04-10 五人目/王国と皇国
これまでのあらすじ:公爵閣下との対話が終わったよ、肩凝った。
さて、公爵閣下にああ言ってしまったので、やる事をやろう。
姉さん達に留守を頼み、僕はアーカディア島に転移する。昨夜の経緯等をクラウス達に説明し、工房に入る。
「獣王国に続いて皇国の危機まで救うなんてな!」
「流石です、ご主人様!」
「ご主人様は最強~!」
獣王国での件を知っている三人は、笑顔ではしゃいでいた。
まったく、そんなに持ち上げても何にも出ないぞ? 後で、何か役に立つ物でも作ってあげよう。
……
さて、まず製作するのは、いつもの首飾りだ。皇帝陛下にはやや大きめ、公爵閣下には一回り小さめの宝石をあしらった物にする。
それに、他の国と連絡を取り合える“世界の窓”を陛下に。これはイングヴァルト・ミリアンにも渡しているし、鉄板だな。
アンドレイ叔父さんには、他に腕輪と指輪も渡してるけど……まぁ、完全な身内だからの特別扱いだね。
……
次に、悪魔族の暗躍に対する対策だ。
用意したのは眼鏡である。一部、コアなファンが付いている萌えアイテムだ……いや、僕は眼鏡萌えではないけど。嫌いでもないけど。
これに、“解析”を付与する。
最も技能とか称号とか、その辺りが知られると厄介な事になる場合もある。
姉さんに確認したら、姉さんの“人化天使”っていうのは隠せるらしいので、僕達は問題無さそうだ。どうやるのか、さっぱり解らないんだけどね。
と言う事で、さぁ試してみよう!
“解析”で種族だけを解析する刻印付与が出来るかどうか。
ちょっと緊張しつつも、詠唱を意識しながら思い描いた刻印を、魔力を集中させた指先で描いていく。
「……あっ、できた」
出来ちゃったよ。使わなくても解るのは何でだろう、不思議だね。
「これは、いくつか製作してしまおう。イングヴァルトとミリアンの分もだから、うーん……それぞれ十個くらい作っちゃうか」
デザインも凝りたいね! イングヴァルトは剣と杖をモチーフに、ミリアンは牙とケモ耳、ヴォルフィードは草と樹にしよう。
興が乗って、色々作ってしまったよ。いやぁ、熱中しすぎるとダメだね!
……
僕はマックに製作した遺失魔道具を託す。
「解った、任せてくれ。必ず父上に渡すよ」
面倒くさい小芝居を頼んでしまって、申し訳なさを感じる。でも僕が持っていったら、僕が製作した物だってバレちゃうしね。
元からバレバレなんだけど、体裁は必要だ。
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さて、ここらで僕達は皇国をお暇させて貰う。いい加減、長々と居座るわけにもいかないからな。
イングヴァルトからヴォルフィードへの旅で一日半を費やし、皇都に着いたら即謁見からのお茶会、晩餐会。翌日はマックとリア、リインをアーカディアに招いて、決闘して、その日の夜に大騒動。
もう、四日も費やしているのだ。
そもそもアルファは一国の王子。流石にそろそろ、イングヴァルトに戻らなければなるまい。
そして、僕達は平民だ。皇城に泊まっている事の方が不思議なのだ。いや、確かにアリスは公爵令嬢なんだけどさ。
なので、出立は明日の朝。それをリア経由で報せて貰うと、僕達は皇帝陛下からの呼び出しを受けた。
……
謁見の間に通された僕達は、皇帝陛下に謁見している。陛下の脇にはマックやリアを含む殿下達、そして公爵閣下も居る。
「先程、マックール殿下からある物を受け取ってな。何でも、旅の商人が遺失魔道具を献上して来たのだそうだ」
公爵閣下が、僕を見ながらそんな話題を振ってくる。
「そうですか。どのような遺失魔道具なのです?」
僕の言葉に、皇帝陛下が苦笑した。どの口が、って感じだよね!
