02-12 幕間/とある兵士の話
※今回はオマケ的なお話なので短くなっております。
おう、アンタら人間族かい。ここは大橋の終点、ミリアン獣王国の検問だ。
身分証を出してくれ……へぇ、銅級の冒険者か。
あん? いや、別に?
泣いてねーし? 全然泣いていねーし!?
いや、悪いな。以前な、ここを通った銅級の冒険者に、こっぴどくやられちまってなぁ。
獣人族の奴隷を連れ三人の人間族でよ。隊長なんか、一度は股間のモノをズタボロにされてよぉ。すぐに回復して貰ったんだけどな。
あ? その話を詳しく?
いやな、隊長は人間嫌いでよ。理由をつけては、人間族を追い返すんだよ。
そんな事すると、イングヴァルトの方から苦情が来るんだけどなぁ……。
でだ、ソイツにも同じように難癖つけて、追い返そうとしたんだよ。
そしたら、ソイツが……隊長の股間にな、ドぎつい攻撃を、それは何度もよ……隊長、ビクンビクン痙攣してたよ。俺等の股間もキュッとなっちまった。
まぁ、ソイツに通行の許可を出したら、回復してくれたんだけどな。
しかしなぁ、それで終わりじゃなかったんだよ。
実は最近、獣王国に悪魔族ってのが攻め込んで来てな。王都を襲った悪魔族は、ソイツとその仲間達……それに獣王陛下とブリック殿下、そして拳聖様が撃退したんだ。
でもよ、悪魔族はこの大橋に向かって逃げて来やがったんだ。
でも、鉄の馬車みたいな変なモンに乗ってやって来やがったんだ。そうだよ、あの男だ。それも、後ろにブリック殿下を乗っけてな。
あれは、戦いなんて呼べないもんだったよ。地面が勝手に爆発して、悪魔族は数分でズタボロさ。
何か鎖みたいなので拘束された悪魔族に、アイツは何度も銃弾をぶっぱなしていたんだ。
それが、狂ったような笑いだったり、怒りの形相だったらまだ解るんだけどよぉ……淡々と、必要だからやってます、って顔だったんだよ。
メチャクチャ怖かったよ、俺なんかすぐに家に帰って、布団に包まって震えていたかったくらいだ。
その後な、乗って来たモンに悪魔族を繋いで、引き摺って王都に戻っていったよ。市中引き摺り回しの刑だな。
容赦がねぇ、アイツに逆らっちゃいけねぇんだ。
後で獣王陛下が、アイツらを救国の英雄って発表してたんだけどな。
ありゃ多分、自分が気に食わないから悪魔族をボコっただけだと思うぜ。
あ? 兄貴?
姐さんだ? 紺色の髪の?
あぁ、もしかしてお前ら……おい!? まさかお前ら、アイツらの知り合いか!?
と、通ってくれ、今すぐ! あっ、俺があの人達の事を言いふらしたって言わないで下さい! お願いします!
ちょっ、聞いてる!? まっ、おい!? おーい!!
頼むから内緒にしておいてくれえぇっ!!




