17-13 逃走/所属先
これまでのあらすじ:悪魔族ズールと同化したバルムンドを追跡してます。
ギルス帝国の兵士は、大半がエメアリア王都前にいる。その為、残った兵士達は大して練度も高くない連中ばかりだった。
手足の腱を切られた兵士達が、通路に転がっている。やったのはタイシだ。
「はぁ、見せ場無しだねこりゃ。おたくの連中は無双ゲーしてたのに」
「まぁ、僕との戦闘は十分見せ場だろ」
「いや、負けたじゃん」
不貞腐れてしまった。
「タイシ、タイシ。強かったよ?」
「慰めんなよ、虚しくなるよ……」
さて、バルムンドの研究室は目前……なのだが。生ける屍が十数体、襲いかかって来た。
「味方を平然と殺して利用するとは……碌でもないですね」
「ロクデナシなのは最初から解ってたでしょ、えーと……キリエさん?」
「ええ、そう呼んで下さい。確かに徹頭徹尾、ロクデナシでしたね」
話しながら、サクサクと生ける屍の手足を斬り落としていくタイシ。
キリエは僕の治療だ。献身的な治療のお陰で、僕の傷はもう半分くらい塞がってきている。
「いつも済まないねぇ」
「そいつは言わない約束でしょ、おとっつぁん」
「仲良いなあんたら!」
僕達の寸劇にタイシがツッコみながら、バルムンドを追い詰めるべく先を急ぐ。
……
襲い来る生ける屍を処分しつつ王城を駆け抜ける僕達は、いよいよバルムンドの研究室へ踏み込む。
扉が開いた音に、バルムンドが振り返って目を見開く。
「き、貴様ら……!!」
慌てて私物を収納鞄に詰め込んでいたようだ。つまり、夜逃げの準備である。今、まだ夕方だけど。
「年貢の納め時だよ、元ボス?」
刀と銃を構えるタイシに、バルムンドが歯噛みする。
その横で、一人の少女が冷たい視線でタイシを睨む。真実の目によると、彼女は第五皇女ルシアンナ・グローリア・ギルスらしい。
「勇者タイシ! バルムンド様を裏切るとは……!」
「裏切られるような扱いをしたバルムンドが悪いんだよ。禁忌誓約さえ無ければ、もっと早くこうしたかったね」
ルシアンナの叱責を柳に風とばかりに受け流し、タイシはバルムンドを睨む。
「あんたこそ良いのか? そいつはギルスを裏切った上に、悪魔族と同化しているんだけど」
「遺失魔道具を作るという偉業を達成したバルムンド様です、考えあっての事でしょう。私は妻として、バルムンド様に付き従うのみです」
その言葉は本心から来ているらしい。いやいや、それ思考停止でしょ。
すると、タイシが首を横に振った。
「ギルスの女性は大体こんなだよ。自分の意思をしっかりと口に出来る、レインベル皇女みたいな人が珍しいんだ」
あー、成程。政略結婚とかの道具として皇帝は見ていそうだし、上位者に反抗するような教育はしないだろうな。
その結果がこれだよ! 最も、それなら皇帝の方が上位者だと思うんだけど……旦那は別格なのかな?
