表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刻印の付与魔導師(エンチャンター)  作者: 大和・J・カナタ
第6章 オーヴァン魔王国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/328

06-07 迷宮探索/守護者(ガーディアン)

これまでのあらすじ:勇者と女好きの一団をシカトしました。

 迷宮探索は順調そのものだ。やはり、真実の目プロビデンスは反則的な性能だな。

「あぁ、あの床は罠だな。迂回していこう」

 視界に入れば、罠かどうかがすぐ解る。

「んー、魔物が大量にいるか。本道じゃないから、こっちから行こう」

 マップで魔物の位置も把握できる。

「お、宝箱がこっちにあるな。開けていこうか」

 宝箱の位置まで表示されるとは……これは多分、竜眼のおかげかな? 


「ユート君が居たら、大迷宮攻略もすんなり終わるんじゃないでしょうか……」

「こう見えて、覚悟を決めた上で同行してきましたが……」

「ユートさんが道も魔物も罠も、全て看破してくれるお陰でここまで無傷ですね」

 苦笑いする三人に対し、姉さんは普通に歩いている。僕の所業に慣れているせいだろう。

「自分や仲間の身の安全を確保するために作った遺失魔道具アーティファクトなんだけどね。どうやら迷宮探索との相性は抜群に良いらしい」

 逆に言えば、迷宮にとって僕は天敵だな。


「それにしても、こういう所に宝箱を設置しているのって何者なんだろう?」

 やはり、いわゆる”ダンジョンマスター”的な奴がいるのかな? 

 しかし仲間達の反応は、予想外のものだった。

「……ユート様、ご存じなかったのですか?」

「結構、一般的な話なんですけど……」

 えっ、何か常識的なものを知らないのか、僕!?

