!?」
「何だあれは!?」
「盾兵! 盾兵は前へ!」
全員相手にしてやる気はない。アイツが待っているんだ、ちんたらしてられねぇんだよ。
「邪魔だ、道を開けろ」
非殺傷弾で雑魚共を蹴散らし、俺達は神殿を突き進む。しかし、何処にこんな人数が居たのかと思うくらい、ワラワラと兵士や騎士が寄ってくる。
そこで、キリエ達がある提案をして来た。
「ユーちゃん、先に行って下さい!」
「私達なら大丈夫です!」
……確かにキリエ達は強い。しかし、万が一という事も……。
「メグミ様達を救出するまでの時間稼ぎくらい出来ます」
「お任せ下さい、ユートさん!」
「……ユート、信じて」
……ここまで言われてしまったら、託すしか無い。
「速攻でケリを付けて戻って来る、好きにやれ!」
そう言って、俺は銃剣を構える。
「悪いが手加減してやる余裕が無くなった、死なないようにお前らの神にでも祈れ」
神竜の加護とアヴリウス大迷宮踏破ボーナスによる、ステータスアップの恩恵をフルに活用し、全力で駆け出す。
その勢いを止める事が出来る兵士や騎士は皆無。俺は迫り来る連中を峰打ちで薙ぎ倒しながら前進する。
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「……さて、時間稼ぎとは言いましたが……」
ガンレイピアを一振りし、キリエは包囲している敵を見据える。
「えぇ、ユート君の邪魔になりそうな人達は……」
槍杖をクルリと一回転させるアリシア。
「徹底排除……です」
両手に双銃刀を携えるアイリが、構えを取る。
「魔法抜きでも、銃と刃が合わさった私達の武器ならば」
弓銃で敵対者を威嚇する。
「……ん、全て駆逐」
銃鎌を構え、冷たい視線で敵を見据えるクリス。
ユートの敵は自分達の敵。殺すなというユートの指示を守りつつ、きっちりと心をへし折ろう。
鍛え抜かれた神殿兵士や神殿騎士達は、油断していた。魔法も使えず、明らかに華奢な少女達にとってこの数の暴力は絶望的だろうと。
――それが勘違いであると、彼等は身を以って知ることになる……。
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虫のようにわんさか湧いて出る邪魔者を蹴散らしつつ、ようやく辿り着いたのは、神殿の最深部……祭壇のある場所だった。
そこで、ユウキとマナが鎖に囚われ倒れ伏している。それを守るように盾を構え、首飾りに刻印付与しておいた”障壁”を展開するメグミ。
それに群がる兵士や騎士……そしてマサヨシ。
俺の中で、何かが切れる音がした。ステータス任せの脚力で地面を蹴り、飛び上がる。そのまま、空中で身体を捻り、メグミが展開する障壁の中に着地した。
「先輩っ!!」
喜色に表情を緩めるメグミ。メグミに頷きを一つ返し、とりあえず邪魔な雑魚共をブッ飛ばす。
「……さぁ、懺悔の時間だ」
ガトリングガンを取り出し、問答無用で引き金を引く。
――ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……ッ!!
至近距離でゴム弾が直撃した兵士が後に吹き飛ばされ、それに巻き込まれた兵士が倒れる。更にその身体に向けてゴム弾を乱射、乱射、乱射。
悲鳴を上げても構わずその身体にゴム弾をブチ込む。
叫びながら斬り掛かってくるのでその顔にゴム弾をブチ込む。
逃げようとしているのでその背中にゴム弾をブチ込む。
盾で受けようとするのでそのままゴム弾をブチ込む。
命乞いをするのでその腹にゴム弾をブチ込む。
数秒で、その場に居た騎士や兵士が地面に倒れ伏した。はい、全滅。
「色々言いたい事はあるが、お前はそこで何をしているマサヨシ・カブラギ」
「……ユート・アーカディアッ!!」
「ユート・アーカディア・アヴァロン国王陛下、だろ。誰の許しを得て呼び捨てにしている、三下勇者」
俺の殺気を受けて、顔を苦しげに歪めるマサヨシ。
その後の方、何らかの魔法結界に守られている、白い法衣を纏った初老の男が居た。
「貴様がアヴァロン王国等という国を、勝手に神の地に作った不信心者か」
ちょっと何言ってるのか解らないです。
「誰だテメェは、頭が高いぞ」
「貴様こそ頭が高いぞ偽りの王。我はゴルトローゼ・マルクト・クロイツ。このクロイツ教国を束ねる教皇だ。此度の騒乱、貴様の命で贖い切れるか否か……神の裁きを待たずして、我が神罰を下そうではないか」
何だ、このくたびれたジジィが教皇か。
「寝言は休み休み言うんだな。まぁ良い、このままやり合っても良いんだが、ちょっと人を待たせているから……とりあえず、ブッ飛べ」
――ドパァンッ!!