「で、奥さんと高飛びか? 逃げられると思っているならおめでたい頭だな」
「ユート・アーカディア・アヴァロン……!! ふん、女に支えられて立っている男が、偉そうに……!!」
「その原因を作ってくれたクソ野郎に、お仕置きしないといけないからさ」
キリエや他の三人のお陰で、大分傷は塞がった。激しく動くと傷は開きそうだが、激しく動かなければ構わないだろう。
「……最優先の遺失魔道具はもう収め終えた、他の作は諦めるしかないか……」
「逃がすかよ!!」
銃を構えて撃つタイシ。しかし、バルムンドはそれを障壁で受け止める。
「そこまで力を付けてやった恩を、仇で返すか!」
「受けたちょっとの恩よりも、受けた害の方が上回ってるんでね!」
バルムンドへの銃撃が、激しさを増す。
「ちぃ……っ! ルシア、そこの遺失魔道具に魔力を流して起動するのだ、この場は退く!」
「はい!」
逃がすものか。不可視の手を発動し、宝物庫から取り出した銃をバルムンドに向ける。
「視えているぞ、アヴァロンの王!」
バルムンドは右腕を振るい、衝撃波を発生させて銃を吹き飛ばす。
視えている……? ならば、これはどうだ。
不可視の手で直接二人を拘束しようとするが、バルムンドの視線は不可視の手を向いている。実際に見えているらしい。
バルムンドの展開した障壁で、不可視の手は止められてしまった。
「成程、悪魔族と同化して……魔力を視る目を手に入れたか」
「……チッ、見抜かれたか……!」
解析で詳細を見る。技能欄にある”魔力視”……これか。
「ズールを引き剥がすのが良いか。なら……!!」
「もう、ユーちゃん! まだ傷が塞がっていないんです、ここは勇者タイシに任せて下さい!」
キリエに怒られた。
「魔力を視る目……ね! なら、これはどうよ!!」
タイシが地面にボールを叩き付けると、煙が広がった。煙幕玉……やっぱ、こいつ忍者じゃない?
真実の目を使って様子を伺うと、タイシは瞬動でバルムンド達の頭上に飛び上がり、そのまま天井に張り付いた。絶対にこいつ、忍者だ!!
「小癪な真似を……む、奴は……!?」
バルムンドはタイシを見失い、その姿を探す。その背後に降り立ったタイシが、バルムンドの首元に刀を突き付ける。
「チェックメイトだ、クソ野郎」
「……」
険しい視線でタイシを睨むバルムンドだが、タイシはそれを受け流す。その背後で、ルシアンナ皇女が息を呑む。
「……勇者タイシ、貴様はよく働いてくれたよ」
唐突に、バルムンドがそんな事を口にした。
「私の指示に従い、転移ポイントの設置や素材の調達。あぁ、クロイツを始めとする国に、転移の遺失魔道具を渡したのも貴様だったな」
チラリとこちらを見ながらそんな事を言うバルムンド。
いや、それくらい解ってるよ? バルムンドみたいなヤツが、堂々と他国に行くとかありえないし。タイシを遣いに出したのは自明の理だ。
「アヴァロン王国に害を成そうとしたお前が、アヴァロン王国に擦り寄る様は滑稽だな。厚顔無恥にも程がある」
……時間稼ぎのつもりか。
バルムンドはタイシの動揺を誘うつもりだから、こちらは解って受け入れた事を伝える。
「タイシー、こっちは先刻承知の上だから。さっさと片付けちゃってー?」
その言葉に、タイシの表情が引き締まった。
「罪は罪だ、償うさ……お前の首を手土産にな!」
ルシアンナ皇女が息を呑む。その手にした遺失魔道具は、既に起動していた。
……あ、これマズい。
「タイシ、遺失魔道具を狙え!」
声に出して、己の失態に気付く。膠着状態が崩れた。
「……っ!?」
視線を一瞬、遺失魔道具に向けたタイシ。
「ちぃ!!」
バルムンドはそんなタイシを押し退けようと、肩からタックルする。それに気付いたタイシが刀を振るうが、その刀はバルムンドの首に当たった瞬間に、高い金属音を鳴らしながら欠けた。
「なっ……!?」
