16-08 エメアリアの女王/アヴァロンの王
これまでのあらすじ:プリシアが死の呪いをかけられて、シリアスな空気になった…はずだった。
「き、貴様っ!! 何をした!?」
オーギュストは目を見開いて、怒声を上げた。
「え、えーっと……もしかして、私助かりました?」
何が起こったのか、プリシアも目を瞬かせている。
「あぁ、死の宣告を無効化した」
では、説明してあげよう。実は死の宣告は割と穴だらけの魔法だったりする。
一つ、かけた相手とかけられた相手は、死の宣告の効果を感覚で解る。自分が呪った相手と、自分を呪った相手を知覚できるのだ。
そして一つ、呪った相手が死ねば死の宣告は効果を失う。つまり、自分を呪った相手を四日以内に追い掛けて殺せば、呪われても助かるのだ。
ここまでは、オーギュストも理解していただろう。
更に一つ、実は致命的な弱点があるのだ。死の宣告は、自分よりレベルが高い相手には効果を発揮しない。
ぶっちゃけレベル38しかないオーギュストの死の宣告では、僕を殺せなかった。
そして何より、解呪によって簡単に解呪出来てしまう。むしろ、この使い方こそが解呪の本来の使い方である。
僕の解説に、オーギュストもプリシアも力なく項垂れた。
「ば、馬鹿な……」
「ユート……つまり、えーっと……私がやった事って……無意味だった?」
どう足掻いても、オーギュストの死の宣告では僕は死なずに済む。しかし、それは死の宣告だったからだ。
「そんな事はないよ? 他の魔法なら通用した可能性もあった」
可能性はゼロじゃないからね……微レ存でもゼロではないのだ。
ちなみに、解呪で無力化出来ないものとしては自然界の毒物とかかな? 最も、守護の首飾りでどうとでもできます。
「それに、プリシアが僕を想ってしてくれた行動だ。誰にも無意味だなんて言わせない」
「ユート……う、うん」
照れながら俯いてモジモジしだすプリシア。その様子を見て、オーギュストが歯軋りをする。
「あぁ、忘れない内にそっちにも……」
無造作に放り投げた封印の縛鎖が、隙を伺っていたヴィクトリアを拘束した。
「ぐぅっ!? くそっ……こんなものっ!!」
逃れようともがいているが、無駄無駄無駄。自力でそれから逃れたのは悪魔族と、強欲の化身になった勇者だけだ。
「さて、それじゃあお前達がどれだけ策を弄そうと、何一つ得る事は出来ないと思い知らせてやろうか」
そう告げて、門弾を撃つ。そこから現れた者達を見て、オーギュストとヴィクトリア……そしてプリシアは完全に固まった。
まず、僕の婚約者達。これは良いだろう、それくらい予測出来るはずだ。
次に先代女王ジェニー・ヴァン・エメアリア。こちらも良いだろう、先程僕が安全な場所に避難させたと宣言した。
問題は……エドを始めとするプリシアの側近達だ。自分の足で歩き、先代女王に続いて出て来た。
「馬鹿なぁっ!?」
抵抗をやめて動きを止めたオーギュスト。
「あり得ないっ!! 私達が、確かにこの手で殺したはずだっ!!」
逆に、ジタバタ暴れるヴィクトリア。
「あぁ、蘇生させた。やったのはうちの嫁だけどね」
何の為に宝物庫に収納したのか? 時間停止による遺体の保護と、共有化でアヴァロンにいる婚約者達が取り出せるようにだ。念話で最初から一部始終、連絡していたのである。
「そ……せい……だと……?」
「生き返った……? し、死者蘇生だとぉっ!?」
自分達の理解が及ばない事態に、二人は何をしただの何処で知っただのと喚き始める。
「喧しいなぁ、さっさと片付けるか」
そう言って銃を向け、引き金を引く。
——パァンッ!! パァンッ!!
