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刻印の付与魔導師(エンチャンター)  作者: 大和・J・カナタ
終章

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23-19 終幕/新時代へ

これまでのあらすじ:幸せな日々を駆け抜けたユート達。そして、ついに約束の時が訪れる。

 ――様々な出来事があった。

 楽しい時間、悲しい時間。平和な日々、ちょっとしたトラブル。子供達が産まれたり、知り合いが亡くなったり……。

 そんな日々はあっという間に過ぎていき、数十年の時が流れた。


 ベッドに横たわるのは、一人の老人だ。

 息子に王位を譲った、建国王。その名を、ユート・アーカディア・アヴァロンという。

「あぁ……この時が来たか……」

 力無い言葉に、彼の周りを囲む者達の顔が歪む。

 彼の命の灯火が消えるその時が、目前に迫っている事を否応なしに思い知らされる。


「良い人生だった……お前達のおかげだ……」


 最期に一度、穏やかに微笑み……そして、アヴァロン王国初代国王は息を引き取った。

「父さん!!」

「おじーちゃん!!」

「ユート!!」

「ユート殿……!!」

 子供や孫、臣下や友好国の者達の呼び掛けにも、彼はもう応じる事は出来ない。


 そんな中、彼の身体から光の塊が飛び出した。


『これまでありがとう。この先の事、任せたよ』


 若々しい頃の彼の声が、その場にいる者の脳裏に響く。

 そして、光の塊は空へと舞い上がり……天空の島から旅立っていった。


「父さん……!!」


************************************************************


「という演出はどうかな?」

 僕のプランに対し、仲間達が眉を顰める。

「そもそも全盛期から、歳を取らなくなった兄さんが何故いきなり老人に……」

「ユート……キリト君にぶっ飛ばされるよ……」

「そもそも、ユートさんはまだ四十代じゃん。お爺ちゃんには程遠いでしょ」

「ユート様が創造の神として、創世神様の御元に行かれるのは世界中知っておりますし……」

「ユート君、過剰演出は場が白けるかもしれないよ?」

「普通に行くのではダメなのか、ユート?」

 総ツッコミを喰らった。


 さてさて……今この場に集まっているのは、アヴァロン王国建国から数年の間、この国を支えてくれた面々だ。

 王都アーカディアを管理し、宰相として奮闘してくれた弟……セイヤ・アーカディア・カミヤ公爵。

 西地区、サクライ領を発展させてきたユウキ・サクライ侯爵。

 同じく南、ムラーノ領の領主フリードリヒ・ムラーノ侯爵。

 東、ブライトン領を束ねて来たグレン・ブライトン侯爵。

 北のカブラギ領を管理して来た、マサヨシ・カブラギ伯爵。

 そして、エメアリア魔法国女王とアーカディア家の懐刀タイシ・ヴァン・タナカ伯爵。


 最も彼等の肩書きには、”先代”が付く……僕と同じくね。

 そう、僕が王位を譲った五年前……その時、彼等も自分の席を子供達に譲ったのだ。アヴァロン王国は新体制となり、若い力によって発展しようとしている。


「今までの慌ただしさが嘘みたいだな。こんなにのんびりしたのは孤島を出て初めてかも」

「ユートは、常にトラブルや事件の渦中にいたからね」

「誰がトラブルメーカーか」

 ……おい、誰か否定してよ。


「それで? もう行くのか?」

 マサヨシの言葉に、僕は頷く。

「王位をキリトに譲って五年、あいつも今や立派なアヴァロン王だ。僕が手や口を出すべき事は、もう無いだろう」

 キリトを始めとする子供達は、それぞれが立派に活躍している。


