表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刻印の付与魔導師(エンチャンター)  作者: 大和・J・カナタ
第2章 ミリアン獣王国
34/327

02-13 幕間/ガールズトーク

※今回はオマケ的なお話なので短くなっております。

 それは、ユート達がミリアン獣王国を旅するある日の事。


「はい、消音の遺失魔道具アーティファクトも起動できましたね。それでは、第一回女性陣会議を始めたいと思います」

「「わー!!」」パチパチパチパチ

 快適安全空間セーフゾーンの中で、輪になって顔を突き合わせるキリエ・アリス・アイリ。ユートはシャワーを浴びている最中だ。


「議題としては、お互いの目標をまず知っておくべきでしょう」

「目標…ですか」

「はい。では言い出しっぺの私からいきましょう」

 そう言って、キリエは瞳を閉じる。


「まぁ、多分女性なら誰でも心に抱く願望ですね。私の目標はユーちゃんと添い遂げる事です」

「「そ、そいっ!?」」

「はい。私達は血が繋がっていないので、問題はありません」

「義姉…これは手強いカードです!」

「ア、アリス様?」


 当初は守護天使として、ユートを側で守ろうと思っていた。しかし、ユートとの生活が心境の変化を齎したのだ。

 キリエを姉と慕うユート、モノ作りに夢中になるユート、戦闘時は不敵になるユート。単に惚れた、キュンときたのである。


 天使なんて、人間との間に子供を作るとか普通によく聞く。じゃあ自分もユートの妻になって、子を設け、ユートが天命を全うするまで天使は休業しようと決定した。

 ……創世神の心境や如何に。


「アリス様はいかがなのでしょうか?」

「わっ、私ですか!?私は、そのですね…」

 もじもじとするアリスを、他の二人は微笑ましく見ている。

「ユ、ユート君の、お嫁さんに…なる事です」

「「ですよねー」」

 意を決した告白を、あっさり肯定されてアリス唖然。

「いえ、普通好きでもない異性に着いていくために、五年間もの間魔導師の修行をしたり、銅級冒険者になったりしませんよ」

「それも、公爵令嬢が……です」

「うっ…そ、それは〜…」


 そもそもアリスは一人娘なので、公爵達はそれはもう引き止めた。しかしアリスの熱意に負け、旅を許可せざるを得なかったのだ。恋する乙女は強いのである。

 現在、アークヴァルド公爵家では、「アリスがユートを婿に連れてきてくれたらいいな」と思いつつ、男の子の誕生を願って夜の運動会が頻繁に行われているそうな。


「さて、アイリさんはどうですか?」

「奴隷の分を弁えず、添い遂げようだなんて思っていません。お側に置いて頂いて…その内、その…お情けを頂けりぇば」

 噛んだ。冷静に話そうと努力していたが、内容が内容だったので噛んだ。

「ユート君は、アイリさんを奴隷と見てませんよ」

「私達と同じ、旅の仲間としか思っていませんね。その内、言わないと奴隷という事を忘れかねません」

 というのも、食事は自分達と同じ物、食べるのも一緒に。寝床はキリエとアリスのゴリ押しの結果、四人で一つのベッド。シャワーはユートが泣いて土下座したので、キリエ・アリスと一緒。


「あれっ、奴隷って何でしたっけ!?」

「もう奴隷契約解除してもいいんじゃないですかね」

 無論、そうはいかない。世界各国を巡る旅、獣人族は差別を受ける地域が多く存在する。

 その際、「ユートの奴隷」という身分を利用すれば、他者からのちょっかいや迫害を避けやすい。アイリの身を守るためにも、奴隷身分は必要なのである。


「結論、私達の目的は全員一致でユーちゃんのお嫁さんですね」

「…そ、それは、その…!」

「わ、私はそんな畏れ多い…」

「さて、そうなると一つ越えなければならないハードルがあります」

「「流された!!」」

 ユートの姉としての生活が、キリエのスルースキルを高みに引き上げているのである。


「ユーちゃん、一夫一妻制だと思ってるんじゃないでしょうか?」

 ……アリスとアイリが、静止した。

「え?」

「そう……なのですか?」

「はい。お父様とお母様、イングヴァルト国王夫妻、アークヴァルド公爵夫妻、ミリアン獣王夫妻…これまで出会った人達に、複数の奥さんがいませんでしたから」


 この世界、一夫多妻である。神様の教えの中に、「産めよ、増やせよ」というものがあるのだ。

 国によっては一夫一妻制の国もあるが、大半の国が一夫多妻である。その為、王族は言わずもがな、貴族や裕福な商人も、普通に妻が複数人いる。


「その辺りを認識させてからが勝負ですね」

「ユ、ユート君のお嫁さんに、三人で!」

「わっ私もよろしいのでしょうか!?」

 三人寄らばかしましい。女性陣の結束力が上がった。


 その頃のユート。

「…シャワー終わっても外で待っててって言ってたけど…まだかかるのかな?何話してるんだろ」

 テント前で待機していた。結局、ユートがテントに入れたのはその数時間後だった。

次回の投稿より、第3章となります。

楽しみにして頂けたら、幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