撃ったのは強制転移弾だ。ちなみに行き先はアヴァロン王国の牢屋である。悪い子はしまっちゃおうねー。
************************************************************
オーギュストとヴィクトリアの姿も消え、静寂に包まれる玉座の間。
「それでユーちゃん、これからどうするんですか?」
婚約者を代表して、キリエが尋ねてきた。
「あいつらにプリシアの拉致を命じた奴が、国境沿いに居る。既に”天地見通す星”を向かわせたから、上空に到着した段階で処す」
すると、キリエが首を横に振る。
「そうではなくて、プリシアさんをです」
……あ、そういう意味か。
「え、えっと……どうする、とは? 私、何かしちゃいました……?」
プリシアは自分がアヴァロンに対して、何か不利益でも働いてしまったのかと勘違いしているようだ。
「はい。私達の婚約者を、身を呈してまで守ろうとしてくれましたね。それに、命懸けの告白も」
その台詞に、プリシアの顔が真っ赤に染まる。口をパクパクさせて、何か言おうとしているが、何一つ言葉にはならない。
ごめんプリシア……実は、アヴァロン王国の作戦司令室で僕達の様子は映像・音声付きで筒抜けだったんだよ……。
口をパクパクさせているプリシアに、婚約者達は微笑みかけている。この時点で、この後の展開は読めた。
「プリシアさん。私達と一緒に、ユート君のお嫁さんになりませんか?」
「プリシア様でしたら、私達は歓迎します」
「へぇっ!?」
アリスとアイリの言葉に、プリシアが妙な声を発した。
「な、何を馬鹿な事をっ!?」
「そんな事、出来るはずがないだろうっ!!」
エメアリア魔法国の貴族達が色めきたつが、それを制したのはリインが発した一言だ。
「あら、よろしいのですか? あなた方……自分の身に起こったあれこれをお忘れで?」
貴族連中がその一言で口を噤んだ。それは暗に、「死んだお前達を蘇生させてやったのは誰だと思ってんだ?あぁん?」と言っていた。最近、リインがちょっと黒い気がする……僕以外に対してだから、別に良いけど。
「……プリシア、どうしたい?」
静かな声で告げるクリスに、プリシアは視線を泳がせる。
「……わ、私は……私は、ユートが好きです。でも……私はエメアリア魔法国の女王……国に対して責任が……」
胸元でギュッと握りしめた手が震えている。目が潤んで、今にも涙が零れそうだ。
「女王の座が惜しいのでは無いのです……でも、お祖母様がこれまで守って来たこの国を、大切な故郷を捨てる事は……私には、出来ないのです……ユートの、お嫁さんにはなりたいと思いますが……でも……」
既に涙声になっているプリシア。
僕と添い遂げたいと想ってくれている。だがエメアリア魔法国を捨てて、アヴァロン王国に飛び出す事は出来ない。
でも、そんなに固く考える事は無いと、僕は思う。だから、彼女に僕の考えを告げよう。彼女の想いに応えよう。
「なら、どっちも取ればいいじゃないか」
……静寂。
エメアリア魔法国の面々は、「コイツ、何言ってんの?」という顔だった。プリシアや先代女王まで……解せぬ。逆に、婚約者達は「だよねだよね!」といった表情である。
僕としても、プリシアの想いを受け止めるつもりでいるのだ。女好きと言われようが、タラシと言われようが、ハーレム野郎と言われようが構わない。命を賭けて愛してくれた女を受け入れられなくては、男が廃る。
「そのまま、エメアリア魔法国の女王のままでいれば良いよ。その上で、僕と一緒になれば良いじゃないか」
暴論であり、常識外れなのは重々承知の上だ。
「ユ、ユート? あのね、王同士の婚姻って言うのはね……」
「難しく考え過ぎなんだよ、プリシア。プリシアと僕の子供が魔法国の次期王になればエメアリア王家の血は途絶えないだろ」
アヴァロンの跡継ぎは、他の婚約者との子が継げばいい。
「……え、えっと、でもね? それだと……側に、居られないじゃない……」
「僕を誰だと思っているんだ? エメアリアのプリシアの部屋と、アヴァロンに用意するプリシアの部屋を転移魔法を付与した遺失魔道具で繋げば良いだろう。実際、前例があるし」
「何やってんの!?」
最も、その時はアヴァロンを建国する前で、アーカディア島の屋敷にあったマルクの部屋と、クエスト王国のマルクの工房を繋いでいたのだ。