 僕とキリエの息子・キリトは二代目アヴァロン王国国王となった。この国と世界同盟の舵取り役として、友好国からも高い信頼を得ている。

 次男エージはアヴァロン王国軍団長として、キリトの脇を固めている。副団長は三男のクロトだ。

 そしてプリシアから王位を引き継いだのは、四男ハヤト・アーカディア・エメアリアである。


 娘達も、それぞれ既に嫁いでいった。娘を嫁に出すのは、内心は寂しい……が、相手は親友や仲間達の息子だからなぁ。幼い頃から親交のある子達で、僕にも懐いてくれていた。

 なので僕にとっても甥のような感じで、娘を任せるに相応しい子達だ。アレックス叔父さんの気持ちが良く分かったよ。


「やり残した事も、もう無いと思うしね。あっても適当に過去に転移して片付ける」

「メチャクチャだよね、相変わらず」

「もう諦めたよ……ユートなら、その力を悪用しないって信じてる。第一、言っても止めないし」

 よくご存知で。

「そうだな、後は……」

 最後まで、僕らしくいこうか。


************************************************************


 王都アーカディアの中にある、兵士達の訓練に使われる施設。そこには観覧者が座れる席があり、試合会場としても使用されている。

 観覧席にはアヴァロン王国の国民達……そして、世界同盟加盟国の面々の姿。

 そして僕の愛妻達に、子供達……更にその子供、僕の孫の姿も見える。また父さんと母さん……妹の“ミライ”も、訓練場の中央に立つ僕達を見守っていた。


 そう……訓練場の中央で、僕達は向かい合って立つ。

 ——僕、初代アヴァロン王であるユート・アーカディア・アヴァロン。

 ——そして二代目アヴァロン王……息子のキリト・アーカディア・アヴァロンだ。

「泣いても笑ってもこれで最後だ、キリト。いっちょ、やろうか」

「最後、か。そうだね……」

 互いが持つのは、愛用の武器。双銃剣バハムートを構える僕に対して、キリトは聖金オリハルコン製の直剣を両手に持つ。

 これは、キリトが自ら鍛えた愛用の剣であり……二代目”刻印の付与魔導師エンチャンター”が様々な付与を施した逸品である。


 キリトは、僕の遺失魔道具アーティファクトの秘密に自力で辿り着いたのだ。幼い頃の僕のように、試行錯誤して完成させた刻印付与魔法を駆使する戦闘付与魔導師である。


「いつまでも背中を追い掛けるつもりはない……”俺”は父さんを越える」

「いい気迫だ。流石、”俺”達の息子」


 試合開始の合図などという、無粋なモノは要らない。俺達は同時に駆け出し、剣を合わせる。

「行くぞ、父さん!!」

「あぁ、とことんまでやるか!!」

 振るわれる直剣……その切れ味の鋭さは僕もよく知っている。いかに双銃剣でも、まともに打ち合ったら破壊されかねない。ならば、刃ではなく剣の腹に向かってこちらの刃を当てる。

 しかし、キリトも同じ事を考えていたらしい。互いの剣がぶつかり合い、火花を散らす。


 加減も、出し惜しみも無しだ。

増幅ブースト!!」

 俺の増幅ブーストを見た瞬間、キリトの視線が鋭いものになる。何かする気だな?

 キリトの射程距離に突っ込んだ俺は、その身体に向けて銃剣を突き出す。

「はっ!!」

 キリトの宝物庫ストレージから取り出されたのは、封印の縛鎖グレイプニル。それを、銃剣と俺の右腕を絡めとるのに使用した。

 更に、キリトの攻撃は止まらない。

増幅ブースト!!」

 相手の動きを止めた瞬間、増幅ブーストを用いての速攻。戦闘付与魔導師の使う常套手段。故に、読みやすい。


 時の支配者クロノドミネイター、思考加速。

 こいつで、キリトの動きを……。

限界突破オーバードライブ!!」

 はぁっ!? このタイミングで限界突破オーバードライブっ!?

