03-05 拠点/獣王の依頼
これまでのあらすじ:ガッツリ叱られました、ごめんなさいもうしません。
僕達は今、天空島の中心にいる。あれから三日が経ったのだが……。
「……自分の才能の無さが憎いっ!」
拠点となる家を建てようと苦心しているのだが、多分これって建築技能とか必要ですよね! 出来たのが木でできた子供のアスレチックみたいなのだよ!!
「ユート様……できない事があったんですね」
「アイリは僕を何だと思ってたのさ、できない事なんていくらでもあるよ」
何でも出来る完璧超人なんていてたまるか。いや、身内に一人いるわ……父さんだけど。
「父さんは何であんなに色々できるんだか……」
鍛冶、建築以外にも色々出来るのだ。料理とか上手いし、狩りも釣りも農業も出来る。
出来ない事とかあるのかな、あの人は。
「それは、勇者様だからですね」
「勇者様は、技能の習得に制限が無いんです。魔導師なら魔導師系の技能、戦士なら戦士系の技能しか得られませんが、勇者様は全ての職種の技能を習得できます」
「チートだな!」
「チート……?」
この世界、チートって言葉無いのね。
「チートの意味は解りませんが、勇者とはそれ程までに特別な存在なんです。レオナルド様は史上初の、この世界出身の勇者様なんですよ」
あー、本来は勇者って召喚された人がなるものなんだっけか。
でも、何だってそんな事になったのか。
召喚された勇者いなかったのか? 居たのだ。
「確か、召喚された勇者が駄目人間だったんだっけ?」
「そう聞いています。召喚された異世界人……シマ・ヨコタは、勇者に相応しくない悪人でした」
シマ・ヨコタ……ヨコタ・シマ……ヨコシマ。
邪か、名は体をってやつか。
ちなみに、シマって女性名に聞こえるけど、れっきとした男性らしい。
「勇者の地位を利用して、贅の限りを尽し、気に入らない民を殺め、女性を取っ替え引っ替えし、国王まで惨殺したという話ですね」
ちなみに、国王が惨殺されたその国が、イングヴァルト王国である。先王亡き後、アンドレイ叔父さんが国王の座を継ぎ、今のイングヴァルト王国になったのだ。
シマは、母さん……当時、一流の魔導師で民を無償で癒やす事から、聖女と呼ばれていた母さんを手篭めにしようとしたのである。その時既に愛し合っていた父さんと母さんは、シマを倒す事を決意。
そしてなんとレオナルドと七人の仲間は、チートスペックの塊であるシマを討伐してしまったのだ。
その際、レオナルドは職業・勇者を手に入れた。そうして世界初の、召喚されていない勇者が誕生したのだ。
そして、勇者となった父さんは「勇者なら、邪悪な魔王も討伐しないとな!」と、買い物に行くノリでオーヴァン魔王国へ旅立った。そして、討伐しちゃったのだ……魔王オルバーン・ガルバドス・ド・オーヴァンを。
「救国の英雄から、救世の英雄へ。レオナルド様の物語は、世界中の子供の憧れなんですよ」
「人間族と反りの合わない獣人族でさえ、勇者レオナルドの物語は人気なんです。まぁ、仲間にベアトリクス様がいるのも理由でしょうけれど」
そう、世界中の人気者なのである、我が父は。
それを知ったからこそ、可能な限り勇者の息子という事を隠しているんだけどね。父さんの名前で旅をする気はないのだ!
