表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/327

03-08 幕間/王都レオングルの人々

今回はオマケ的なお話の為、短めです。

【とある宿屋】

 はいはい、いらっしゃい。おや、アンタら冒険者かい?

 人間族の冒険者が増えたね、やっぱりあの人達の活躍を聞きつけて来たのかい? そうそう、ユート様達だよ。

 はぁ、あの人達の子分だって? ……へぇ~、そうなのかい。

 で、泊まりでいいのかい?

 あいよ、三人部屋で一泊銅貨三枚だ。はいはい、三泊ね。


 ん? ユート様達の話だって?

 生憎と、ウチには泊まって行かなかったんだけどね。遠目にはお見かけした事があるよ。

 紺色の髪の美人さんと、蒼銀の髪の美人さん、それに兎人の獣人を連れて歩いていたよ。皆揃いの衣装を着ていて、それはそれは凛々しかったねぇ。


 何でも聞いた話だと、獣王陛下とイングヴァルトの王様から、銀級冒険者に昇級の栄誉を賜ったとかいう話だよ。

 おいおい、アンタら興奮するんじゃないよ! ちょっ、何で泣いてるんだい。

 流石は兄貴達? ふーん、子分ってのは本当なのかねぇ。


 実はね、聞いた話だと兎人の女の子は、違法な奴隷商人にとっ捕まったって噂なんだ。それを保護したユート様達が、王都防衛の後に奴隷から解放しようとしたらしいんだけどね。

 その子ったら、ユート様に着いて行きたいからって、奴隷からの解放を拒んだらしいんだよ?

 いやぁ、凄い話だよねぇ。普通なら、奴隷なんてなりたくもないのに。


 やっぱりアレかねぇ、ユート様に惚れているのかねぇ。

 まぁ、その子はさ、普通の奴隷と比べようも無いくらい、健康的だったからねぇ。それにユート様達と揃いの服を着ているくらいだからねぇ。

 やっぱりユート様に、大切にされているんだろうね。流石は救国の英雄様だよ。


************************************************************


【とある服飾店】

 おや、人間族のお客様ですか。いらっしゃいませ……はぁ、話を聞きたい、ですか?

 ほほぉ、ユート様の部下ですか! えぇ、ユート様が服を仕立てられたのは確かに当店で御座いますよ。

 いやぁ、素晴らしいデザインの服をいくつかご提案頂きました。

 ご覧になってみますか? こちらのコートがそうですね、銀貨八枚程になりますが。

 お買い上げ頂けるので!? これはありがとうございます!


 よくお似合いですよお客様方。

 え、ユート様のお話で御座いますか?

 えぇ、とても丁寧で、謙虚な方でしたね。いえね、救国の英雄様ですから、お値段の方も勉強させて頂こうと思ったのですよ。

 ユート様方のお召し物は一組で金貨一枚程のお値段なのですが、銀貨五枚に値を下げてのご提供のはずだったのですよ。


 しかし、ユート様は「いい服を仕立ててくれた礼だ」と仰って、結局は通常以上の値段をお支払いされたのです。おそらくは、適正価格をご存知だったのでは無いかと……。

 大商人と名高いベアトリクス様とも懇意にされていると聞きましたし、目も肥えていらっしゃるのでしょうなぁ。


 それに、兎人の奴隷少女にも同じ服を仕立てておりました。普通は奴隷等には古着を着せるのが一般的なのですがねぇ。

 本人が渋っていても、ユート様は優しい面差しで「仲間だから」と仰っていました。

 やはり救国の英雄様ともなると、その懐も海のように広く深いのでしょうなぁ。


 実はですね、ユート様はこの国の王族とも親交がおありなのですよ。

 獣王陛下のお召し物を献上に上がった際に、ユート様がデザインされた新作をお見せしたのです。すぐにユート様のアイディアだとお察しになられて、大層ご機嫌なご様子でした。

 お陰様で、ユート様のデザインが大衆にも受けておりまして、注文が舞い込んで来るのですよ。


 いずれユート様がご来店になった際には、アイディア料をお支払いしなければなりませんな。またその際は、色々とデザインのご相談にも乗って頂きたいものです。


************************************************************


【とある不動産屋】

 はぁ、ユート様のお仲間……でいらっしゃいますか。

 えぇまぁ、お話をする程度でしたら……そうですな、私共の店にいらっしゃったのはベアトリクス様のご紹介でして。

 拳聖と名高く、大商人としても顔が知られているベアトリクス様のご紹介。ご本人も王都防衛を成し遂げた救国の英雄様ですからな。私共も精一杯の仕事で、お応えさせて頂きました。


 は、値段? よくお分かりになりましたな。

 確かにユート様は、私共が赤字覚悟で金貨十枚でのご提供にしようとしたのです。ですがユート様は、金貨二十五枚で屋敷をお買い上げになりましてな。


 実際には相場で金貨二三枚ですので、お引渡しの際に金貨二枚をお返ししようとしたのですがね。あの方は「いい仕事をしてくれた礼」と仰って、受け取って下さらなかったのですよ。


 英雄としての名声を得たというのに、謙虚なお方でしたね。

 納期も他の仕事より優先しようとしたのですが、ユート様は他のお客様にお気を使って下さり、順番を守るようにと仰いましたね。貴族の方などの場合ですと、自分を優先しろと仰るのですがね。


 驚いたのは引渡しの時ですね。私共がご用意したお屋敷を、魔道具の中に収納してしまいましてね。

 いやぁ、あれは驚きました。魔道具をお持ちとは、流石は救国の英雄様ですね。

 は、銃ですか? 銃でゴブリンの大群を!?

 ははぁ、本当にユート様は規格外ですなぁ……。


 しかしあれですな、ユート様はいずれ叙爵されるとか、建国されたりとかしても不思議ではない気が致します。

 その際は、建城もうちにご発注頂きたいものですなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