「ぐおぁっ!?」
銃剣から放ったレールガンが、教皇の背後の魔導具を撃ち抜く。その衝撃で、教皇は吹き飛ばされた。破壊したのは結界魔導具、この魔法発動阻害の結界を展開する魔導具だ。
「うぐぅ……な、何故防護結界が……」
「良い事を教えてやるよ。防護結界には耐久力があってな? 耐久力を越えた攻撃力には耐え切れず砕け散るんだよ……今みたいにな」
さて、念話でキリエ達に、魔法が使えるようになった事を伝える。すると、先程の回廊から激しい銃撃と魔法の炸裂音が鳴り響いた。
そして、これで転移魔法も使えるようになったワケだ。
「メグミ、二人を連れてアヴァロンに飛べ。キリエ達を迎えに行く」
「先輩……はいっ!!」
門弾で転移魔法陣を展開する。メグミは、ユウキとマナを連れてアーカディア邸に転移していく。
「貴様っ、メグミ達をどうする気だ!」
駆け寄るマサヨシの足元に、銃弾を撃ち込む。コイツはアーカディア島に行かせない。
「お前こそ、メグミ達をどうする気だったんだ、マサヨシ・カブラギ」
「知れた事、お前のかけた洗脳を解くに決まっている!!」
「……ちょっと何言ってるか解んないです」
いや、マジで。
「お前に会ってから、メグミは変わった! それまでは俺に着いて来てくれて、頼ってくれていたのに! 俺のパートナーだったんだ! それをお前がっ!!」
「自意識高い系男子、ちょっと寝言は寝てから言ってくれる? 俺、洗脳なんかしてないし」
「黙れっ!! 勇者の息子だとか、貴族だとかも嘘に決まっている! メグミは俺のものだ、お前なんかが……ぐふぅっ!?」
キレて、ついヤクザキックなんぞかましちまったよ。
「勘違いも程々にしとけ、クソ勇者。メグミはお前のものじゃない」
ステータス差で、相当効いただろうな。しばらくは立ち上がれまい。
「貴様……こんな事をして、タダで済むと……」
そんな事をほざいたのは、うつ伏せになっている教皇だ。
「タダで済むと思うな、ってか? そっくりその言葉を返すよ」
倒れるクロイツ教皇に、俺はゆっくり歩み寄る。そして、俺はその顔面を踏み付けた。
「ぐがぁっ……!!」
「よく覚えとけよ、耄碌爺。俺は味方に対しては寛大だが、敵に対しては容赦は一切しない。お前達のスタンスが解らなかったから、今回は半殺しで済ませてやっただけだ」
しかし、今回の件で俺はクロイツ教国を敵と認定した。
「今後、俺に刃向かうなら覚悟を決めろ。お前の国が滅ぶ覚悟をな」
「ぎっ……ぎざまっ……!!」
さて、耄碌爺にもう用は無い。
「ユート・アーカディアッ……!!」
憎々しげに、俺を睨んで立ち上がるマサヨシ。はぁ、さすが勇者、無駄に頑丈だな。
「お前の思い通りには……させないっ!! メグミも……キリエ達も俺がっ……解放してみせる……っ!!」
……はぁ。溜息が出てしまう。
「いいかマサヨシ・カブラギ。馬鹿に対して”貴方は馬鹿なんですよ”って懇切丁寧に諭してやるほど俺はお人好しじゃない。それとな……」
――今、必殺の腹パン。
「ぐぉぇっ!!」
殺しはしないけど、内臓はイッたかもね。
「誰の許しを得て、俺の嫁を呼び捨てにしていやがるんだ?」
芋虫のように這いずり回り、苦しげに嘔吐しているコイツに聞こえてるかな? まぁ、聞こえていなくても殺る時は殺るから、別にいいや。
「ユーちゃん、終わりました?」
おっと、キリエ達もこっちに来たか。