「それなら、会いたい時にいつでも会えるぞ? 遺失魔道具には使用者制限がかけられるから、使えるのはプリシアだけに出来るし」
「前例の無い事なのよ!?」
「なら、俺達がその前例になるわけだな。喜べプリシア、世界初だぞ」
僕の言葉に、プリシアは目を見開いている。その目に宿る光は、期待……だろう。
「待て! そんな馬鹿な話があるか!」
「女王陛下、そんな戯言に耳を貸してはなりませぬ!」
「アヴァロンはエメアリアを乗っ取る気か!」
「女王陛下! やはりアヴァロン王は信用ならない相手です!」
俄に騒ぎ出したエメアリア貴族達。僕の婚約者達が剣呑な光を目に宿し、何事かを言おうと一歩踏み出しかけた時だった。
「黙りな小僧ども!!」
放たれた怒声。年齢を感じさせない張りのある声が耳に入った瞬間、貴族連中は肩をビクンッ!! と跳ねさせた。
声の主は無論、ジェニー・ヴァン・エメアリアである。先代女王の怒声に、貴族達は口を噤んだ。
「アヴァロン王、先代女王としてはアンタの言葉を否定しなきゃいけない。国を守る為にね」
「ま、そりゃそうだな」
「でも可愛い孫娘の為に、アンタならとも思ってるんだよ、あたしゃね」
だろうよ。散々、プリシアを口説けとか言って来たからね、あなた。今もその感情の色に期待の色が見える。
「だから、条件を飲めば認めてやろうじゃないか。この場でその貴族共を、手を出さずに黙らせられるってんなら、アヴァロン王とエメアリア女王の婚姻を認めるよ」
物理的に黙らせるなよ、という事らしい。ふむ、成程ねぇ。
射殺さんばかりの視線を向けて来る貴族達。同時に、割と穏やかな視線を向けて来るエド。
僕はこの場で、彼等に僕とプリシアの婚姻を認めさせなければならないのだが……。
「とりあえず、僕とプリシアの婚姻を認める気があるヤツば手を挙げろ」
手を挙げたのはエドのみだった。つまり、一番利口だったのはエドだけだという事になるね。
「では、反対の者は挙手を」
エド以外の全員が手を挙げる。やれやれ、あまり酷い事を言いたくないのだけれどね。
「じゃあ今、挙手をした諸君。蘇生の対価に金貨百万枚を今日中に支払うか、反対意見を取り下げるか選べ」
暴論である。すると、そんな僕に対して反論する者がいる。
確か、伯爵位の……誰だっけ、興味がないから名前も覚えてないや。
「アヴァロン王。我等エメアリア魔法国とアヴァロン王国は同盟国のはず。ならば、我等の救命に対価を求めるのはどうかと思う」
お決まりの台詞だね。
「それを決めるのは君達ではない。それとも、既に死んだ者を蘇生させるという、奇跡を起こせる国が他にあるのか? あるなら教えてくれ、仲良くしたいから」
その言葉に、反論は無かった。苦虫を噛み潰したような表情で、貴族達は押し黙る。
「そもそも、それはエメアリア魔法国の統一見解か?」
プリシアに水を向ければ、彼女は当然の事として返答した。
「命を取り戻すという規格外の恩恵に対し、対価を支払わない等と口にする恥知らずは我が国の貴族に居ません」
「……っ!!」
これは意地悪の範疇には入らないよ。当たり前の事を言っただけだからね。
「あぁ、対価を支払いたくないってヤツは、この場で自害してね?」
その言葉に、貴族連中の感情が爆発した。
「ふざけるな!」
「自害だと、アヴァロンは我等を害するつもりか!」
「本性を現したな、アヴァロン王!」
口々に僕を非難する貴族達は、自分の立場が解っていないようだね。
「何を言っているんだ? アヴァロン王国が何もしなければ、今頃どうなっていたのか理解しているはずだ。ほら言ってみろ、そこのヒゲ」
真っ先に噛み付いたヒゲ貴族に、僕は視線を向ける。
「どう……とは……いや、待て、それは……」
「今頃、物言わぬ屍だったわけだろう? ほら、対価を支払わないならば、死体に戻れよ。それとも、俺の奴隷にでもなるか?」
そうなれば反対意見どころではないけど。
「き、金貨百万枚など、暴利ではないか!!」
「これでもサービスしてるんだけどな。お前の命はそんなに安いものなのか?」
ぶっちゃけどんなに金を積まれても、命は買う事が出来ない。だから、僕の出した金額は暴利なんかじゃないのだ。
「金貨百万枚を支払おう」
そう言った貴族。確か伯爵だっけか。
「そうか、なら念の為に”死の宣告”を掛けさせて貰う」
「な、何っ!?」
何を驚いているのかな?