「ユーちゃん、自分で作る方に拘ります? それとも一先ず拠点の確保を優先します?」
「テントで寝てる現状だから、とりあえず拠点確保で」
自作の建造物は、遺失魔道具活用で、改めて今度挑戦するわ。
「それでしたら、建物を購入して門弾でここに持ってくるか、宝物庫に収納して持ってくるか、という手がありますね」
「そ、そんな事できるんですか、キリエさん!?」
「えぇ、出来ますよ」
まぁ、出来るね。
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さて、やって来たのはミリアン獣王国。王都から少し離れた町にある、ベアトリクス邸だ。
「おう、どーしたユー坊!」
「やっ! ちょっと買いたいものがあって、相談したいんだけど」
取り敢えず、旅の間に見繕っていた土産を手渡す。
「おっ、これは北東の村で作ってる酒か! 美味いんだよなぁ、ここの酒は!」
酒好きのベアトリクスさんなら、喜んでくれると思ったよ。
「でー? 何を買いたいんだ?」
「家なんだよ、拠点を作ることになってさ。そうすれば、自動生産工場を常時稼働できるし」
「あー、そういう事か。何処に建てるんだ?」
「色々と準備が整うまでは、内緒でもいい?」
流石に、天空の島です! なんて言ったら連れて行けって言われるか、頭を疑われるだろうからな。
「ふーん……いつか招いてくれるんだろうな?」
「それは当然。その為にも、やる事は山積みなんだけど、拠点が無いと手が付けられないからさ」
「それなら良し! このベアトリクス様が相談に乗ってやるよ!」
世界的に有名な大商人の助力は助かるな。
……
ベアトリクスさんに連れて来られたのは、王都にある一軒のお店だった。
「ここは腕のいい職人がいる不動産でな! 中古の家も新築の家も取り扱ってんだ!」
「ベアトリクスさんの紹介なら、間違いなさそうだね」
おっと、ここで皆の要望を確認しておかなければ。
「皆は拠点の要望とかあるかな? 可能な限り叶えられるようにするよ」
そう言うと、三人は顔を見合わせて頷いた。
「ユーちゃん、友人や知り合いを今後招くこともあるでしょうから、客間が必要だと思います」
まぁ、両親やイングヴァルト王家、アークヴァルド公爵家、ミリアン獣王家、ベアトリクスさんは招く事になりそうだ。他の父さんの知り合いも招く事がありそうだし、客間は何部屋か確保しておいた方がいいだろうね。
「ユート君、今後旅の仲間が増える事もあるのではないでしょうか? それなら、個人の私室もそれなりに用意しておくべきではないかと思います」
それもそうだな。今は四人だが、これから増えるかもしれない……多分増える気がする。
「ユート様の作業用の工房等は必要不可欠だと思います。それに、ユート様は御入浴もお好きですから浴室も確保すべきかと。他にユート様に必要な設備は……」
「自分の要望を言いなよ、アイリ」
僕の事ばっかりじゃんか。
「私は奴隷ですから、物置でも構わないのですが」
「僕が構うから。はぁ……仲間の部屋に優劣はつける気はない、同じ条件の部屋を用意するから、それでいいね?」
物置なんかで寝かせるもんか。
「もう、屋敷を建てちまえよ。金はあるんだろ?」
「金貨五十枚で屋敷って買えるの?」
「二軒は買えるぞ。私の家も金貨二十枚くらいだからな」
その後改築して、金貨五枚は使ったそうだ。
「っていうか、それ王都防衛のお前の分の報奨金じゃねぇの? 四人で金貨二百枚あるはずじゃないのか?」
「他の三人のお金は使う気はないよ。暫定とはいえパーティリーダーだ、皆の拠点を用意するなら僕が出す。足りないなら相談するけど、足りるみたいだし」
そう言うと、ベアトリクスさんがニヤニヤしだした。
「いいね〜、男の甲斐性だね〜! ハーレムの主ってやつは太っ腹だね〜!」
「おい、そんなにケツの穴に銃弾ぶち込んでほしいのか?」
「まだ手出してないのか、お前。もしかして不能か?」
「よし、殺そう」
「はいはい、喧嘩しない喧嘩しない。ほら、お店に入りましょう。お店の前で言い合っていたら営業妨害ですよ」
くっ、姉さんに止められてしまった……アリスとアイリも、クスクスと笑っている。おのれ、一度このロリババァには、目にものを見せてやらなければ……。
お店に入って屋敷の内装やら何やらを説明した所。
「この条件ですと、新築になりますね! 救国の英雄様のお屋敷ですので、最優先で取り掛からせて頂きます! 職人を総動員して、十日……いえ、七日で仕上げてみせましょう!」
予想外のVIP待遇!? そりゃ確かに、自分の都合とはいえ結果的には王都を悪魔族と影から守りましたけど!!