「首飾りだな。それと薄い板のような物に、眼鏡を十組。どれも興味深い遺失魔道具のようだよ」
次いで、公爵が口を開く。
「この国は、遺失魔道具と聞くと目の色を変える連中がいるからな……嘆かわしい事だが。献上した旅の商人とやらも、それを知っての事なのだろう」
何でそんな事をしたのかを、正確に把握してる公爵閣下。まぁ、今朝あれだけバレバレの芝居をしたもんな。
「……その人物に、礼が言いたいものだ」
「陛下の仰る通りだ、ありがとう……もし、そんな旅の商人に会う機会があれば、伝えて貰えないものか」
そう言いつつも、視線はガッツリ僕に向いている。
「心に留め置きましょう」
白々しさ、全開である。
「して、アルファルド殿下、ユート殿。もう戻るのかね」
「はい。父に親書を渡し、この国との同盟に向けてこれから忙しくなるでしょう。やがて国を背負う者として、皇国との友好の架け橋となる者として、やらねばならない事がございます」
その言葉に皇帝陛下は、鷹揚に頷いた。
「それでは、今夜は晩餐会を開こう。今宵は我々とヴォルフガングと夫人、それにリイナレインのみで良いかな」
「はい、それがよろしいかと」
何で僕を見るのかな!? いや、まぁ……前回の晩餐会みたいになったら、また囲まれちゃうからね。
「さて。貴殿らが帰る前に、渡しておきたい物がある」
皇帝陛下が立ち上がり、玉座からこちらへ歩いて来る。公爵やマック・リア・リインも、それに続いた。
「ヴォルフィード皇国・皇都リーヴォケインで起こったバルボッサ元伯爵と悪魔族による事件において、貴殿らは多大な貢献を以って事態の収拾に奔走した。ここに此度の貴殿らの功績を称え、聖樹功労章を授ける」
聖樹とは、五つのエルフ族の国……エルフ五国の国境線中心にある、エルフ達の守り神と呼ばれる樹だ。
通称、世界樹。ファンタジーのお約束要素、ここで登場である。
そして、その名を冠した聖樹功労章は全エルフ族にとって名誉であり、エルフ以外に叙勲されるのは異例の事らしい。
「全員に報奨として金貨五十枚を下賜する。そして、中心となって事態を収めたアルファルド殿下、マックール、ユート殿には特別褒章を用意した」
金貨五十枚。やったぜ、この前屋敷を買って半分になっちゃったからね。
「アルファルド殿下には、皇城のすぐ隣に邸宅を用意させている。この国に訪れた際は、そこを使うと良い」
「ご配慮痛み入ります」
リアとラブラブできる場所が出来たわけだな。
「マックールには、城内にお前とその妻となる者達の為に離宮を用意する。早く孫の顔を見せて貰いたいものだ」
「おっと、これは手厳しい……」
身を固めろって煽られている訳だからな。まぁ、世継ぎ問題とかも在るし、重大案件だろうな。
そして、皇帝陛下と公爵閣下は、僕に視線を向ける。
「そして、ユート殿には……」
皇帝陛下が、公爵閣下を見る。公爵閣下が頷き、僕に向けて口を開いた。
「我が娘リイナレインを託す。貴殿の旅に、娘は役に立つであろう」
「ほぁっ!?」
変な声出ちゃったじゃないか! リインを託すって……え、どういう事!?
「良いな、リイナレイン」
「はい、お父様」
後ろを見ると、立ち上がって移動するリイン。僕達の隣に並ぶと、リインは微笑んだ。
「よろしくお願いします、ユートさん」
あっ、これ本人にも話が通ってたパターンだわ!
「えっ、えっ!? リインは大丈夫なの!? それでいいの!?」
「はい、お父様からの命令でもありますが、私が望んでいる事でもありますから」
望む……って、まさかそういう事なのか!? 増えたの、また!?