「あ、ユート君は孤島で暮らしていたから、知らないんですね。村人なんかは知らない人も居ますが、王都近辺では有名な話なんですけど」

 アリス曰く、大迷宮含む迷宮というのは”生きている”らしい。

「その証拠に、私達が討伐した魔物……気付きましたか?」

 リインがそんな事を言うが……そう言えば、剥ぎ取りが終わった死体が消えてなくなっていたな。

 大迷宮だし、そんなものだろうというイメージがあったから、全く気にしていなかった。


 それは、迷宮に魔物が捕食されたかららしい。捕食されるのは死んだ魔物や動物、そして人。その捕食した生物を養分にして、迷宮は成長する。

 宝箱は、迷宮が捕食対象である”人”を呼び込む為の餌だ。なので捕食した冒険者や兵士などの装備や所持品を宝箱に入れて、要所要所に配置するのだという。

「という事は、大迷宮の奥に行けば、大迷宮の心臓部があるわけか」

「はい、迷宮核と呼ばれる……魔物でいう魔核のようなものがあるそうです」

 そいつを破壊すれば、迷宮は死ぬわけな、理解した。


 ちなみに、開けた宝箱の中には折れたショートソードと銀貨が入っていた。

 死人の所持品と考えると、何だかなぁ……まぁ、ショートソードは要らないが銀貨は貰っておこう。


 ……


 それからしばらくは順調に探索が進む。魔物は僕達が倒しているわけだが……。

 その後から離れて付いてきている勇者達とグレン達は、本当に何しに来たのか。

 魔物とも戦わず、宝箱も僕達が中身を回収している。ハッキリ言わせて貰うと、大迷宮までわざわざ来た意味が何も無い。

 まぁ別に実害が無いから良いんだけど、メグミをそんな無駄な事に付き合わせるのは勘弁してやって欲しい。


『で、そっちは一体何をしているんですか?』

『……何と言うか、先輩達の様子を窺っているだけで……』

 リインの質問に、メグミは歯切れ悪く答える。

『大方、あの二人が言い出したのでしょう?』

『メグミ様を責めるつもりはありません、気になさらないで下さい』

 アリスとアイリが、メグミをフォローする。完全にうちのメンバーは、メグミを身内認定しているな。


『そもそも、何故付いて来るなんて言い出したんですか? あの残念な勇者は』

 姉さんの発言で、マサヨシに残念勇者という称号が追加されたと僕は確信した。

『その……何でも、先輩達が心配だから、様子を見に行った方が良いと言い出しまして……』

『絶対にそれ、僕以外のメンバーが心配だ、だろ』

『……そうなりますね』

 やっぱりね。で、それにグレンが追従したんだろう。

 まぁ、どうでもいいか。僕達のやる事は変わらないし、邪魔しないなら問題ない。


 ……


 さてさて、大迷宮もそろそろ終盤だ。

 実は既に迷宮入りして丸一日が経過した。

 昼・夜・朝と食事休憩を挟んだが、それ以外はほぼ探索している。そのお陰で、迷宮踏破率はおよそ90%くらいかな。

 そんな強行軍が可能なのは、無論僕の遺失魔道具アーティファクトによる恩恵だ。


 勇者達やグレン達には厳しいだろうけどな……メグミを除いたら。そう、メグミの服に僕の刻印付与を施してあるのだ。

 ちなみに、勇者達は全員が制服姿だ。ユウキは学ラン、マサヨシはブレザータイプ。マナはセーラー服で、メグミはブレザーだ。

 彼等はその上に鎧を身に付けている。


 横道に逸れたが、刻印付与の恩恵を受けているメグミだけは、僕達の強行軍に付いてこれているのだが、他のメンバーを気遣い同じ速度で進んでいる。

 徐々に距離が開いているのが現状だ。

 そのまま振り切りたいが、メグミがいる以上それは憚られる。誠に遺憾である。


 さて、次の部屋が最深部の手前に当たる部屋だ。

 そこには一つの光点がある。解析で詳細が表示されないから、遭遇した事が無い魔物だな。

 まあ、遭遇した瞬間に”真実の眼プロビデンス”で情報を取得できるので、あまり問題は無い。

 前方に見えて来た扉に向けて、僕達の歩みは止まらない。


 ——さぁ、最深部にあるものが何なのか……いよいよその答えが出る。


 辿り着いた門を見上げ、皆に向かって振り返る。

「いよいよ最深部だ。皆、準備は大丈夫かな?」

「問題ありませんよ」

「私も大丈夫です」

「はい、行けます」

「いよいよですね」

 頼もしいパーティメンバーに頷き返し、僕は門に手を置いた。

 大迷宮の通路を塞ぐ巨大な門は、僕が門を軽く押しただけで独りでに開いていく。


 ……


 中は、ここまでの岩でゴツゴツとしていた通路とは違う。加工された石材で造られたそれは、確かに建築物だった。

 僕達が門を潜って中に入ると、半径五十メートル程の丸い部屋の壁に設置された燭台に炎が灯る。炎に照らされ、部屋の中心部で蹲っていた巨大な何かが目を覚ます。

 眠りを邪魔する僕達を一瞥し、その獰猛な牙を剥いた……三つの首が、同時にだ。

 三つ首の犬の魔物……なんて定番中の定番なんだろう。

地獄の番犬ケルベロス……か。成程、盛り上がって来たじゃないか」

 ファンタジー世界において、必ずと言っていい程出番が与えられる地獄の番犬。

 一度はやり合ってみたかった相手だ。遠慮無しでやっていいよね?


 流石のパーティメンバーも、ケルベロスの巨体とその殺意に気圧されている。ここは、いっちょ気合いを入れよう。

「さぁオーヴァン魔王国の大迷宮、最後の戦闘だ。”俺”達で、この野良犬を躾けるぞ!!」

 俺の言葉に我を取り戻した皆が、武器を構える。大丈夫だよ、黒竜と比べたら大したステータスじゃないし。


「姉さんとアリスは右の首、アイリとリインは左の首を狙え! 真中は俺が貰う!」

 俺の号令に、四人は即座に従って左右に駆け出す。俺達の行動を見咎めたケルベロスが、左右中央のどれを狙うかを思案し……まず、左側に向かう事にしたようだ。

「俺を無視して姉さんとアリスに向かうなよ、寂しいじゃないか」

 ——パァンッ!! 

