07-07 建国四日目/竜人族の使者
これまでのあらすじ:竜人族の使者が来るとブリックから連絡が入りました。
夜が空けた頃に眠った僕とアイリだったが、いつも通りの時間に目を覚ました。正直、三日連続で二時間くらいしか寝ていないのだが……うん、ステータス上昇のお陰か多少は大丈夫みたいだ。
「ユート様……おはようございます」
胸元にしがみつく様にして眠っていたアイリだったが、僕とほぼ同時に目を覚まし……潤んだ瞳で僕を見ていた。
「おはようアイリ……良かったら、朝の挨拶を貰っても良いかな」
「はいっ!」
満面の笑顔で、僕の唇を唇で塞ぐアイリ。
同時に、胸板に押し付けられるささやかな膨らみが……朝から欲情している場合では無い、鋼鉄の理性で何とか煩悩を押さえ付ける。
アイリと一緒に身体を拭い合い、身支度を整える。今日はお客さんも来るらしいからね、時間は有限だ。
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午前中は外壁建造の続きだ。朝食を済ませた僕達は、昨日と同様の振り分けで作り掛けの外壁に向かう。
アルファ・ブリック・マックとリア・アマダムは、本日は来れなかった……というか、昨日はよく来てくれたな本当に。
テリー氏率いる冒険者パーティはアーカディア邸にお泊りしたので、本日も参戦してくれる事になっている。報酬とは別に、御礼としてまた何か美味い物を作ろうか。
今日もキリエ・クリスと一緒に北側の外壁建築に勤しむ。
「えいっ!」
「……えいっ」
軽い掛け声と共に放たれる魔導弾、着弾と同時にせり上がるようにして形成される石の壁。今日は北側から東側にかけて外壁作りに勤しんでいたのだが、やがて東側の外壁が見えて来る。
「おっ、テリー氏達だ」
あちら側も、僕達に気付いた様で手を振っている。
「よぉ、陛下! お疲れさん!」
正直、王様に対する態度じゃないんだけど、そこはそれ。テリー氏達も一緒に飲み会したり、仕事を依頼するくらい親しい仲なので、目くじらを立てたりしない。
「お疲れ様、テリーさん。後はここの隙間を埋めるだけみたいですね」
百メートル程の隙間がまだある外壁だが、この人数でやれば即座に埋まるだろう。
「折角だし、一緒にやるか」
「そうですね、それが良いと思います」
フリオ氏の提案に、キリエも乗っかる。そうだな、折角の建築完了なら、皆で一緒にやるか。
「それじゃあ、全員で横に広がって一列になりましょう」
僕の指示に、全員が応えてくれる。
「よし、じゃあ一斉に! せーのっ!!」
一斉に放たれた七つの魔導弾が着弾し、見事隙間を埋めた外壁が聳え立った。
「おーっ、やったな!」
「ええ、これでこっちはお終いね……もしかして、一番乗りかしら?」
フリオ氏とミリア嬢がそんな話をするが、残念。
「一番乗りは西方面と北方面の間のようです。僕達は二番手で……おっ、三番手から連絡、南と西の間も完了だそうです」
「エルフと魔人は魔力量が違うからな。こういう魔力量を要求される作業には、一手及ばねぇかぁ」
それとタメ張って作業をした貴方達も十分凄いんですけどね。
おっ、南と東も完了したらしい。これで、外壁は完成かな?