そう、バルムンドにダメージを与えられたのはレールガン・ライザーだけだった。レールガンならいけるかもしれないし、振動剣も通じるかもしれない。
だが、タイシはそのどちらもまだ持っていない。
「キリエ!」
「はいっ!」
それを持つキリエに指示を出すと、キリエはガンレイピアに魔力を流してレールガンを発動。
「タイシ・タナカ!」
「あいさー!」
タイシが横に飛ぶと同時に、引かれた引き金。超加速で放たれた弾丸は、バルムンドの障壁で阻まれた。
そして、バルムンドはルシアンナ皇女を連れて転移魔法の遺失魔道具を潜る。
「必ず、復讐してやる……!!」
最後に残された怨嗟の台詞が、研究室内に響いた。
ちっ……取り逃がしちまったか。
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ギルス帝城からエメアリアへ移動すると、生ける屍は掃討し終えていた。
「あれだな、死体の処理に困るから、生ける屍になって灰になったのは結果オーライだな」
「やめてよ王様、血も涙も無い発言だよそれ」
「安心しろ、冗談だよ」
ちなみに、戦後にどう処理するかは決めていた。ギルス帝城に死体を強制転移させるつもりでした。
「……その分だと、バルムンドは逃げやがったか……」
歩いて来るギルス皇帝。メグミのお陰で、足はしっかり再生されたらしい。
「あぁ、おたくの娘と駆け落ちしたよ」
その言葉に、溜息を吐く皇帝。
「さて、それで? 負けは負けだ、煮るなり焼くなり好きにしやがれ」
「負けた方の態度がでかい、どうしよう」
最も、大人しく恭順するなんて思っていなかったけど。
とりあえずは、終戦宣言だろうか。
それじゃあ、プリシアの出番だな。戦乙女を従えて立つプリシアに声をかける。
「プリシアー、戦争を終わらせるぞー?」
「あ、はーい! 今行くー!」
その様子に、タイシが苦笑する。
「戦争を終わらせるのが、飯が出来たって呼ぶのと同じノリなんだけど」
「色々と、特殊なのですね……アヴァロン王国とエメアリア魔法国は」
「アヴァロンは特殊だけど、エメアリアはまだ常識的な国だから。同じにしないであげて」
レインベル皇女と並びながら、タイシが苦笑する。お前、すぐ側に僕が居るのを解って言っているだろう……。
……
プリシアがエメアリア魔法国の女王として、拘束されたギルス皇帝を伴って終戦を宣言した。
あぁ、ギルス皇帝は禁忌誓約を受け入れたよ。そして、ギルス皇帝が帝国兵に向けた言葉が、彼の人となりを表していた。
「いいかぁ! 俺らは負けた! 俺が背負った禁忌誓約は、力が及ばなかったせいで負ったモンだ! その内容に文句があるなら、俺を殺して王位を奪ってから言え! 出来ない奴は、俺に従え!」
うん、立派な暴君だね。しかしまぁ、潔いとは思うよ。
「俺は必ず借りを返す!! その為に泥水を啜ってでも生き残る!! 俺と同じ覚悟がある奴は付いて来い!! その覚悟がなけりゃ、俺の下にはいらねぇ!!」
「ねぇねぇ、暴君ってああいうのだよね?」
「あれは自分至上の暴君で、ユートは身内至上の暴君でしょ」
「アレと同類にすんな!!」
……
さて、それでは……後は、亡命した二人の事だな。
その件については、事前に婚約者達と話し合っていた。視線を向けて来るプリシアに、僕は笑顔で首肯する。
「勇者タイシ・タナカ、皇女レインベル・エルメロイ・ギルス。あなた達二人の亡命についてですが……エメアリア魔法国に亡命する気はありますか?」
プリシアの言葉に、二人は目を丸くする。
次いで、その視線は僕に向かった。
「これは、エメアリア魔法国とギルス帝国の戦争だからね」
「それは……まぁ、確かに」
それに、アヴァロンに勇者が集中し過ぎるのもどうかと思うし。
エメアリアなら、プリシアが治める国である以上、僕の目が届かない場所という訳ではないし。