「娘が同行するのは不服か、ユート殿」
「不服な事は一切ありませんが、リイン……いえ、リイナレイン様は公爵閣下の……」
「ユート殿、悪魔族の暗躍は世界中に及んでいる可能性がある。そして、その中で最も安全な場所に娘を託したい親心、理解してくれるな?」
……まぁ、確かに悪魔族を三人程討伐した事になっていますが。そう言われると、何か自分が凄い人みたいに聞こえるなぁ。
「ユーちゃん、リインさんからは事前に相談されていました。私達は賛成ですよ」
「はい、リインさんならうまくやっていけそうです!」
「リイン様の分の服も、レオングルで仕立てて貰わなければいけませんね」
「話が既に通っていた!? えっ、僕だけ除け者!?」
待って、何よこの疎外感!!
「……ダメですか、ユートさん」
目を潤ませて、こっち見ないで!! あぁ、可愛いな。断れるはず無いよね、これ。ちげぇよ、そうじゃねぇよ!! このパターン、前にもあったよ!
「そのままリイナレインを娶っても構わんぞ」
「ふむ、そうするとユート殿が公爵の義息子になるのだな」
アンタら、飛躍しすぎ!
「ユート殿」
公爵が歩み寄り、僕とリインの肩に手を置く。
「至らない娘だが、どうかよろしく頼む。貴殿にならば、安心して任せられる」
……そんな事言われると、返答に困るんだよ、もう。
「はぁ、僕の負けです。任されました、公爵閣下」
また一人、旅の仲間が増えました。まだ何度かありそうで恐いぞ、このパターン。
……
「ユート。済まないと思うのだが、一つ頼みがあるのだ」
謁見の後、応接室に集まった僕達だったが、アルファがそんな事を言ってきた。畏まらんでも、普通に頼んでくれよ。
「叔父さんに腕輪で話を通しておいて。転移魔法陣くらい、いくらでも開くさ。魔力が続く限りね」
「……っ! よく解ったな」
わからいでか。
「悪魔族の暗躍……それに対し、国単位じゃなく世界単位で対処が必要だろうからね。連携できる国家を増やさなければならない、だろ?」
「あぁ」
その為にも、イングヴァルト王国とヴォルフィード皇国の同盟締結を一刻も早く進めるべき。それは、僕も同じ考えだ。さっさと婚約の話を進めたいのもあるんだろうけどね。
僕としても、アンドレイ叔父さんと皇帝陛下の顔繋ぎをして、両国の連携を深めて貰うのは早い方がいいと思う。アルファが言い出さなかったら、僕から言い出していただろう。
「マックとリアは、皇帝陛下にその旨を伝えて貰える?」
「任せたまえ!」
「はい、承りましたわ!」
二人は足早に皇帝陛下の執務室へと向かう。
「アルファはアンドレイ叔父さんに連絡しておいてくれ」
「うむ。お前達はどうするんだ?」
「とりあえず、リインの旅仕度を済ませるよ」
基本的にはアーカディア島にある物で賄えるんだよね。だから、仕度と言ってもリインの私物を宝物庫に入れておくのと、服を仕立てに行くくらいなのだ。
「ついでにちょっと獣王国に顔を出して来る。同盟に獣王国にも一枚噛んで貰おう」
獣王陛下に悪魔族の暗躍がヴォルフィードでも確認された事と、イングヴァルトとヴォルフィードの同盟の話を伝え、獣王国も同盟参加を促しに行く。
「ふむ、それはいい考えだな。解った、連絡は任せろ」
「あぁ、頼むよ」
ついでに、ミリアンへの道中で僕と姉さんの秘密をリインに話してしまおう。パーティメンバーなんだし、隠し事は無しにしたいからね。
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獣王陛下との謁見は、即座に行われた。
獣王国では、完全に英雄扱いされているなぁ……嫌じゃないんだが、自分の為に動いているので少々座りが悪い。
「ふむ、話は解った。ミリアン獣王国もヴォルフィード皇国に友好同盟を結ぶ為に動こう。こういう時、ユート殿のくれた“世界の窓”は実に役に立つな」
獣王陛下はうんうんと頷き、協力を約束してくれた。話が早いのはいい事だ。
……
そのまま例の服飾店に向かうと、すぐさま店主が応対に現れた。完全に上客扱いだ。
「成程、新しいメンバーの為に服を! 畏まりました……と申し上げる所なのですが、実は……」
驚いた事に、なんとこの服飾店の店主は僕が再来訪する時の為に、僕達のデザインした服を作ってあったと言うのだ。
売れるのかと聞いたら、僕達以外へは非売品にしたのだという。普段はショーウィンドウに飾ったりしているそうだ。この店主……かなりデキる!!