 銃声と共に吐き出された銃弾が、中央のケルベロスの右目を撃ち抜く。

「グギャオォォァァァッ!!」

 巨体に見合った声量での絶叫が耳に突き刺さる。五月蠅い野良犬だ、さっさと終わらせたいな。


 未だ健在のケルベロスの左首に対し、姉さんとアリスが動いた。

「”来たれ光の精霊十柱、我が声に耳を傾けたまえ。我が望むは天の輝き、この意に従い槍となれ”」

 アリスの詠唱に気付いたケルベロス(左)だが、通れるはずがない。


「ここは通行止めです」

 姉さんのガンレイピアが、ケルベロス(左)の顔に突き刺さる。

「ギャアァッ!?」

 ……コイツ、弱くね? 攻撃を喰らう度に仰け反っていたら、すぐに殺られちゃうと思うけど。


「”敵を貫け、光の槍シャイニングジャベリン!!”」

 十振りの光の矢が、アリスの周囲に生成され……そして、ケルベロス(左)に向け一斉に放たれる。

 痛みを堪えて姉さんに向き直った瞬間、飛来する光の槍。左のケルベロスは、十本の光の槍に蹂躙されてあっさり死んだ。


 左首が討ち取られた事に驚愕する中央に対し、右は標的を変えようと首を俺に向ける。そうじゃない、そうじゃないんだよ……既に君はロックオンされているんだ。

「”来たれ風の精霊二十柱、我が声に耳を傾けたまえ。我が望むは天の息吹、この意に従い矢となれ。敵を撃て、風の矢ウィンドアロー!! ”」

 魔導師の杖としても使える弓銃を掲げ、風の矢が立て続けに放たれる。


 リインの放つ風の矢の中、果敢に走るのはアイリだ。着弾を始めた風の矢に便乗し、ケルベロス(右)の顔に斬り付けていく。

 そして、風の矢と銃刀にダメージを受けたケルベロス(右)が決定的な隙を晒した。

「隙ありです」

 ケルベロス(右)の首が、アイリによって斬り落とされた。丸太より太く大きな首だけど、振動剣バイブレーションソードの前では無力なのよね。


 左右に散った姉さん達に怯んだケルベロスは、俺に向けて突進して来た……さて、それじゃあ決めますかね。

 その時だった、乱入者が現れたのは。

 姉さんとアリスの前にマサヨシが、アイリとリインの前にグレンが乱入して来たのだ。

「大丈夫か、助けに来たぞ!」

「我々が来たからには、もう安心です!」

 コイツら、何やってんだろ。あっ……姉さん達がキレそう。

「「「「邪魔っ!!」」」」

 ごもっとも。


 ——しかし、乱入者は彼等だけではなかった。


「……メグミ?」

 俺を守るように立つメグミは、盾を構えて叫ぶ。

「”聖なる盾よ、守護の力をここに!”」

 白銀の盾が輝き、光の壁が僕達とケルベロスを隔てる。

 ——ガァン!! 

 光の壁に突進して来たケルベロスがぶつかり、動きを止める。


「先輩!!」

 ふむ、予定とは違うがこれはこれで。

 俺はメグミの横に立ち、銃剣を構える。

「さぁ、エサの時間だ」

 ”雷属性付与”の刻印を発動。レールガンだ。

 ——ドパァンッ!!