「タイシ・タナカにはエメアリアの勇者として、レインベル皇女には私の側仕えとしての席を設けようと思っています。宣言した通り、この戦争におけるあなた達の責は一切無いものとします。どうでしょうか」
タイシとレインベル皇女は、顔を見合わせて頷き合う。
「女王陛下の仰せの通りに」
「私も、そのお言葉に従います」
こうしてタイシとレインベル皇女は、エメアリア魔法国へ移籍する事となった。
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【名前】ユート・アーカディア・アヴァロン
【職業/レベル】付与魔導師/107→110
【称号】戦争を収める者(NEW)・エメアリア魔法国の守護者(NEW)
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エメアリア魔法国の王城前広場に集められた王都民達。これから、戦争の終結をプリシアが宣言するのだ。
『愛する我が国の民よ、戦争は終結した。我々エメアリア魔法国の勝利を、ここに宣言する』
その言葉に、王都民達が歓声を上げる。
『戦争に携わった勇敢な戦士達に、女王として心からの感謝を』
盛大な拍手が、王都民達の前に並ぶエメアリア軍に贈られる。
しかし、軍の面々は微妙な表情である。具体的に言うと、「俺ら、最後の生ける屍戦くらいしかしてなくね?」である。
地雷パイセン・タイシとの一騎打ち・冒険者無双だったからね。僕達的にはいつも通りだったけど、エメアリア的には不完全燃焼だろう。
でも、事前に決められた役割を僕達は果たしただけなので、文句を言われる筋合いはない。エメアリアの死者はゼロという、戦争としては最高の結果になったのだから、受け入れて貰おう。
……
終戦宣言を終え、エメアリア魔法国の首脳陣が会議室に集結する。無論、僕もだ。
「まずは、今回の戦争で活躍してくれた皆に、心からの感謝を。誰一人欠ける事無く戦争を終えられたのは、最大の戦果と言っていいでしょう」
満足そうに言うプリシアに、クランベル公爵やエドが首肯する。
「それも、戦争に参戦してくれた冒険者達のお陰でしょうな」
「ええ、彼等の活躍が我々の勝利を呼び込んだのは、確実でしょう」
そんな言葉に、視線が僕へと集中する。皆の視線を独り占め。いつもの事だ、もう慣れた。
「それに、勇者タイシを圧倒したアーカディア卿の実力……感服したよ」
「私もだ、年甲斐も無く興奮してしまってなぁ」
ソルマー侯爵とカラント伯爵も、にこやかにそんな事を言う。
面白くなさそうな表情の貴族達も多いが、流石にあの戦闘を見てしまっては表立って反抗できないと察したようだ。今更感。
「ユート、あなた達の活躍のお陰よ。ありがとう」
満面の笑みを向けて来るプリシアに、下位貴族からの不満の感情が漏れ出て来ている。
まぁ、だから何? って感じだけど。敵対するなら容赦しない、それだけだからね。
「僕はエメアリアの貴族として、戦っただけだよ。それに、出張ったのはタイシ戦と殲滅戦くらいだし。主に頑張ったのは冒険者達だし」
その冒険者の正体は、まぁ知られているけど。
「その勇者タイシだけど、エメアリア魔法国へ亡命する件について。この場でしっかり話をしなければならないと思うんだけど、どう?」
プリシアの言葉に、貴族達は一斉に頷いた。
……
そして始まる会議なのだが……正直、話は難航した。というのも、勇者タイシを誰の下につけるかという問題が出たのだ。
やはり勇者を……それも、僕と戦闘を成立させる勇者を欲する貴族達が、次々と立候補してきたのだ。無論、下位貴族ばかりである。
「女王陛下、私ならば勇者タイシを正しく導く事が出来ると愚行致します」
その自信は何処から来るのよ。
「いえ、勇者は多少なりとも軍務に携わります。ならば、軍務に就いている私こそ適任かと」
勇者は別に兵士じゃないんだけどね?