「リイナレイン様で御座いましたか、いくつかインナーの試作がございますので、試着してみては如何でしょう?」
たっぷり……本当にたっぷり時間をかけた結果、リインの旅装束はキャミソールタイプのトップスを選んだようだ。ちょっと丈が短めのもので、お臍が時折ちらりと見える、ナイスチラリズム。
ホットパンツやコート、アームガードとニーソックスは姉さん達と同じデザインの物だ。
ついでに、リインの長い髪は一つ結びの三つ編みお下げになっている。ふむ……衣装に合っているし、リイン自身にもピッタリだな。
「よくお似合いで御座います、リイナレイン様」
「感謝するよ、店主殿。これでリインを連れて旅に出る事が出来る」
僕の言葉に、店主は満足そうに微笑んで一礼した。この店にはこれからも、ちょくちょく寄らせて貰おう。
ついでなので、必死に思い出して書き溜めておいたデザイン案を店主に渡す。これには店主も大喜びで、早速試作するつもりらしい。商才逞しいな。
……
ヴォルフィード皇国へ戻った僕達は、アルファの元へ向かう。
「アルファ、リア、マック。どうだ?」
「あぁ、父上から了承が取れた。母上と、アークヴァルド公爵と伴って来るそうだ」
「こちらも了承が得られました」
「晩餐会の前に、応接室で会談したいとの事だ」
よし、順調に話が進んだな。
気付けば彼等の視線は、リインに注がれていた。
「よく似合っているじゃないか、リイン」
「本当ね、とても素敵よ!」
「ありがとうございます殿下、ありがとうリア」
嬉しそうに微笑みながら、ミリアン獣王国での仕立ての話で花を咲かせる三人。
「さて、それじゃあ叔父さんを呼ぶか」
「一国の王を叔父さん呼ばわりするユートは、本当に何か……凄いヤツだな」
「私も同感だ、マックール殿下……」
何か言ってる両国の殿下コンビは放置して、アンドレイ叔父さんに腕輪による念話を送って了承を得た後、門弾を使って転移魔法陣を開く。
転移魔法陣を潜って来たアンドレイ叔父さん、ジュリア叔母さん、アレックス叔父さんが、僕達を見て苦笑する。
「やぁ、ユート君。毎度毎度、君には驚かされるな」
「やっ、叔父さん。毎度毎度、トラブルに巻き込まれたよ」
僕の行く先って、何でこうトラブル続きなのかね。
「しかしユート君のお陰で、獣王国に続いて皇国との同盟も、円滑に進んでいる。これは素晴らしい成果だよ」
「ユート君、あなたのお陰でイングヴァルト王国は活気に満ちているの。ありがとう」
自分の為にやってるので、そんなに褒められると恐縮してしまうな。
マックとアルファに案内され、アンドレイ叔父さんとアレックス叔父さんは応接室へ向かった。
ジュリア叔母さんは皇帝陛下のお妃三人と、お茶会らしいね。リアはそっちに行っている。
そして僕達パーティメンバーは、テラスでリーヴォケインの森を眺めている。やる事、無いからね。
そこへ、来客が現れた。
「ユート、行くのか?」
「もう少しゆっくりして行けばいいのに」
英雄夫妻の来訪だ。
「だいぶリーヴォケインに居たからね。他の町や村を回って、冒険者としての活動もしないといけないし」
そう、今回はアルファの護衛依頼に専念していたので、他の依頼は受けていないのだ。
「そうか、ならば仕方ないな」
「リイナレイン様も連れて行く件、聞いたわよ。くれぐれもよろしくねユート」
「解っているさ」
そんな風に雑談をしていた所、城の従者が僕達を呼びに来た。従者に連れられ、僕達は謁見の間へ通される。
「如何なさいましたか、両陛下」
流石に両国の国家元首が並び立っているので、普段の口調では話せないよね。