 レールガンがケルベロス最後の首に直撃し、その頭部は消滅した。


 ……


 戦いの後、僕とメグミの下へ姉さん達が近寄ってくる。何か言っているマサヨシとグレンは無視しているな。流石に我慢の限界が近いようだ。

「お疲れ様ですユーちゃん。そして、ユーちゃんを守ってくれてありがとうございました、メグミさん」

 姉さんの言葉に、メグミが俯く。

「いえ、私が守らなくても先輩は……あの魔物を倒せましたよね。邪魔をしただけでした、お礼を言って頂ける価値なんて無いです」

 うん、避ければ済んだからね。

 でもそれは良いんだ。大切なのは、そこじゃないからね。


「純粋に守りたいという想い一つで、あの魔物に対する恐怖に負けずに立ちはだかったメグミの勇気は大したもんだよ。それに、”守るための戦い”……ちゃんと出来たじゃないか」

 僕の言葉に、メグミは顔を上げる。

「メグミなら、大切なものを守れるさ。それだけの力が君にはあるんだ。見事だったよ」

 僕の言葉にはにかみながら、メグミは頷き返してくれた。

「ありがとうございます、先輩」


 これで言うべき事は言ったな。

「よし、それじゃあ最深部に行こうか」

 そう言って歩き出す僕に、姉さん達が付いてくる。それに割って入るのがKY共だ。

「おい、仲間を守って貰っておいて、感謝の言葉も無いのか?」

「そうとも、君は本当に礼儀というものに欠けているね」

 何か言っているが、どうでもいいので無視して歩く。


「おい、聞いているのか!」

 そう言って僕の肩を掴むマサヨシだが、知った事ではない。増幅ブーストを使って身体能力を強化し、そのまま歩く。

「くっ、この! 止まれ、おいっ!!」

 徹底して無視する。


 だが、そんな僕の前に駆け寄り立ちはだかるグレン。

「止まりたまえ、勇者マサヨシ殿の言葉に耳を貸さないとは、君は……」

 ——パァンッ!! 

 僕の銃剣から放った弾が、グレンの頬を掠める。あまりの事に、マサヨシも手を放してしまった。


 いい加減、フラストレーションが溜まりに溜まって仕方ないんだよ。

 そろそろ発散してもいいよね? 

「なっ、何をする!!」

 ——パパパパァンッ!! 