「勇者タイシはギルス帝国で不当な扱いを受けておりました。ならば、彼の心のケアが必要でしょう。その役目、私にお任せ頂ければと存じます」
言ってる内容と、ギラギラした視線が噛み合ってないよ。
逆に上位に位置する貴族は、涼しい顔をしている。時折、視線を僕に向けて来る。なんでさ。
「アーカディア卿、貴殿はどう思われますかな!」
その視線を察した下位貴族が、立ち上がって僕に強い口調で意見を促す。しかし、僕はこいつらとやり合う気は無い。
「僕はエメアリアの内政に、求められない限り口を出さない決まりだ。僕は女王陛下の判断に従うよ」
その言葉を受けて、下位貴族達が苦虫を噛み潰したような表情になる。
そんな下位貴族達をよそに、プリシアが笑顔で首肯した。考えている事、丸わかりです。
「タイシを引き込んだ功績を加味して、アーカディア卿の預かりにするのが良いでしょうね」
プリシアの言葉に、やっぱりね……という顔をする上位貴族達と、そんな馬鹿な! という顔をする下位貴族達。
「何かおかしいかしら?アーカディア卿はこの戦争で先陣を切って戦い、我が国の勝利に貢献した立役者よ?」
対ギルス帝国の策により、エメアリア魔法国の被害を最低限に抑えた訳で、確かに功績としてはそれなりのものだろうね。最も、アヴァロンの皆に手伝って貰ってこそだけど。
「最も活躍した貢献者に対する褒賞として、勇者の指揮権を与えるのは妥当じゃないかしら?」
この世界において、勇者という存在はとても重要な存在だ。神の遣わした存在な訳だからね。
最も、この世界を運営する神がクソったれなのだが。
「更に言えば、彼自身もヴェルスフィアの勇者であり、四人の勇者を指揮下に置いている……勇者王と呼んでも差し支えない存在よ。これまでの活躍は知っているでしょう?」
やめてー、また変な称号が増えちゃうー!!
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【名前】ユート・アーカディア・アヴァロン
【称号】勇者王(NEW)
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増えた!? どこの男児向けアニメだ!!
『プリシア、滅多な事言うなって! 称号に勇者王なんてのが増えちゃったよ!』
『あ、あら? そんなに簡単に増えちゃうの? ご、ごめんね? でも、格好良いよ?』
卑怯なり、わが嫁。そんなん言われたら、これ以上何も言えないよ。
「私は陛下の意見に賛成します。アーカディア卿なくして、この戦果は無かったでしょうとも」
クランベル公爵の言葉に、エド・ヘルマー侯爵・カラント伯爵・レーガン伯爵が追従した。
「私も女王陛下に賛同致します」
「うむ、アーカディア卿に委ねるのが最も良いでしょうな」
「むしろ、他にその栄誉を賜われる者はいまいて」
「えぇ、アーカディア卿が最も相応しいでしょう」
推してくるな、随分と。まぁ、彼等の感情が信頼や尊敬の色だから、僕の事を認めてくれたんだろう。
善意なので、素直に受け取っておこう。
「ア、アーカディア卿! どうなのだ、辞退するか? それとも固辞するのかね!」
どっちも断るよ。
「女王陛下のご判断に委ねると、申し上げただろう?」
文句があるならプリシアに言えよ、言ったらタダじゃおかないけど。
「それと、レインベル皇女は私の側仕えにするわ。ちょうど、政務を手伝ってくれる人材が欲しかったし」
レインベル皇女を抱き込もうと目論んでいたらしい貴族達もいたようで、落胆の感情が見えた。タイシの恋人なんだから、手を出したら息子さんに実力行使だぞ、お前ら。
こうして、エメアリア魔法国はギルスとの戦争を終結させた。やれやれ……これで少しは平和に過ごせるかね。
第17章の本編はこれで終わり、第18章の前に外伝と幕間の投稿になります。
外伝の主人公は勿論、あの人です。