 我が子の無謀かつ悪手。しかし、それは俺の勘違いだとすぐに理解させられる。

 封印の縛鎖グレイプニルを使って、俺の身体を引き寄せるキリト。スペックで勝る俺の体勢を崩すための限界突破オーバードライブか。

 だが、それだけで勝てるほど俺は甘く……。


解呪ディスペル!!」

 甘かったのは、こっちだ。増幅ブースト時の支配者クロノドミネイターを解呪された……対するキリトは、限界突破オーバードライブ継続中。

「貰った……!!」

 詰み……とはいかないさ。


 キリトの剣を、双銃剣で迎え撃つ。

「な……っ!?」

 三倍速の自分の剣を、俺が正確に捌いていく事に驚愕するキリト。付与や遺失魔道具アーティファクト抜きでも、これくらいは出来るさ……キリトの剣ならね。

「お前に剣を教えて来たのは、誰かな?」

 再び、増幅ブーストを発動。限界突破オーバードライブを中断して、増幅ブーストに切り替えたキリトに迫る。


 一合、二合……何度も剣を打ち合わせる。俺とキリトの間で、幾度となく火花が散る。

 神格を持つ俺に対し、キリトは”神性”というものがある。この神性、神格同様に基礎数値✕2を得られるのだ。神化は出来ないけどね。

 故に神化していない状態ならば、俺とキリトの差は基礎数値のみ。

 そして即位するまでの間、キリトは度々武者修行の旅をさせて来た。数々の冒険を経て、キリトは世界でも最高クラスの実力を身につけたのだ。

 ステータスに、大幅な差は無いといって良いだろう。


「はぁっ!!」

「く……っ!!」

 戦況は、俺が押している。だが油断はしない、相手はキリトだ。この子は、子供達の中で最も俺に似た子だろう……外見だけでなく、行動や考え方まで似てしまった。

 だから……。

弾幕結界バレットダンス!!」

 こう来るよな。


 弾幕結界バレットダンス……キリトが編み出した遺失魔道具アーティファクト技能スキルの複合技であり、オリジナル技能だ。

 転移魔法陣を潜り抜けて、多角度から襲い掛かる弾丸の群れ。正に弾幕によって構成される結界と呼ぶべきものだろう。

 ネーミング? 当然、俺ですが何か?


 さて、そんな銃弾の結界だが……俺も負けてはいられないな。

 創造の根源魔法アカシックレコードによる銃弾補給でリロード不要な双銃剣バハムートを駆使し、銃弾を銃弾で撃ち落とす。

「はあぁっ!!」

 銃弾の迎撃で足を止めた俺に、キリトが突っ込んで来る。銃撃と同時に近接攻撃も仕掛ける気か……中々にリスキーな事をする。

「だがその旨を良しとする」

 銃弾に刻印付与を施す。

追尾弾ホーミングバレット……!?」

 そちらが弾幕の結界ならば、こちらは追尾する弾丸だ。キリトには自動リロードを可能とする技能が無いので、手数はこちらが勝る。

「く……っ!!」

 発砲音……しかし、弾丸は目視出来ない。これはもしかして……?

「不可視の弾丸か!!」

 しかし、銃口の向きや角度で狙いは解る……って、これヤバいかな? 目で見えない弾を使った、弾幕結界バレットダンス。これは厄介だ。

「うおおおっ!!」

 更にはキリトが両手の剣を構えて襲い掛かる。うん、中々良く考えられているな。


 ——だが、まだまだだ。


 宝物庫ストレージから取り出した盾を、不可視の腕ゴッドハンドで持ってキリトの転移魔法陣へ飛ばす。金属音が何度も響き渡った。

 弾幕結界バレットダンスの欠点は、転移魔法陣を押さえられたら無力化される点である。キリト自身もそれは解っている……俺の意識が転移魔法陣に向かっている隙に、俺に急接近した。

ッ!!」

 両手の直剣を交互に振るうキリト。更には合間に内蔵された銃機能を駆使して銃撃も織り込んで来る。それらを両手の銃剣で捌きながら、俺は魔法を行使する。

「「雷のサンダー……」」

 同時に、キリトも同じ事を考えていたようだ。

「「……洗礼レイン!!」」

 上から下へではなく、直接相手に向けて真横に走る雷撃。目を灼く雷光、耳を討つ雷鳴。ギャラリーから悲鳴が響き渡った。


 俺達は得物に施した解呪ディスペルの刻印付与を発動し、雷の洗礼サンダーレインを斬って相手に迫る。刃と刃がぶつかり合い、再び火花を散らす。

 そこで音が聞こえた。

 ——ビキッ!!

 互いの刃が、激しい打ち合いに耐え切れず罅が入った。

「おおおぉっ!!」

「はああぁっ!!」

 しかし、共に退くつもりは無い。俺もキリトも、この程度で退く程ヤワじゃない。

 ——バキイィンッ!!

 同時に、両手の得物の刃が砕け散る……瞬間、俺は銃剣から手を放して拳を突き出した。

「オラァッ!!」

 俺のストレートを、砕けた剣の柄で受け止めるキリト。しかし、その勢いまでは殺せずに後方へと大きく押し戻される。そのままキリトはバック宙をして体勢を整え、俺を見据える。