門弾で皆を集め、僕達は魔力駆動二輪に跨る。
「それじゃあ、念の為のチェック兼完成した外壁を見て回るツーリングだ、行くぞー!」
要するにそういう事である。正直、チェックは二の次で皆で造った物をジックリ見たいだけだ。
今度、アルファ達も呼ぼうっと。
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そして午後。僕達は、アヴァロン王国初めての客人を迎える。
ミリアン獣王国の転移門には、ジルが魔力駆動四輪で待機している。獣王国の王宮に迎えに行ったのは、クラウスとレイラさんだ。クレアちゃんはエミルやメアリーと遊んでいる。
僕達は屋敷で到着を待つ。
僕としては転移門まででも迎えに行きたかったのだが、皆に止められた。――曰く「王様直々に出迎えに行く事は、異常事態」だそうだ。その辺りには疎いので、皆の忠告に従って待つ事にした。
謁見の間代わりになるのは、先日五カ国会議を行った大会議室だ。竜王国の使者が大会議室に通されるまで、僕達は別室で待機している状態だ。
やがて、クラウスから念話通信が入る。
『ご主人、竜人族のお客さん四名とブリック殿下を転移門にお連れしました』
マップを見てみたら、確かに転移門にいるみたいだね。
『ありがとうクラウス。それじゃあ、屋敷まで魔力駆動四輪でお連れして。レイラさんもよろしく頼むよ』
『うす、お任せを!』
『はい、ご主人様』
『ジル、運転お願いね』
『お任せ下さい、ご主人様!』
頼れる仲間達に送迎を任せ、僕も準備をしよう。と言っても、ほぼ出来ているんだけどね。
いつもの冒険者服に、四カ国から賜った勲章を付けるだけ。これで多少は王様っぽく見える……かな?
「どうだろ、おかしくないかな?」
仲間達にそう言うと……。
「うん? いつも通りの格好に勲章付けただけじゃねぇか」
「おー、勲章が四つ! いやぁ、派手だねぇ」
「凛々しくていらっしゃいますよ、ユート殿」
「陛下はその服装の印象が強いですから、当面はそのお姿でいいと思いますよ」
「ごしゅじんさま、かっこいー!」
マルク・エルザ・ジョリーン・リリルル・クレアちゃんの反応はこんな感じだった。
リリルルの言う通り、この服装のイメージが関係国には定着しているだろうな。それなら、無理に仕立てなくても良いか……今しばらくは。
そしてクレアちゃんは相変わらず天使だ。
「それにしても、謁見の間とかだけでも作った方が良かったですねぇ」
「まぁ、城もないのに謁見の間だけがあっても、背伸びしてるって印象持たれそうだしね。包み隠さず、偽らず。ありのままの姿の方が、変な印象を持たれにくいと思うんだ」
リリルルとそんな話をしていると、婚約者達の準備が出来たようだ。
「お待たせしました、ユーちゃん」
「ユート君、どうでしょう?」
「……まだ、こういうのには慣れませんね」
「大丈夫ですよ、アイリさん」
「ユート、どう……?」
ドレスアップした五人は、とても可愛かった。
キリエはいつ購入したのか解らないが、白地に紺色の縁取りがされたドレス。
アリスはイングヴァルト王国のドレスか。
アイリはミリアン獣王国風のドレスだし、リインはヴォルフィード皇国で着ていたドレスだ。
クリスも魔王国で着ていた黒と白のゴスロリ風ドレス。
各国のドレス姿で、お客様を歓待するらしい。目の保養になるな。
「皆とても綺麗だよ」
素直な賞賛の言葉を、心を込めて贈る。
この娘達が、将来のお嫁さん達なんだよなぁ。改めて、自分は恵まれていると実感するよ。
その後も皆で会話していると、やがて時間が来た。
……
竜の血統の末裔。それが、竜人族と言われている。過去、人化した竜が人と交わり、子を成したのが始まりだという。
そして琥珀竜・紅玉竜・瑠璃竜・翡翠竜と呼ばれる四匹の竜は、竜の中の王……王竜と讃えられ、竜人族の守護者なのだそうだ。竜王は王竜に認められた者でなければその座に就く事が出来ず、竜王国にとって四竜はなくてはならない存在らしい。