「口約束だけで済ませるわけが無いだろう。安心しろ、支払いが終わった瞬間に俺の付与魔法で解呪できる。ちなみに、時間を操作する根源魔法で死の宣告の四日という制限時間を一日にするからな?」
「な……そ、そんな……」
冷や汗を滝のように流す伯爵。
「……一度だけ、意見を変える事を許してやる。二度目は無い」
さて、では仕上げだ。
「四つも選択肢を用意してやっているんだ、さっさと決断しろよ。金貨百万枚を一日以内に支払うか、この場で自害するか、奴隷落ちするか……それとも、俺の味方になるか」
苦渋に満ちた顔で、一人の貴族が前に歩み出る。
「……私はアヴァロン王と、プリシア女王陛下のご婚姻に……賛同致します」
そう言って、跪いた。その姿を見て、更に数名の貴族が反対意見を取り下げる。
ついには爵位が上の貴族は軒並み賛同し、爵位が低い……プリシアに婿入りしようとしていた連中のみが残った。
「お前らはどうするんだ? ほら、早く決めろ」
「ぐ…………!!」
「……くっ!!」
「ぬぅ……!!」
やれやれ、唸ってちゃ話が進まんな。
「なぁ、沈黙は金とか勘違いしてないよな? 時間は有限だ、お前達の決断力の不足で無駄に浪費するのは御免だよ。あぁ、選べないなら……俺が選んでやろうか」
かるーく殺気を放つ。連中の脂汗が凄い事になっていく。
「なぁ、もう一度死ぬか?」
面倒臭いので、今度は強く殺気を放つ。強い殺気をその身に浴びて、下位貴族達は意識を手放した。口からは泡を吹き、白目を剥いた上に失禁している。
「で、めでたく全員黙ったな、先代女王」
「そうだねぇ、確かに口だけで黙らせたね。殺気を放ったのはグレーゾーンだけど……大目に見るから、アタシにあれを向けないどくれよ?」
名も知らぬ貴族達の醜態を見たら、そう思うのも仕方ないね。
「義理の祖母になる相手にそんな事をする気は無いな」
身内に甘い系暴君ですから。
「そうかい、そいつはなによりさね。それじゃあ……プリシア」
「は、はいっ!」
ガチガチのプリシアに、先代女王が微笑みかける。
「アンタの自由にして構わないよ、好きにおし」
その穏やかな言葉に、プリシアの瞳から涙が零れ落ちた。先代女王に駆け寄り、その身体を抱き締める。
「馬鹿だね、抱き着く相手はアヴァロン王だろうに……」
そう言いながらも、先代女王はプリシアを抱き締め返している。
************************************************************
さて、そんな感動的な光景で終わりにしたかったのだが、それはできない相談である。
「じゃあ、優先事項をおさらいするぞ。第一に、この国に攻め込んで来た阿呆の処遇」
気絶していない……つまり、僕とプリシアの婚約に賛同した貴族達も同席させ、優先事項を挙げていく。
「これについては考えがあるから、後に回すぞ」
その考えは、単純明快なものだけどね。
「次に、さっきの貴族達の処遇な。殺すのは可哀想だし、お金の力で解決しよう。一人金貨百万枚」
「ユート、流石に今日中というのは……」
言いにくそうにするプリシア。
「あぁ、厳しいだろうな。だからプリシア、立替えてやれ。七人分か?」
「私の個人資産の半分だけど!?」
結構持ってるんだな。
「安心しろ、支払先が僕だ。その後で、僕から婚約者であるプリシアに、小遣いとして金貨七百万枚渡すだけだよ」
つまり、連中がプリシアに借金をするだけである。あの場が纏まってしまった以上、奴らに拒否権は無い。
「女王が自腹切って立替えるんだから、奴らは金貨百万枚分は無償で働く事になるなぁ。一体何年かかるのやら……御愁傷様だな」