見れば居るのは両陛下だけではなく、イングヴァルト王国宰相のアレックス叔父さん、ヴォルフィード皇国内務卿ヴォークリンデ公爵閣下、両国の殿下達に、ヴォルフィード皇国の貴族でも地位が高い者達が集っていた。
「うむ、此度の件は皇帝から聞いた。ユートとその仲間達よ、お主達の尽力は賞賛に値する。聞けば、皇帝は聖樹功労章を与えたと聞く。故に略式ではあるが友国を救った功績を評し、全員に我がイングヴァルト王国からも金十字勲一等を授与する」
これで、三カ国の最上級の勲章を叙勲される事になった。マジか。
「それに加え、ユートとキリエよ。お前達に両国より名誉男爵、名誉女男爵の爵位を授ける」
「ふぁっ!?」
「……まぁ」
僕と姉さんの反応を他所に、ヴォルフィード皇国の貴族達が色めき立つ。そりゃそうだ、冒険者が叙爵なんてされる事はそうそう……。
いや、あるんだっけか? 金級とかになると、確か男爵や子爵がいるらしいな。ドーマ支部長とかは子爵位を持っていたと思う。
「悪い話では無いと思うぞ? これはそなたらに対して狼藉を働く輩に対する、抑止力となるであろう」
あ、なるほど。遺失魔道具狙いのエルフ達に対し、「貴族ぞ? 我は貴族ぞ?」と言えるようにしてくれた訳か。
名誉爵位は、他国の貴族に対して功績などを讃え贈られるのが普通らしい。なのだが、僕が一国に属す気がないのを聞いた皇帝陛下が、アンドレイ叔父さんと相談した際に出した結論なのだろう。
ちなみにアリスは元より公爵家の人間だし、リインも同じく公爵令嬢だ。アイリはあくまで僕の奴隷なので、爵位の授与は出来ない。
奴隷貴族なんて立場、あってはおかしいからな。
「そもそも、普通じゃないユート君だからな。今回の二つ、三つ目の叙勲で三国どころか三大陸、三種族にとって最上級の勲章だ。一つや二つ、普通じゃない要素が増えても今更だよ」
「口調が崩れておいでですよ、イングヴァルト王国国王陛下」
冷たい声でバカ丁寧に告げると、アンドレイ叔父さんが押し黙った。
苦笑する皇帝陛下が後を引き継ぐ。
「名誉爵位にある者は、国家に属さない扱いになる。故に領地や役職が与えられない代わりに、納税や徴兵もされないというメリットがあるな」
つまり、本当に貴族という身分を与えるだけか。
「イングヴァルト王との議論の末に出た結論がこれだ。ユートとキリエよ、受けて貰えるな?」
……どうしよ。
姉さんに視線を向ける……にっこり微笑むだけだ。その辺の判断は俺にさせる系お姉ちゃんだったよ、そう言えば!
悪目立ちは嫌だが、下心ではなく善意での事だもんなぁ。うーん、仕方ないか!
「解りました、そのお話を謹んで受けさせて頂きます」
そう言って跪く僕に、姉さん・アリス・アイリ・リインも続く。その返答に、両陛下は鷹揚に頷いた。
「それでだ、ユート君とキリエ君。家名をどうする?」
厳格な叔父さんはログアウトしたようだ。途中で、少し素に戻っていたけどな。
「ユート殿のご両親に、家名は無いのだったな」
母さん、王国を出奔したからね。流石にイングヴァルト姓や、フォルトゥナ姓・クラウディア姓は名乗れない。
「そうなると、自分で付けるべきなの?」
僕も平伏モードは終わりだ、疲れた。皇帝陛下も、もう知らない仲じゃないし構わないだろう。
……成程、確かにこの思考は普通じゃない。
「そうだね。何かいい家名はあるだろうか?」
そんなんいきなり言われましても。
「私はユーちゃんの決めた家名にしますね」
姉からの、ザ・丸投げ。
そこで、アルファとマックが両陛下に提言する。
「両陛下、良い家名が御座います」
「えぇ、私にも」
ほう? 何かあったっけ?