これらは勿論、竜人族の英雄から聞かされた話だ。
そして、今その竜人族が目の前に居る。
「お初にお目にかかります、アヴァロン国王陛下。私、ジークハルト竜王国の使者として参りました、琥珀のコムイバルに御座います」
「同じく、紅玉ハルトマンと申します」
「同じく瑠璃のカルナルカと申します」
「翡翠のダンテリオで御座います」
四人の歳若い竜人族が、部屋の入口で跪いて挨拶をしてくれた。
竜人族と言っても、見た目は人間とそんなに変わらない。それにしても竜人族の装束は、布面積が低いな。
素肌にハーフコートみたいな物を着ている状態で、下半身は腰布とダボっとしたパンツルックだ。
「お初にお目にかかる、竜王国の使者殿。僕がこの天空島に建国されるアヴァロン王国の国王、ユート・アーカディア・アヴァロンだ。さぁ、楽にしてくれ」
僕の言葉に、竜人族四人が立ち上がって一礼する。
「国王陛下の婚約者、キリエ・アーカディアと申します」
「同じくアリシア・クラウディア・アークヴァルドに御座います」
「リイナレイン・デア・ヴォルフィードで御座います」
「……クリスティーナ・ガルバドス・ド・オーヴァンで御座います」
「アイリと申します」
ドレス姿で優雅にカーテシーをしてみせる五人に、使者の四人は目を奪われていた。
「以前知り合いに聞いた話では、琥珀・紅玉・瑠璃・翡翠の名を冠する一族は、四竜直系の一族と聞いていたが、もしや貴殿等はその一族の?」
「はい、次期族長の候補でございます」
なるほど。相応の立場にあり、僕と年の頃も近いだろうという事で、彼等が選ばれたんじゃないかな。
「立ち話もなんだ、席についてくれ」
僕の勧めに、四人は席へつく。勿論、クラウス、ジル、メアリー、レイラさんが椅子を引くよ。
ちなみに、テリー氏達は頭数合わせじゃないけど、護衛みたいな立ち位置として居て貰っている。勿論、アーカディアコート(仮称)着用でだ。
しかし、王様として謙る様な言葉遣いはするなと婚約者達に言われているが、初対面の相手にこういう言葉遣いをしなければならないのは心苦しいな……。
されど、声色は穏やかになるように。そして相手を思い遣る気持ちは忘れないようにと、心掛けるしかない。
「此度は拝謁の栄誉を賜り心より御礼申し上げます、陛下」
「こちらこそ武勇に優れ、誇り高いと名高い竜人族の使者を迎えられた事を嬉しく思う」
竜人族は、竜の血統故にその身体能力は非常に高い。
それと同時に、自分達の力を振るうのは自分達の身や種を守る為と宣言している。これまでも侵略行為への反撃等はあったが、他国への侵略行為などはこれまで一切無い。
力ある者としての矜持、竜の血を引く者としての矜持。強力な力と高潔な精神を併せ持つ、気高き種族……それが竜人族なのだ。
「さて、今回の訪問について聞かせて貰えるか?」
「では僭越ながら、私コムイバルより竜王陛下からのご伝言をお伝えさせて頂きます」
コムイバル氏が語ったのは、以下の内容だった。
まずは新王国の建国について、祝いの言葉を贈るというもの。
そして、友好国家であるミリアン獣王国を含めた四カ国との和平協定を結んだ事に対し、その英断を称えるという言葉。
加えて新王国であるアヴァロン王国と、友好関係を築く為にも一度顔合わせをしたい旨。
それらを踏まえ、竜王国四大部族の次期族長候補である四人を、友好の使者として送る……という内容だった。
「成程、話は解った。竜王陛下への親書を認めるので、それをお渡し願おう。折角の訪問だ、良かったらアヴァロン王国で羽を伸ばしていってくれ……まだ、何も無いけどね」
「ユーちゃん、最後余計です」
「まぁ、確かに何も無いですが」
おっと、素が出てしまった! 内容が友好的なものだったから、気が緩んでしまったよ。
「さて、じゃあ謁見は謁見で終了としようか。改めてようこそアヴァロン王国へ」
僕の変わり身に、四人の竜人達は目を丸くする。
「驚くのも無理は無いか。僕はまだまだ新米国王だから、堅苦しいのは苦手なんだ。君達も気楽に接してくれるとありがたいかな」