 更に両手の銃剣から、グレンの顔のすぐ近くを撃つ。目視できない銃弾に、グレンの顔が凍り付く。


「お前、何の真似……」

 怒りに染まった顔で、マサヨシが僕の胸ぐらを掴み……顔を引き攣らせた。

「……な、な……」

 別に、大した事はしていない。ただ……こいつらに対する興味が完全に消え失せた。

 ”無関心”……それが僕の表情に表れているだけ。

 何か歩いて喋って人の形をしているけど、路傍の石程度の価値、それだけ。


「……もう我慢なりません」

「はい、思い知らせるべきでしょう」

「そうですね、私もそう思います」

「申し訳ありませんユート様、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

 あっ、四人共キレてるな。まぁいいか、彼女達に任せよう。

「あぁ、構わないよ」

 僕の返答に頷き、四人が僕をガードするように並んで立った。


「あなた方は何故ここに居るんですか?」

 姉さんの言葉に、マサヨシが答える。

「ここに来たのは、君達を助けたいと思ったからだよ」

 状況が解っていないマサヨシが、そんな世迷い言を口にする。

「そのために、私達を尾行していたんですか」

「い、いや! 尾行なんてしていない、俺達は俺達で探索してここに……!」

 ふーん、探索ねぇ。


「私達は最低限の休憩で、最短ルートでここに来ました。普通に探索していたとしたら、貴方達が追い付ける差ではありません」

「な、何で最短ルートと言い切れるんだ?」

「それを貴方達に話す理由はありません。私達が気付いていないと思っていたんですか? ずっと十メートルくらい後に貴方達が付いて来ていた事くらい、解ってましたよ」

 その言葉に、バツが悪そうに視線をそらすマサヨシ。


「その間、貴方達は戦闘も何もしませんでしたね。ただ後から付いて来るだけでした。私達に対して、よからぬ事を考えているとしか思えませんね」

 そんなアリスの言葉に、グレンが反論する。

「それは誤解ですアリスさん、私達は純粋に貴方達を守りたいと思って……」

「誰がそんな事を頼みましたか。迷惑ですから金輪際付いて来ないで下さい」

「……!?」

「状況をよく考えて下さい。私達は、現に貴方達の力を借りずに、大迷宮の最深部まで辿り着いています。むしろ、貴方達が側にいたら邪魔です」

 いつにないアリスの厳しい言葉に、そしてそのゴミを見るような表情に、グレンは黙り込んだ。


「それと、貴方達は最後の戦闘に割り込んできましたね。何故そんな事を?」

 リインの質問に、今度はマサヨシが答える。

「そ、それは君達の身が危ないと心配したからで……!」

「あの魔物の首を私達は二人一組で瞬殺していました。それで、私達の何が危険だったと? むしろ、あの時危険に晒されていたとしたら、それは魔物が向かっていった先に居たユートさんです」

「……それは……」

「メグミさんのように、ユートさんを守るために割って入るのは理解できます。メグミさんは勇敢で、正しい行動を取り、ユートさんを守って下さいました」

 リインのメグミ推し。まぁ、メグミとマサヨシの差を思い知らせる為もあるんだろうが。


「で、貴方達は何をしたんですか? 危険に晒されている人を放置して、私達の前に立って何をしていたんですか?」

「……そ、それは……」

 下心満載で、女性の前でいい格好したかったんだ! なんて言えるわけねぇわな。

「それで、先程ユートさんに何て言いました? ”仲間を守ってもらった”でしたか? いつ貴方達が私を守ったのですか。ただ邪魔をしただけです、思い上がらないで下さい」

「うっ……ぐ……」

 リイン、絶好調。


「ところで、そこの銀級冒険者」

 もう名前で呼ぶ気すら失せたな、アイリ。

「冒険者として答えなさい。冒険者のマナーについてくらい、下半身に脳があるような貴方でもイエスかノーで答えるくらいは出来るでしょう」

「仔、仔ウサギちゃん……?」

 流石のグレンも、アイリのいつになく辛辣な物言いにたじろいでいる。ざまぁ。

「他人のパーティの戦闘には割り込むのが冒険者の責務ですか」

「い、いや……だからそれは……」

「イエスかノーで答えろと言ったでしょう」

「……ノーだ」


 そう、戦闘に対する割り込みというのは、それなりの冒険者以上なら決してやらない。

 理由は簡単で、戦闘後の魔物の素材や討伐証明部位の所有権で揉めるからだ。

 戦闘時に割り込んで良いのは、先行側からの要請があった場合か、先行側が提案され受け入れた場合だ。そして、その際に魔物の死体の優先権について決める。

 討伐証明部位は別として、素材は半々で分けるのが多いらしい。

 それらを前もって決めておく事で、トラブルを回避するのだ。

 最も、あからさまな命の危険を察知した場合は、その限りでは無いが。


「勇者達はこちらの常識に疎いので仕方が無いと言えますが、貴方は違います。ユート様に礼儀云々とよく言っていますが、貴方の方こそ冒険者共通のマナーを無視するなんて、同じ銀級冒険者として恥ずかしいです。貴方は冒険者の恥晒しです」

 言い切ったな、アイリ。グレンはもう何も言えず、黙りこんで俯いている。

 ってか、皆マジで容赦ねぇな!! 


「解りましたか、自分の立場というものが」

「貴方達は態々、恥を晒しに大迷宮まで来たのですね」

「とんだ時間の無駄遣いですね」

「もっと有効な時間の使い方をお勧めします」

 そう言って、四人はマサヨシとグレンに完全に興味を失ったようだ。


「話は済んだかな? じゃあ行こうか」

「はい、ユーちゃん」

「行きましょう、ユート君」

「お待たせしました、ユートさん」

「お供します、ユート様」

 普段よりご機嫌な様子で、僕にくっつく四人。溜まりに溜まっていたストレスを発散して、ご機嫌なんだな。


 入ってきたのと反対側にある扉に歩み寄り、手を当てて軽く押す。

 やはりこちらも、大して力を込めなくても独りでに開いていった。どうなってんだろ、この扉。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