「ほ、他のお仕事に支障が出てはマズイでしょうから、順番で構いませんよ?」
「そうはおっしゃいますが、救国の英雄様を蔑ろには出来ません」
「そんな大層なものじゃないんで、ほんと……」
何だか納得したようにウンウン頷いている。
「かしこまりました、そこまで仰るのでしたら十日後のお引き渡しに致しましょう。それで金額ですが、金貨十枚程でいかがでしょう?」
「割り引きすぎですよね!? ベアトリクスさんの屋敷並で金貨十枚じゃ、大赤字ですよね!?」
「そ、そんな事は……!!」
「めっちゃ視線が泳いでますからね!? 金貨二十五枚でお願いします、いいですよね!!」
とりあえず、勢いでゴリ押しした。足りなかったら、追加料金を支払おう。
後で聞いたら、ベアトリクスさんの見立てでは金貨二十三枚だそうだ。それならまぁ、チップとして金貨二枚は取っておいて貰おう。
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店を出て、少し王都をブラブラしようかと思っていたら、ある人物に出くわした。
「ユート殿ではないか。王都に戻っていたのか」
獣王陛下ではないですか、城下町で何しとんの。
「ご無沙汰しています、獣王陛下。王都の城下でお会いするとは思いませんでした」
「うむうむ。城下へは時折こうして散策に出ておるでな。守るべき民や大地を目に焼き付け、何の為に王として在るのかを忘れぬようにせねばならん」
おぉ、凄いな。これが最前線で戦う王、獣王の貫録か。
「いや、バナード。お前政務が嫌いだから逃げてるだけだろうが」
ベアトリクスさんの言葉に、視線を泳がせる獣王陛下。この王もユルい部分があるらしいな。
「それにしてもユート殿、どうしたのだその装いは。随分とボロボロだが、ドラゴンとでも戦ったか」
まさか、本当に戦ったとか思ってないんだろうな。
「ははは、似たようなものですかね。中々の強敵でしたよ」
後ろの! 三人の! 視線が痛い!!
「ユート殿に強敵と言わしめるとは、相当な敵だったのだろうな。何にせよ、服を新調してはどうだ? 羊人族が営む服飾店があってな、質の良い服を取り扱っているのだ。すぐそこなのだがな」
獣王陛下が指を差す先に、確かに羊人族の服飾店があるな。
「それとユート殿、ここで会えたのも縁であろう。今夜、王宮に来ては貰えぬか? 話したい事があるのだ」
急に声のトーンを落とし、獣王陛下はそんな事を言って来た。何だろう?
まぁ、陛下からの要請だし、ここは応えておくべきだろう。
「解りました、日が暮れる頃に王宮へ伺わせて頂きます」
「うむ、すまないが頼む。では、余は王宮へ戻るとしよう……そろそろ、宰相が怒り狂う直前だろう」
やっぱサボリの常習犯か!!