僕の言葉に納得したのか、竜人達は一礼した。
「それでは陛下、私の事はコムイとお呼び下さい」
「では、私はダンテと」
「私の事はカルナとお呼び下さいませ」
「ハルトとお呼び下さればありがたく存じます」
先程よりも、肩の力が抜けた様子の四人。
うん、この方が気楽だ。
「もう、ユートさんってば……」
「……自由人」
「ですが、ユート様らしいとは思います。だからこそ、私達もこうして集ったわけですし」
アイリの言葉に、皆も苦笑しながら首肯している。
「ほら、他所は他所、ウチはウチだから。一応、公式の場ではちゃんとするつもりだよ」
「はぁ……ユートさんには、私達が色々教えないといけませんね」
「そこはアリスさんとリインさん、クリスさんにお任せしますね」
僕達のやり取りに、四人の竜人達は苦笑するばかりだった。他の王族をユルいとか言っちゃってたけど、僕も大概ユルいと自覚したわ。
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「それじゃあ、レイラさん達はいつも通りお願いできるかな?」
「畏まりましたご主人様、私達は歓待の為のお部屋と、晩餐の用意を進めて参ります」
レイラさん、メアリー、エミル、ジョリーンがそう言って退室する。いつも大変苦労をかけるなぁ……ボーナスと休暇でも出そうかな。
「それにしても、立派なお屋敷ですね」
えーと、彼は確かカルナさんだったな。カルナさんが部屋をキョロキョロと見回す。
「カルナ殿、無礼だろう……」
「いや、構わないよコムイ殿。元はただの冒険者だ、王様の自覚なんて今はまだ身に付いていないし、気楽に接してくれた方がありがたい」
「さ、左様で……では、お言葉に甘えまして……」
堅いって。
「ふむ、でだ。ユート、折角だし俺はちょっとツーリングに出ていいか?」
「お前、案内役じゃないのかよブリック……いや、良いけどさ」
相変わらずだな、こやつ。
「あの、つーりんぐ……とは?」
あぁ、この世界にツーリングという概念は無い……いや、無かったからな。
「馬の遠乗りみたいなものかな。ブリックとかみたいな親しい友人達は、よくこの島に来てそのツーリングをしているんだ」
その言葉に、竜人達は驚いた。
「ユート、折角だし連れてってみたらどうだ」
「んー、それもそうだね。どうだろう、聞くより体験する方が解りやすいと思うけど」
僕の言葉に逡巡しつつも、竜人達は頷いた。
そして数分後。
「うおおぉ、これは凄いっ!!」
「今までに無い感覚だっ!!」
「凄い! まるで風になったみたいだ!!」
「何コレ、めちゃくちゃ楽しいんだけど!!」
めっちゃ楽しんで貰っているようだ。
テンションがマックスまで上がった竜人達を連れ、僕達は北の転移門まで行った。
「ここが北の転移門。これはオーヴァン魔王国に通じているんだ」
「へぇ……南にもあったけれど、これは陛下が作ったんですか?」
カルナさんの質問に首を振る。
「これは、この島に元々あった物なんだ。各大陸の末端部に隠された遺跡と繋がっている。遺跡側の転移門を移設して、各大陸と直接繋げる予定だよ」
僕の説明に納得しながらカルナさんは周囲を見回す。
「陛下、この壁も元からあったのですか?」
今度は、ハルトさんからの質問だ。
「その外壁は今日の午前中までかけて、アヴァロン関係者で設置したんだ。いずれ住民が増えた時、誤って下に落ちたりしないようにしないといけなかったからね」
次は王都予定地の整地作業と内壁建設かぁ……大変だな。
「なるほど。流石はアヴァロン王、噂通りのお人柄ですね」
「あぁ、正に噂を体現したようなお方だ」
コムイさんとダンテさんがそんな事を言っているが……噂?
「失礼、その噂っていうのは?」
「あぁ、陛下のお耳には届いていないのですね。実は、竜王国にも獣王国からの商人経由で、陛下の武勇等が伝わって来ていまして……」
その後、噂の内容を聞いて僕は四つん這いになってしまう。き、聞くんじゃなかった……!!