 ……あぁ、良く似ている。

 キリトの眼は、勝利を決して諦めない突き進む男の目だ。それは、俺と実にそっくりだと思う。

「だあぁっ!!」

 放たれた蹴りを、膝で受ける。突き出した拳が、肘で受け止められる。同時に繰り出した頭突きによって、額が割れる。


 互いに一歩も引かない殴り合い。全力を尽くしての攻防。

 同時に突き出した拳がぶつかり合って、お互いが一瞬硬直した瞬間……。

「はあぁっ!!」

「でやぁっ!!」

 互いの拳が、その顎を捉えた。


************************************************************


 気が付くと、僕はキリエの膝の上だった。

「……げ、まさか敗けた?」

 最後の最後まで、勝って終わろうと思ったんだが……。

 そんな僕の言葉に、キリエが苦笑した。

「相打ちですよ。もう、本当にそっくりなんですから……」

 視線を向けると、キリトもこちらに視線を向けていた。キリトに膝を貸しているのは、誠也とシルビアの娘のホリィ・フォルトゥナ・カミヤ……新たなアヴァロン王の第一王妃だ。


 互いに立ち上がり、苦笑し合う。

「父さん、顔めっちゃボコボコだよ」

「人の事言える顔か、お前。お互い様だ」

 身に纏ったコートも、得物も、手足も顔もボロボロの有様。しかし……それが、何故か誇らしい。

「親父越え失敗、残念だったな」

「父さんこそ、勝ち逃げ出来なくて残念だったね」

 キリトは僕を越えられず、僕はキリトに勝ち逃げ出来なかった。

 しかし……僕と相打ちにまで持ち込んだキリトは嬉しそうであり、僕もまた相打ちに持ち込んだキリトの成長を喜んでいた。


「……往くんだね?」

「あぁ。僕と互角のお前が居るなら、安心して往ける」

 僕とキリトの会話に、愛する十二人の妻達が歩み寄って来た。

 この世界をキリト達に任せて、僕達は創世神様の下へ向かう……そして、今後は神として遍く世界を管理するその手伝いをするのだ。

「父さん……ありがとう」


 僕達の様子に気付いた我が子達……そして臣下や親友、友好国の王達が集まって来た。その表情は、どことなく寂しそうに見える。

「ユート……」

「そんな顔するなよ、アルファ。またいつかどこかで会えるさ」

 根拠は無いけどね。

「お父様、お母様方……どうか、御達者で……」

 リーフを始めとする子供達も、口々に声をかけてくれる。こらこら、同時に言われても僕は聖徳太子じゃないんだぞ?