……
獣王陛下と別れた後で、僕達は服飾店を訪れてみた。
店内には色々な服が置いてあるが、なんというか……貴族向けの服っぽいのが多いな。豪勢な飾りが付けられている物が多いのだ。
「冒険者向けの物などは扱っていますか?」
「お取り扱いはしておりますが、数は少なくなっておりますね」
そりゃそうだ、主に貴族向けの店だろうからな。
冒険者向けの服を見てみると、チュニックやズボン、キュロット等が陳列されている。
「全員、上下二着ずつくらい買っておく?」
「あの、ユート様? この店の商品は全て新品ですよね? 奴隷には中古の服を着せるのが普通なのですが……」
基本的に服は、貴族等のお金を持っている人達が新品を買う。それを数回着て、中古品として売る。
庶民がそれを買う。クタクタになるまで着て、また売る。
それを奴隷の主人や奴隷商人などが購入し、奴隷に着せるのだと言う。
「アイリ、君は獣王陛下から叙勲を受ける活躍をしたんだ。そんな君がみすぼらしい服を着ていたら、僕や獣王陛下の立場的にまずいんだよ」
「なるほど、確かに仰る通りかもしれません……」
「それでユーちゃん、本音は?」
「アイリだけ、みすぼらしい服を着させるとかないわー」
「ですよねー」
「仲間ですものねー」
「よろしいのでしょうか……」
よろしくてよ。
しかし、あまり目ぼしい(面白そうな)品は無いな。まぁ、チュニックやズボンの予備は買っておこう。
「失礼します、お客様。先程、獣王陛下から叙勲を受けたと仰っていらっしゃいましたが……もしや、救国の英雄と名高いユート様でいらっしゃいますか?」
「……過分な称号に未だに慣れないので、仰々しく呼ばないで貰えたらありがたい、ユートですが」
「左様でございましたか! もしかして、とは思ったのです! それで、ユート様。もしよろしければ、当店では仕立ても行っておりますが如何でしょう?」
仕立て……服を作るのか。ふむ、ちょっと心惹かれるものがある。
「成程、ちょっと相談に乗って頂けますか?」
「喜んで!!」
結局、一人二着の服を仕立てて貰い、更に既製品を上下二着ずつ購入。
店に入ってから、ここまでの所要時間は四時間ほど。
成程、女性の買い物はやはり長い。それでも文句を言わないで付き合うのが、男の甲斐性だと思うの。
「五日後には仕立てが終わるそうですし、楽しみですね」
「ユート君のアドバイスのお陰で、素晴らしい服になると思います」
「ユート様、服飾関係の知識も豊富なのですね」
そう、仕立てる際に店主と色々話して、ゲームで出てくる冒険者のような服装を考案してみたのだ。
すると、店主大ハッスル。喜んで試作を引き受けてくれた。
後、売れたらアイディア料を支払うとまで言われたが、獲らぬ狸の何とやら。もし売れたら、その時は相談する事にした。
「だいぶ昔にね」
その言葉に、アリスとアイリは”前世の記憶“の事に思い至ったらしく、納得した表情だった。秘密を明かしたお陰で、こういう時は説明が省けて楽になった気がするよ。
さて、夕陽も沈みかけている時間帯だ。獣王陛下の要請に従い、王宮へ向かおう。
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王宮へ行くと門兵に誰何されたが、名前を告げてライセンスカードを見せると平謝りされた。
そして、応接室へ通されたのだが、周囲に控える近衛兵や侍女さん達の視線がやたら気になる。何というか、えらい熱が篭った視線を向けられているのだ。
悪感情からでないのが解るから、文句など言えるはずもない。なので、ひたすら視線に耐えている。
『ユーちゃん、大丈夫ですか?』
『あぁ、こんな視線を向けられたこと無いから、どうしていいか解らないよ』
『ユート様はミリアン獣王国の英雄ですからね、その英雄を目の当たりにすれば、こうなるのは致し方ないかと』
『レオナルド様みたいですね』
僕が英雄? そんな大層なものじゃないんだけどなぁ……。
念話で暫く時間を潰していると、一人の侍女さんが入室して恭しく頭を下げた。
「ユート様、キリエ様、アリス様、アイリ様。大変お待たせ致しました、陛下の準備も整いましたのでご案内させて頂きます」
やっと視線から解放される!
「よろしくお願いします」
立ち上がって頭を下げると、周りの視線の熱量が上がった気がする。何なのか。
……
侍女さんに案内されたのは謁見の間だ。
「よくぞ来てくれた、ユート殿」
「獣王陛下、この度は拝謁の栄誉を賜り……」
「よいよい、そんな堅苦しい挨拶は抜きだ」
い、いいの?