――曰く、ミリアン獣王国に現れた悪魔族の計略を見破り、圧倒的な力を以って獣王国を救った冒険者。
――曰く、人間族が不当に捕らえた獣人奴隷達を救出し、奴隷から解放した心優しき英雄。
――曰く、ヴォルフィード皇国に現れ、貴族の暴走と悪魔族の暗躍を食い止めた高潔な精神の持ち主。
――曰く、エルフ族にとって大切な森を守る為、エルフ族を支援して火を消し止めた守り人。
――曰く、オーヴァン魔王国の魔王派と前魔王派の戦争に介入し、魔王派を勝利へ導いた覇者。
――曰く、現魔王妹の呪縛を解き、その心を射止めた二人目の召喚されていない勇者。
――曰く、四カ国の王達がその武勇と高潔さを認め、建国の後ろ盾となる事を二つ返事で了承させた新王国の王。
――曰く、世界四大陸の中心にして、世界同盟の盟主。
「誇張されてない!? めっちゃ誇張されていない!?」
「いや、お前自分の手に胸を当てて考えてみろ? やっている事はそのまんまだぞ?」
「英雄とか覇者とか勇者とか、なんだそりゃ!? 第一、盟主ってわけじゃないだろ!?」
「でも、中心はお前だぞユート。会談でもそう言っていただろうが」
あれは悪魔族に対抗する戦力の話じゃないのか!?
「ま、そんな噂が立ってるんだ。少しはそのメチャクチャさを自重するんだな」
「お前に! 言われたく!! ないわっ!!!」
僕とブリックのやり取りに、竜人達は目を丸くしている。
「その、陛下とブリック殿下は気安い関係なのですね……」
苦笑気味に言うコムイさん。まぁ、確かに気安い関係ではある。
「お前さん達、この程度で驚いていちゃ身が持たないぜ。コイツはイングヴァルトの王子やヴォルフィードの皇子と皇女、それにオーヴァンの魔王にすらこんな感じだ。イングヴァルト王なんか、叔父さん呼ばわりだぞ」
「いや、だって血縁関係的には叔父だし」
「それも凄い事って解ってるか?」
「い、一応は……?」
僕の事を聞いた竜人達は、何度目か解らない呆然とした表情だった。
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ブリックは先にミリアンに帰還し、竜人達は屋敷の客室に宿泊する事になった。晩餐や入浴を堪能した彼等は、相変わらずの礼儀正しさで客室に入った。
そして、僕はメグミからの定時連絡を受ける。
『今日はファムタール騎士国の最東端の町に宿泊です。クロイツ教国の国境には、明日の午前中には入れる予定ですね』
『順調みたいだね。ユウキやマナはどうだい?』
マサヨシは知らね。
『お二人も、ファムタール騎士団から色々教わっているんです。それに、今日の昼過ぎに盗賊が現れたのですが、その討伐に参加していました……私もですけど』
……盗賊、つまり人。
『魔王国での一件で、色々と吹っ切れたんです。この世界で生き抜くにしろ、元の世界に帰るにしろ、戦って生き残らなければ何にもならないって。私は先輩と一緒に生きていく為に、自分の弱さと向かい合う事にしたんです……』
一緒に生きていく……その言葉が、とても嬉しい。
『無理はしなくて良いんだからな』
『解っています。でも、出来る事はやっていくつもりです』
強くなったな……メグミ。
……
メグミとの定時連絡が終わって少ししたら、リインがやって来た。
「失礼します、ユートさん」
「いらっしゃい、リイン。待っていたよ」
「ふふっ、それなら……嬉しいです」
そう言って、僕の太股の間に座り首元に頭を擦り付ける。
「……リイン、今日は何か積極的じゃないか?」
「待ちに待った日が来たのだと思ったら、つい。ユートさん、一応言っておきますが初めてですので……優しくして下さったら嬉しいです」
獣を呼び起こす言葉だと、気付いていないのかなこの娘は。
「それじゃあ、優しく出来るように頑張るよ」
その華奢な身体を抱き締め、耳元で囁く。可愛いエルフ耳が、ピコピコ動いた……う、動くんだそれ。
「……他の人と比べて、貧相な身体ですが……」
「エルフ族の特徴なんだから、そんなの気にするな。“俺”にとって大きさなんか関係ない。リインのだから良いんだ」
「……もうっ」
そのまま、リインの身体に手を這わせていく。リインはされるがままになっていった。
尚、この屋敷の防音は遺失魔道具で万全なので、朝まで頑張っても大丈夫です。