僕の言葉と表情に、プリシアや先代、貴族達が顔を引き攣らせる。当然、僕は意地の悪い笑みを浮かべている……わざとね。僕を敵に回す事の意味を、残った貴族達にもよーく覚えておいて貰う為だ。
「……ユートって、もしかして怖い人?」
何を今更。
「で、最優先事項だ。プリシア、ちょっと左手出して」
「え? あ、はい……」
差し出された左手を取り、宝物庫から取り出した材料を使って一瞬で指輪を作り上げる。もう十個目だから、手慣れてしまった。
「はい、婚約指輪」
いぇーい、サイズぴったり。
「何したの、今! いえ、婚約指輪は嬉しいけど!!」
「単に指輪を作っただけだよ」
刻印付与魔法でね。
「う、ん……嬉しいけどぉ……」
もごもごしているプリシア、とても可愛いと思う。そして、いじり甲斐がありそうだとも思う。婚約が決まった以上、イチャつく事に躊躇いはない。
「さてと……両国民への布告、世界同盟加盟国への報告、プリシア限定扉の設置と、明日からやらなきゃいけない事が山積みだ。だから、他の些事に時間をかけるつもりはない」
そう言って、僕は円卓の絆を取り出す。そして、空中に映像が映し出される。
「こ、これは……!!」
エドが食い入るように見る映像。
「エメアリア魔法国と、ギルス帝国の国境だ。拡大するぞ」
俺の言葉に従って拡大された映像。そこに映し出されるのは……。
「これ、ギャリック皇子?」
「ギルス帝国の皇子が、こんな所で何を……」
いや、解り切っているだろう。
「君達を襲った暗殺者達は、この場所から気球に乗ってここまで来たんだろう。つまり、君達を殺してプリシアを拉致するように指示を出したのは、このギャリックだ」
その言葉に、貴族達の視線が剣呑なものになる。
「ユート、行くのよね? 行くなら、私も……」
いやいやいや、何を言い出すのやら。
「行かないよ面倒くさい。コイツの為に割いてやる時間なんて一瞬で十分だ」
そう言って、僕は例のトリガーを宝物庫から手にする。
「それじゃあ、ポチッとな」
トリガーを引いた瞬間、画面内のギャリックや護衛兵士達に向けて光が放たれる。純粋魔力砲撃である。
「何だ!?」
「こ、これは一体……!!」
ざわめく貴族達。これだと、何か画面光ってるな……くらいしか解らないよね。
「別のアングルから見た光景を見せようか」
出血大サービスだ。実は、わざわざこの為だけにマサヨシを現地付近に派遣した。ノアに乗って国境付近に待機し、円卓の絆で撮影しているマサヨシの動画を見る。
『は……はは……何だこれ……まるで、天の裁きじゃないか……』
「おいこらマサヨシ、誰が神気取りか。王様だけでも大変なんだ、誰がなるか」
「面倒だから神になりたくないって言ってませんか、先輩!?」
「神様になりたくても、普通はなれないんですけどね……」
メグミとノエルは呆れたように言うが、それにヒルドとエイルが苦笑した。
「でも、ユー君なら神格とかゲットしそうー……」
「お兄ちゃんなら、気が付いたら神様になってたよー、とか有り得るよね」
やめろ、これ以上フラグを建てるんじゃない。おい、やめろ貴族共! 跪くな、祈るな、やめろって!!
************************************************************
【名前】ユート・アーカディア・アヴァロン
【職業/レベル】付与魔導師/106→107
【称号】脅迫者(NEW)・神罰を下す者(NEW)・プリシアの婚約者(NEW)
************************************************************