「知らぬ仲ではあるまい、仰々しい態度は必要ないだろう。さて、今回来てもらった理由なのだが……」
獣王陛下の言葉に、周囲に控える国の幹部や近衛兵士達の緊張が高まる。
「ミリアン獣王国は、人間族との関係改善を進める事を決定した」
……おぉ。
人間族と獣人族は、長い歴史の中でいがみ合ってきた種族だ。その関係を改善するとなると、反発もあるのではないか。見れば、苦虫を噛み潰したような顔の獣人もいる。
それでも、獣王陛下は人間族との関係改善を打ち出したのか。
「無論、全ての人間族とすぐに分かり合えるとは思っておらぬ。獣人の中にも人間族を嫌悪する者達がいる事も解っておる。しかし、お主達を見て考えを少し改めたのだ」
僕達? 何で僕達?
「アイリよ、旅は楽しいか?」
「は、はい! ユート様達がとても良くして下さるので!」
突然話を振られてテンパるアイリが、普段の落ち着きはどこに行ったのかというくらいに慌ててそんな事を言う。
それに、獣王陛下は楽しそうに笑った。
「ハハハ! そうかそうか! 獣人が人間の奴隷として旅に同行して、それでも尚楽しいと申すか!」
あっ、そういえばアイリって奴隷だったんだっけ。
「ユート様、考えている事が顔に出ていますからね? 私、ユート様の奴隷ですからね?」
「奴隷じゃなくて仲間のつもりだから、忘れてたわ」
僕達のそんなやりとりに、今度は周囲の獣人から笑い声が起きる。陛下の御前である以上は大笑いなど出来ないから、何とか押し殺そうと必死で。
笑っちゃえよYOU。大丈夫だよ、陛下だって大爆笑なんだから。
ちなみに一部の獣人はこちらを忌々しげに睨んでいるので、顔と名前をチェックしておく。何かちょっかいをかけてくるかもしれないからね。
「して、ユート殿。獣王国はまず最初に、隣国との関係改善を図りたいと考えているのだ」
隣国。海と橋を間に挟んだ、お隣さん。
「そう、イングヴァルト王国だ。確か、アリス殿はイングヴァルト王国の公爵家の令嬢であったな?」
「はい、獣王陛下。改めまして、アークヴァルド公爵家が長女、アリシア・クラウディア・アークヴァルドにございます」
立ち上がって、完璧なカーテシーで挨拶をするアリス。
その姿に、獣人達が色めき立つ。
曰く、公爵令嬢がなぜ冒険者に?
曰く、人間族の貴族が王宮に来るなど。
曰く、公爵令嬢を侍らすとは流石は英雄。
最後のおかしくね?
「ユート殿に頼みたいのは、イングヴァルト王への橋渡し役だ。公爵令嬢を連れているならば可能ではないかと思い、相談したかったのだ」
「あ、それは大丈夫です。それでは、会談をなさるという事でよろしいですか?」
「うむ、日程や場所についてはイングヴァルト王の了承が得られ次第、協議したいと思う」
ふむ、それなら構わないだろう。
「解りました、それでは少しお待ち下さい」
「……む?」
訝しげな視線を向ける獣王陛下達だが、こういうのは早い方がいいからね。
とりあえず、念話送信の信号を送る。普通に呼び掛ける事も出来るが、相手は一国の王だ。政務中や謁見中だと悪いから、まずは合図からだ。
『やぁ、ユート君か! どうしたんだい、珍しい』
『こんばんは、叔父さん。ちょっと話したい事があってね』
念話でアンドレイ叔父さんに、事の次第を話す。
『ふむ……成程、話は解った。ユート君、獣王は信頼に値する人物かい?』
『高潔な武人なんて呼ばれてる理由がよく分かるよ。僕の主観だけど、信じていいと思う』
『よかろう、ならば獣王に会おうではないか』
よし、アポが取れた。
「イングヴァルト国王陛下が、会談に応じるそうです」
「……えっ?」