「「アーカディアは如何でしょう」」
……あー! そっか、アーカディア島の名前があったな。頭の中にカミヤしか無いか? とか思ってたよ。
「アーカディア……ユート・アーカディアか」
「キリエ・アーカディア……ふむ、悪くないな」
ウムウムと頷く両陛下。動きがシンクロしてて、ちょっと面白い。
「世界各国に、アーカディアという家名の貴族は無かったと記憶しておりますわ、両陛下」
リア、そんなの覚えてんの!? 記憶力凄いな、パネェ。
「よかろう。ここにアーカディア名誉男爵並びに、アーカディア名誉女男爵の誕生を宣言する」
まさか、自分が爵位を貰う事になるとは……ねぇ。
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【名前】ユート→ユート・アーカディア(NEW)
【国籍/階級】無し/アーカディア名誉男爵(NEW)
【職業/レベル】付与魔導師/21→23
【ステータス】
体力:37→39(+100)
魔力:35→37(+30)(+100)
筋力:34→36(+100)
耐性:38→40(+100)
敏捷:33→35(+100)
精神:36→38(+100)
【技能】付与魔法LV6→7・遺失魔道具製作LV7→8・魔道具製作LV6→7・銃撃LV4→5・剣術LV4→5
【称号】エルフ族の友(NEW)・悪魔族の天敵(NEW)
【賞罰】ヴォルフィード皇国 聖樹功労章(NEW)・イングヴァルト王国 金十字勲一等(NEW)
【名前】キリエ→キリエ・アーカディア(NEW)
【国籍/階級】無し/アーカディア名誉女男爵(NEW)
【職業/レベル】剣士/25→27
【ステータス】
体力:88→90
魔力:100→102
筋力:71→73
耐性:86→88
敏捷:104→106
精神:91→93
【技能】法術V10→11・火魔法V10→11・水魔法V10→11・風魔法V10→11・地魔法V10→11・光魔法V10→11・神聖魔法V10→11・剣術V10→11・銃撃V10→11
【称号】エルフ族の友(NEW)
【賞罰】ヴォルフィード皇国 聖樹功労章(NEW)・イングヴァルト王国 金十字勲一等(NEW)
【名前】アリシア・クラウディア・アークヴァルド
【職業/レベル】魔導師/22→24
【ステータス】
体力:55→57
魔力:83→85
筋力:52→54
耐性:50→52
敏捷:82→84
精神:73→75
【技能】水魔法LV5→6・風魔法LV3→4・光魔法Lv4→5・銃撃Lv2→3
【称号】エルフ族の友(NEW)
【賞罰】ヴォルフィード皇国 聖樹功労章(NEW)・イングヴァルト王国 金十字勲一等(NEW)
【名前】アイリ
【職業/レベル】戦士/15→17
【ステータス】
体力:39→41(+20)
魔力:38→40
筋力:37→39(+20)
耐性:33→35(+20)
敏捷:70→72(+20)
精神:50→52
【技能】剣術Lv2→3・銃Lv2→3
【称号】エルフ族の友(NEW)
【賞罰】ヴォルフィード皇国 聖樹功労章(NEW)・イングヴァルト王国 金十字勲一等(NEW)
【名前】リイナレイン・デア・ヴォークリンデ
【職業/レベル】魔導師/25→27
【ステータス】
体力:51→53
魔力:79→81(+20)
筋力:49→52
耐性:47→49
敏捷:78→80
精神:80→82(+20)
【技能】風魔法LV6→7・水魔法Lv7→8・地魔法Lv5→6・弓術LV8→9・森林魔法Lv6→7・銃撃Lv1(NEW)
【称号】人間族の友(NEW)
【賞罰】ヴォルフィード皇国 聖樹功労章(NEW)・イングヴァルト王国 金十字勲一等(NEW)
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