「また、会えるんだよね……相棒ユート

「勿論だ、相棒ユウキ。いつかまた会えるさ」

 僕を支えてくれた頼れる仲間達とも、言葉と握手を交わしていく。


 多くの人達に支えられ、ここまで歩んで来た。

 そして多くの人達に見送られて、僕達の新しい戦いが始まる。

 一つの世界の為の戦いから、無数の世界の為の戦いへ。


 ——僕の決意に応えるかのように、アヴァロン王国上空に光を放つ転移魔法陣の様なものが展開された。恐らくは、創世神様が開いた門だろう。


 それを見上げて、僕は集まってくれた大切な人達に向き直る。

「皆、ありがとう。皆のお陰で、良い人生だった」

 心からの感謝の言葉告げて、僕は神化した。人の生を終え、神としての道を往く為に。

「ここから先は、君達の番だ。この世界は任せたからね」

 寂しそうな息子達、涙する娘達に後ろ髪引かれる思いだけど……往かなければならない。

「父さん……!! 必ず、この世界をもっといい世界にしてみせるから……!!」

 キリトの誓いの言葉に、僕は微笑みで応える。この子達ならば、必ずやり遂げてみせてくれるさ。

「あぁ、任せた」

 キリエ達も女神化し、僕に頷いてくれる。子供達との別れは、既に済ませていたのだろう……その表情に、躊躇は無い。

「さぁ、ここからは君達の時代じかんだ!!」

 翼を広げて、ゆっくりと僕達は門へ向けて舞い上がる。


 眼下に広がる天空の島。僕達が作り上げた理想郷。これからは、彼等がここをより良い国にしていってくれるだろう。

 これまで僕達を支えてくれた人達に感謝と別れの言葉を口にして、天空に広がる門を潜り抜けた。


************************************************************


 神界……そう呼ばれる世界に、僕達は訪れていた。

 目の前には、神の威光を放つ創世神様と……そして、多くの神々が立っていた。

「よくぞ来た、ユートよ」

 威厳溢れる創世神様の言葉を受けて、僕達は一斉に跪く。

「ユート・アーカディア・アヴァロン、御前に罷り越しました」

 瞳を閉じて跪く僕の言葉に、創世神様が頷くのが気配で分かる。

「この日を心待ちにしていた。新たなる神の誕生を祝おうではないか……さぁ、面を上げよ」

 御言葉に甘えて顔を上げると、創世神様や神々は朗らかな笑顔を浮かべていた。


「ユートよ。これよりお主には、数々の世界で起こる問題の解決を頼む事になる」

 上級神の主な役割はそれだと聞いていた、望む所である。

「謹んで拝命致します」

「うむ……何か、腹案があるようだが?」

 流石は創世神様だな……見通されていたようだ。

「えぇ……第一の故郷である地球に、面白い文化がありまして」


************************************************************


 それから、どれ程の月日が流れただろうか。

 ここを最初に訪れたのは、やはり彼だった。

「ここ……は……?」

 ユウキ・サクライ。僕の親友にして相棒だ。

「よっ、待ってたよユウキ」

 声をかけると、驚きの表情でこちらを振り返る。

「ユート!? じゃあ、ここは創世神様の世界なの!?」

「んにゃ、僕が生み出した……まぁ、神域みたいなものだよ」

 まんま神域という訳では無いんだけどね。


「それにしても、最初がユウキとは。マサヨシあたりが最初にポックリ逝くと思っていたよ。おぉユウキ、死んでしまうとは情けない」

「失礼な事言わないでくれるかな、これでも大往生だったんだからね? ……あれ、何で二十歳くらいの頃の姿なんだ?」

 そう、ユウキは現在二十代の頃……つまり、全盛期の姿なのだ。

「時間の根源魔法アカシックレコードで、ちょちょいっと」

「相変わらず、無茶苦茶するね……」

 呆れた表情をしつつも、ユウキが心の底ではこうしたやりとりを楽しんでいる事を僕は知っている。なので、いつも通りゆる~く答えよう。

「頼みたい仕事があるんだ、なのでここに招かせて貰った」


 無数の世界で起こる、神が対処しなければならない案件は多い。意外と多いのだ。聞いた所によると、上級神の手も足りない程に大小様々な事件が起こる。

 なので、僕は考えた。神に至らずとも、神の下でそういった事態に対して対処できる者が居ればいい。

「という事で、僕と契約してサー〇ァントになってよ」

「ネタが混ざっている上に、それで契約する奴が居ると思う? あと、ここへ来てド直球のパクリネタを出して来たね」

「日本のアニメ文化は、本当に良いモノだと思わないかい?」

「盛大に流した!?」


 そこへ、僕の奥さん達がやって来た。

「あら、ユウキさん」

「第一号はユウキなのね」

「これは、マナ達もすぐに来そうな気がしますね……」

 僕の奥さん達を見て、ユウキが一つ息を吐く。

「ご無沙汰、皆さん元気そうで何よりです」

「ええ、ユウキさんも……やっぱり、若返らせたんですね?」

 苦笑する面々に、ユウキは懐かしそうな表情だ。


「つまりここに英雄達を集めて、世界の問題を解決させると……本気で有名作品のパクリに走った訳だ……」

「失礼な、インスパイアだよ。実際、効率的かつ実用的なアイディアでしょ? 他の仲間達や、子供や孫が来るのが楽しみで仕方ない」

「絶対にそれが目的だよね!?」

 ははは、当然だ。

「まぁ……でも、それも良いかもね。解った、手伝うよ」

 やはり、そう言ってくれると思ったよ。

「そうこなくっちゃ! さて、それじゃあここの案内をしようか!」


 愛する奥さん達と、最高の相棒がここに居る。仲間達や親友・子供や孫達も、その内ここに来るはずだ。

 そうしたら、また賑やかな時間が幕を開けるだろう。


 ――さぁ、新たな旅の時間だ。

皆様、いつもご閲覧頂きましてありがとうございます。大和・J・カナタです。

最後の最後までもが、いつも通りのユート達。いかがでしたでしょうか?

これにて、ユートとその仲間達の物語は終幕となります。


とはいえ、書きたいネタがありますのでアフターストーリーをやっていくつもりです。

具体的には外伝・フリード編とか。グレンやマサヨシも活躍させたいなぁ、とか。

他にも子供達との触れ合いとか、アルファ達の新婚生活とか、誠也とシルビアの恋模様とか、もう書きたいネタがたんまりあります。

尚、新作は五月くらいから投稿を開始出来たらと思っています。


最後になりましたが、一年と少しの期間ではございますが、拙作「刻印の付与魔導師エンチャンター」を応援して下さった皆様方に、心より御礼申し上げます。

アフターや新作でまたお会いしましょう!

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