「はぁ、派手にやりましたね」
「ユート様、流石です」
死屍累々の様子に、アリスとアイリが苦笑する。いい感じに感覚が麻痺してきてるね。
「あら、まるで駄目な勇者のマサヨシ・カブラギも居ますね」
「……シメられた」
リインとクリスが、いい気味と言わんばかりに頷いていた。哀れマサヨシ。
うん、皆平然としているし怪我もないようだ。
「丁度迎えに行く所だった。もうメグミ達はアヴァロンに転移したよ。俺達も帰ろうか」
「はい、そうですね」
門弾を撃ち、転移魔法陣を展開する。先にキリエ達に門を潜らせ、最後に俺が残った。
「よく覚えておけ、ゴルトローゼ・マルクト・クロイツ、マサヨシ・カブラギ。今度はお前らが誰であろうと、何であろうと殺す」
そう言い残して、俺は門を潜った。
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【名前】ユート・アーカディア・アヴァロン
【称号】クロイツ教国の宿敵(NEW)
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「という訳で、教皇とかぶちのめしちゃった☆」
『『『『何でそうなった!? 』』』』
世界の窓を起動し、同盟国に今回の件を伝える。
「勇者達の衰弱が激しいから、事情はまだ聞けてない。申し訳ないけど、明日アヴァロンにお越し願えないかな。そこで経緯を確認したい」
『……はぁ、仕方あるまい』
『ユート殿だからな』
『うむ、諦めよう』
『むしろ、よく死人を出さなかったな。良くやったぞ!』
「僕を何だと思ってるのかな!? 特にアマダム!!」
まぁとりあえず、僕の要請に四カ国は応えてくれるようで一安心だ。
……
部屋に戻る……と、扉の前にはメグミが立っていた。
「メグミ、身体はいいの?」
「あっ先輩! はい、私は”退魔の鎖”を受けていなかったので、大丈夫です。魔力は消費しましたが、魔力回復薬でもうすっかり元通りです!」
退魔の鎖とは、ユウキやマナを拘束していたヤツだ。
調べた所、拘束した相手の魔力を吸い取り放出する事で、魔力枯渇状態による脱力に陥らせる魔導具だった。
「……とりあえず、入る?」
「あっ、はい……」
……頬を染めてますが、やはりそういう事でしょうか。
部屋に招き入れると、メグミは僕に抱き着いて来た。
「先輩、教国では……」
「あっ、その辺の話は今はどうでもいいや」
「……え?」
優先すべき話があるからね。
「メグミ、ちょいとトラブルはあったが、クロイツ教国に報告して出奔……だろ?」
「あ……その、はい……」
「ここへは……”俺”のモノになりに来たんだろ?」
メグミを抱き締めて、耳元で囁く。メグミの身体がピクンと反応し……俺の身体を強く抱き締めた。
「はい、今から私は先輩のものになります」
顔を上げさせ、その唇を奪う。
「ん……ふぅ……んっ」
俺を受け入れるメグミから、艶かしい吐息が漏れる。
こんな反応されたら、もう止まれないよね。そのままメグミを押し倒し、その身体に手を這わせる。うん、やはり大きい。
「……先輩は野獣さんだったんですね」
「メグミは野獣さんは嫌い?」
「……先輩なら、どんなでも」
可愛い事を言ってくれる。それなら、今夜の野獣さんはとてもジェントルメンな野獣さんになるよ。
結果を申し上げますと、野獣は所詮、野獣でした。




